「教育支援は社会的投資」子ども支援のNPOがクラウドファンディングに挑戦〜後編〜
福岡市を拠点に活動する子ども支援の認定NPO法人エデュケーションエーキューブが、Kibidangoにてクラウドファンディングプロジェクトを実施しています(『最先端のICT環境を備えたオルタナティブスクール「スタディプレイス」を作りたい!』)。
前編のエデュケーションエーキューブ代表・草場さまへのインタビューに続きまして、今回は後編としてスタッフの藤田さまとインターン生の若松さまにお話を伺いました。
―お二人の自己紹介をお願いします。
藤田さま:
今年4月よりエデュケーションエーキューブに参加し、スタッフとして精力的に活動しています。それまでは15年間、福岡県内の教育支援センターの指導員として不登校児童支援を行ってきました。これまで発達に課題のある子たちや学校に居場所がないと感じる子ども達とたくさん出会う中で、現存の不登校支援の仕組みに対し自分なりに問題意識を抱いてきました。そこへエデュケーションエーキューブに新たな可能性を感じ、心機一転、活動の場所をこちらに移すことにしました。
若松さま:
九州大学の経済学部に所属し、エデュケーションエーキューブにてインターン生として勤務しています。私は小さい頃に母と父が離婚して母子家庭になりました。母の収入や健康状態が不安定になり貧困状態だった時期もあったのですが、国や支援機関からの支えを得て今こうして大学にも通えています。これからは当事者としての自分の過去の経験を生かしながら支援する側に回りたいと思い、当団体に参加しました。
―どういうお仕事を担当されているのでしょうか
藤田さま:
フリースクール2教室にて子供たちの学習サポートを担当しています。現在クラウドファンディング中である10月オープン予定の新拠点の開講準備を行うことにもなっています。新教室の設備を整えたり、現存する他教室の運営スタイルの移行など、しっかり子供たちを受け入れる準備を整えていく予定です。
若松さま:
インターン生として主に広報を担当しています。まだ参加して間もないですが、早速クラウドファンディングのプロジェクトにも関わらせてもらっています。そのほかにも様々な業務のサポートをしながら運営について勉強中です。貧困問題は難しい問題だからこそ、長期的にコミットしていきたいです。
―お二人はエデュケーションエーキューブの特徴は何であるとお考えですか?
若松さま:
ICTの活用に力を入れていることです。ICTツールに幼少期から触れられることはすごく良いことであると思っています。というのも私の家庭は経済的に余裕がなく、小さい頃はPCやタブレットなどのデバイスに触れた経験がそれほどありませんでした。よって大学に入っていきなりそれらを使うという状況になって、周囲との格差を感じ苦労したことがあります。こうした経験をした私としては、小学生や中学生の頃から最先端のタブレットなどに触れられるということのメリットはかなり大きいと感じます。
また、低料金でアフタースクールが利用できるということも大きな魅力の一つです。巷の塾や習い事は敷居が高く、経済的に余裕がない家庭には手が出しにくい存在です。実際に私は小さいとき塾には通えませんでした。エデュケーションエーキューブは低価格でそれらを提供しており、私自身このような施設が周囲にあれば嬉しかったなと感じます。
藤田さま:
これまで勤務していた教育支援センターと比較すると、まず特徴的であるのが、eラーニングの活用によってより子供達一人一人に合った学習を提供できるところだと思います。個々のペースで進めていけるので、小集団の教室型の教育よりも生徒の取りこぼしの心配がないのが特徴だと思います。
2点目は、フリースクールという機能だけでなくアフタースクールで習い事や塾のようなものを提供しているところです。自身も子育てをしている身として、このように低価格で様々な学びを得られるというのはとても魅力的であると感じます。
3点目は、フリースクールが必ずしも「学校への復帰」をゴールとはしていない点です。
―「学校への復帰」がゴールではない?
藤田さま:
そうです。
教育支援センターの方は公的機関なので、あくまで学校に戻るのが最終ゴールでした。ただ、子供達の中には「学校には行かない」と決めているけれど将来の夢が確実にあるような子どもたちもいて、彼らにとって学校に戻ることは必ずしも自己実現には繋がらなかったりもします。このことに気づいてからは、学校復帰をゴールとするやり方に対して自分の中で長らく葛藤を抱えていました。
例えば、チャレンジ登校というやり方があります。一週間に一回、学校に行ってみようというものです。本当は行きたいという気持ちを持った子たちにとってはとても良い練習になりますが、根っから行きたくない子供達にとっては辛くてたまりません。
私はどちらの子も応援できるような場所を作りたいと思っています。学校に行かないという子供たちの決断も受け入れて応援したいのです。
とはいえ公的施設という性質上、「学校復帰がゴール」という前提の部分を変えることは難しく、私の理想の形を追求できる可能性を持つ場所として新たにエデュケーションエーキューブに飛び込んだのです。
―これからエデュケーションエーキューブで挑戦したいことは?
藤田さま:
1点目に、型にはまったゴールを定めずに子供たち一人一人の希望に沿った応援をしていきたいです。エデュケーションエーキューブのオルタナティブスクールはそれができる場所だと感じています。
新しく保護者支援も行いたいです。以前の勤務先では、「大人が変われば子供も変わる」ということで保護者支援を積極的に行っており、この経験を生かし今後エデュケーションエーキューブでも本格化させたいです。
また、「学習にアナログゲームを取り入れる」という個人目標も追求したいです。アナログゲームというのは、人とのふれあいのきっかけや、交渉術や戦略的思考など実用的なスキルを練習するツールになり得ます。アナログゲームの可能性には昔から思い入れがあり、クラウドファンディングの特典にも登場しているので是非チェックしてみてください。
若松さま:
私はソーシャルビジネスに強く興味があり、本団体へも「社会貢献がしたい」という強い気持ちで飛び込んだので、今後たくさんのことを吸収しながら運営に関わりたいです。
特にエデュケーションエーキューブの一つの特徴でもあるICTの可能性に注目しています。コロナで社会のあり方が目まぐるしく変わっていますが、逆に古いシステム・堅苦しいシステムを壊して新しいシステムを模索する機会であるとも捉えられます。オンラインへの移行は遠方からの参加のハードルを下げるなど新たな可能性を秘めていると考えます。今を一人一人に寄り添った柔軟な教育を提供できるチャンスと捉えて、様々なやり方を模索していきたいです。
―今回のクラウドファンディングに期待することは?
藤田さま:今回のクラウドファンディングで集まったお金を存分に活用して、ライブラリやICT設備が充実した施設を用意してあげたいと思っています。子供達が「ここで学びたい!」と思ってくれるようなスクールを支援者の方と共に作り上げていきたいです。
また、クラウドファンディングという手段を通して支援の「輪」を広げたいという思いが大きいです。相対的貧困や不登校といった問題は、学校や保護者だけの責任でもありません。頑張ろうとする子供たちを支える輪を社会全体に広げる、その仲間作りのきっかけに今回のクラウドファンディングがなればと思います。
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<認定NPO法人エデュケーションエーキューブ概要>
NPO法人エデュケーションエーキューブは、公益性の高い認定NPO法人として福岡市で9番目に承認されました。「Anyone can be anything!」をミッションに、教育分野でICT(テクノロジー)を活用することで、誰もが良質で多様な学びを受けられる環境を提供しています。
「エデュケーションエーキューブ」http://education-a3.net/
<Kibidangoのプラットフォーム事業について>
「この世にないモノをつくりたい」「こんなコトを実現したい」そんなアイデアを持ったプロジェクトオーナー(プロジェクト開催者)とサポーターの出会いの場を提供しています。経験豊富なきびだんごの担当スタッフが夢の実現へ向けてしっかりとサポートします。
「Kibidango(きびだんご)」https://kibidango.com
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