副業は”自分の新たな可能性”を知るツール～”働き方エバンジェリスト”が考える、これからの副業のあり方～

はじめまして。クラウドワークスの田中と申します。2020年も後半に差し掛かっていますが、みなさん今年は、ご自身の人生やキャリアを振り返ったり、見つめ直したりする機会が思いがけずあったのではないでしょうか。また、その中には働き方の観点から「副業」に関心を持たれた方も数多くいらっしゃるかと思います。今回は「働く」を事業にする会社、クラウドワークスにて多くの方の新しい働き方に関わり、かつ自分自身も副業を3年以上している観点から、収入やお小遣い稼ぎだけが目的ではない、これからの時代の副業のあり方についてお伝えできればと思います。

新卒入社直後に海外で触れたのは、働くについての多様な価値観

クラウドワークスでは、2015年の参画後「地方でも働ける人を増やす」という想いのもと、地方創生事業を立上げ、自治体と連携、これまで30以上の地域で、1200人以上のクラウドワーカーのスキルアップやコミュニティ作りを支援してきました。また、クラウドワークスでお仕事を受注する約400万人のユーザーをサポートすべく、ワーカーエクスペリエンスチームとしてオンラインでの教育支援、新型コロナウイルス関連給付金支援、ひとり親支援、ひきこもり支援などの活動も行っています。

最近では「働き方エバンジェリスト」という肩書で、クラウドワークスや副業で得た様々な観点からの「働く」について、社外向けセミナーや取材でお話させていただく機会も増えてきました。

日々様々な角度から働き方について考えているのですが、そこに関心を持つようになったのは、2010年に新卒入社した大手メーカーでの海外営業の経験から。社会人1年目から海外営業を担当させてもらい、世界中の企業の方とお仕事をする中で、「働く」に対する多様な価値観と、日本の働き方との違いに触れたことが大きかったです。

当時、日本ではリモートワークやテレワークという言葉すらほとんど使われていませんでしたが、長期滞在していたアメリカのシリコンバレーでは、クライアントや現地社員の働き方がすでに柔軟。オンライン会議やチャットの文化の定着、家族との時間を大切にする過ごし方など、生活の中に「働く」が溶け込んでいたんです。「インターネットがあれば、世界中どこでも仕事ができる。日本でも、リモートワークが普及すれば、さらに働きやすい環境が生み出せるし、地方で働くことだってできる」そんな事を考える中で、クラウドワークスと出会ったのは社会人生活５年を経た時。「これまで自分が考えていたことを実現できる！」と直感したのを覚えています。

副業を考えるきっかけはライフスタイルの変化

そんな「働く」について常に考えていた僕が副業を開始したのは2017年。「自分が住んでいる地域のコミュニティで活動したいな」と思ったことがきっかけでした。「働く」に加え、結婚を機に「暮らす（家族・子育て）」にも関心を持つようになり、自分の暮らしに根ざした活動が何かできないかなと考えたんです。

そんな時、今の副業先の代表の羽渕さんがインタビューに答えていた記事を偶然見つけ、暮らし目線を持ちながら起業されたというストーリーにものすごく惹かれました。さらに偶然にも住まいが、私の住んでいる神奈川県逗子市に近く「1度この人と話してみたい」と感じ、普段はそんなタイプではないのですが、思い切ってSNS経由でDMを送ってみました。実際にお会いし、「ぜひこの人と一緒に働きたい」という思いが芽生え、組織開発のコンサルティングを提供するreborn株式会社に参画することになりました。

rebornでは本業とは異なる職業、「カタリスト（Catalyst）」として、テレワークをベースに働いています。「カタリスト」とは、化学反応を促進する触媒、促進の働きをするものという意味。reborn株式会社に集まる専門スキルのある仲間・チームの役割を最大化する役割を担い、クライアント企業の組織開発におけるメンバーのアサインや、方向性を見い出すプロジェクトマネジメントを数多く担当。日々新しい経験をさせてもらう中で大きな気付きを得ています。

副業の真の価値は、”自分の新たな可能性”に気づけること

副業を始めてから3年。挑戦する中で得たものは沢山ありますが、中でもぜひ、副業に関心を持つ皆さんに知って頂きたい気づきがこの3つです。

1：今の自分の得意不得意がわかる

「周りを巻き込んで物事を進めることが得意」という自分の一番の強みは、副業を始めて気づいた部分です。また「働く」に関する知見も、本業では皆当たり前に持っている部分でしたが、活動の場を変えることで自分の得意分野であることを認識できました。その反面、苦手だと気づいたのは物事を構造化して考えること。本業でも頭の中で図式化することを日々意識するようにしています。

2：これから働く上での「my mission（マイミッション）」が明確になる

「働くと暮らすを近づける」という、働いていく上で大切にしていきたい、自分自身のミッションを見つけることができました。仕事に取り組むときは常にこの「マイミッション」を念頭に置いています。自分のMissionと、会社のMission（事業）の重なる部分を探し、あらゆる物事を、自分のマイミッションを実現するための機会と捉える。それにより、いかなる時にも主体性を持って取り組めるようになり、また自分自身に迷いが生じた時、立ち返る指針が生まれました。

3：未来に向けたキャリアビジョンが見つかる

仕事のアイデアを実行可能な状態へ設計し、着実に実行に移す「畳み人(たたみにん)」、これからの日本を変える働き方や手法を、自身の体験や実例を基に発信・伝達していくスペシャリスト「働き方エバンジェリスト」の2つを極めていきたいと考えています。得意不得意を知り、マイミッションが見つかる中で、具体的にどんな風に働いていきたいかも明確になりました。

• 本業と異なる環境に身を置き、様々な人と接する中で、自分に対する新たな視点を得ることができる。
• 自分を知ることで、進むべきキャリアが明確になってくる。

副業の真の価値は「自分の新しい可能性」に出会えること。いつもと違う環境に飛び込むー。もちろん大変なこともありますが、自分自身を次なるフィールドへどんどん連れて行ってくれる、素晴らしいツールだと感じています。コロナ禍を経て、自分のキャリア・働き方を見直し始めている方には、このツールを上手に活かし、新たな自分に出会ってみてほしいと考えています。

【プロフィール】

田中健士郎（たなかけんしろう）

東京都武蔵野市出身。1988年生まれ。神奈川県逗子市在住。

上智大学卒業後、大手製造業会社で海外営業を担当。2015年に株式会社クラウドワークスに参画し、地方創生事業を責任者として立上げ。これまでに30以上の自治体と連携し、クラウドソーシングの普及を促進。1200人以上の働き手の育成に携わる。2020年からは「クラウドカレッジ」を開校し、400万人のクラウドワーカーに学びと仲間づくりの場を提供。2017年からは複業としてreborn株式会社に参画し、企業の組織改革支援に携わっている。