データを軸に課題解決へのストーリーを導く!スマートドライブのデータサイエンティストの仕事とは
多くのデータを高度なツールを駆使して解析・加工・分析し、マーケティングなどに生かす専門家。そんなデータサイエンティストを、ハーバードビジネスレビューが「21世紀でもっともセクシーな職業だ」と宣言したのは2012年のことです。それから8年、ますますデジタルマーケティングが加速し、データサイエンティストが活躍する場が増えてきました。スマートドライブでは現在3人のデータサイエンティストがチームを組んで日々、業務に取り組んでいます。
彼らは日々、どのような業務を行い、膨大なデータとどのように向き合っているのでしょうか。データのスペシャリスト3名に伺いました。
スマートドライブのモビリティデータを巧みに操る“データサイエンティスト”
3名の正式な役職と業務範囲について教えてください。
石川:私はモビリティデータサイエンティストです。
山本:モビリティデータコンサルタントをしている山本です。
西澤:私も山本と同じモビリティデータコンサルタントです。ただ実はサイエンティストとコンサルタント、それぞれに明確な基準を設けている訳ではありません。
石川:担当領域が少し異なるくらいの違いですね。データサイエンティストが分析モデルを構築する部分をメインで担当し、商用化に向けた事業的な価値の検証などはコンサルタントがメインで行うイメージです。ただし、基本的には領域をきっぱりと分けるというよりもチームとして最適な人が動くようにしています。データサイエンティストが商談の場でフロントに出ることもありますし、データコンサルタントがモデリングを行う場合もあります。
業務の濃淡や守備範囲の違いはありつつ、モビリティデータを扱う点では同じ環境なのですね。そもそもスマートドライブのデータサイエンティストはどのような業務を担っているのでしょうか?
石川:一般的なデータサイエンティストは、データをモデリングしたり分析したりして、自社の売上に結びつけるインサイトを追求します。スマートドライブのデータサイエンティストは、事業開発部の中の1つの職種として在籍していますので、データを活用して事業開発を行うということがメインの仕事です。チームのミッションは「移動データを価値に変える」こと。移動の進化を後押しするために、移動にまつわる様々なセンサーデータを収集し、そのデータを課題解決のストーリーへと紐づけていく。その心臓部を担っているのが私たち、データサイエンティストです。
西澤:私たちが担うミッションは、一般的にイメージされるアナリストとは少し異なるかもしれません。私たちの業務は、テレマティクス領域における分析や、ダッシュボードの構築はもちろんですが、「移動データ」と「お客様や協業先企業のデータ」を掛け合わせ、モビリティ業界のDXを推進していく方が大きな割合を占めます。
事業開発部として、クラウド車両管理システム「SmartDrive Fleet」やドライバー エンゲージメント サービス「SmartDrive Cars」、家族見守りサービス「SmartDrive Families」など、既存のSaaSサービスの付加価値を高め市場拡大に貢献したり、お客様の売上データと移動データを掛け合わせて営業生産性の可視化をしたり、PLと掛け合わせてデューデリジェンスで活用するダッシュボードを作ったり。これら以外にも、アイラアンス先企業のデータと掛け合わせて新しいサービス開発を担当することもあります。商談の段階から営業と連携して、提案書作成、デモ開発、分析・BIダッシュボードの作成、そして導入後の定着支援やサポートもする。簡単に言えば、移動データの解析を軸に何でもやるチームです。
山本:移動データを価値に変えるために、できることを全部担当するチームだと思っています。西澤が言うように、提案段階から打ち合わせに入って、必要であれば話を伺いながらお客様自身が気づいていない課題を汲み取ることもあります。通常、データを使用できるようにするデータエンジニアリングと、整ったデータから示唆を導き出すデータアナライズは人や組織が分かれているケースがほとんどですが、私たちのチームは全部一貫して対応しています。
移動データを価値へと変えるプロ集団
大手企業の中には社内に在籍するデータサイエンティストが分析を担当されているケースもあるかと思います。そうした場合は、プロジェクトにどう関わるのでしょう。
西澤:基本的には、分析も含めてお任せいただくケースがほとんどです。ご依頼いただく企業様は、私たちを「移動データを価値にする」プロとして見てくださっています。Honda社との協業事例を筆頭に、データをビジネスに変えられる組織として実績を着実に積み上げてきました。
斬新な企画を考えるセールス・事業開発チーム、それらを絶えず発信し続けているマーケティングチームや広報チーム、私たちの分析チームの力だけでなく、各チームの1つひとつの積み重ねがブランドや信頼を作り、最終的にスマートドライブに任せたいと思っていただけるのかなと。
山本:実は、商談の中で「それもスマートドライブに任せていただけるのか」と驚いたことが何回かあります。それも、西澤が言うように、お客様との信頼関係が根底にあるからだと思っています。
石川:はじめにお伝えしたように、私たちの業務は非常に広範です。サーバーを立て、Pythonを書き、Githubにプッシュするなど、技術的なデータエンジニアリングから、お客様と会話して課題のヒヤリングや提案を行うビジネス的な部分まで、一人ひとりが両輪で動いています。点ではなく、線で全体像を把握しているからこそ、課題解決までのストーリーをつなげ、それに対する必要な技術・データを洗い出し、解決へと導くことができるのです。
大企業の中で3人のようなデータサイエンティストを育成するのは難しいでしょうか?
西澤:う〜ん、難しい質問ですね...。私たちはスタートアップ特有のスピード感を重視していますし、データの取得も勘所が多かったり、分析以外にも注力すべき業務があったりしますから、全く同じようにというのは難しいかもしれません。
それに、企業によって割り当てられる役割や業務範囲も異なるでしょうし。データと向き合う以外に、分析結果のお客様への伝え方、提案の仕方も考える必要がありますから、そういう諸々の環境が整うのであれば可能だと思います。
スケールするためには仕組みづくりが重要である
非常に広範な業務を担当されていますが、業務の一部を仕組み化するためにLookerというツールを活用されているとか。
石川:私たちのチームにとって、Lookerは可視化する手段の一つという認識です。データをLookerで整備した後にTableauで可視化することもありますし、Googleの分析基盤も使いますし、各ツールは適材適所で利活用しています。Lookerはやや特異なポジショニングで、私たちのような専門職を労働集約型にしないという思想をもとに導入しました。互いに守備範囲が広く、さまざまなレイヤーの仕事を抱えていますが、3人が各々に担っている業務をロジックベースで理解し、スケールをすることを考えてLookerで仕組みと基盤を作っています。
私たちのような専門職は労働集約型の仕事が多いのですが、大手企業でも在籍するデータサイエンティストはほんの数人程度。ですから、80人規模の会社にデータサイエンティストが3人いるというのは珍しいことかもしれません。
Lookerについて簡単にご説明いただけますか?
石川:まず、LookerはいわゆるBIツールではありません。データを解釈する部分を仕組み化できるというか...。あえていうなら、データモデリング基盤という言葉が一番しっくりくるでしょうか。「これは何のデータなのか」と問われた際に、定型フォーマットで応えられるのはLookerだけだと思います。
西澤:Lookerは昨年、Googleに買収されたことで、世界中の企業から注目されているツールです。ガートナーの調査でもニッチセグメントからリーダーのセグメントに移行し、名だたるスタートアップが採用しています。つまり、一言でいうと“ナウい”ツール。その世界中で注目されているツールの可能性に着目し、早期で基盤の立ち上げをやってくれたのが石川です。1〜2週間で1人で環境を立ち上げ、私が入社した際はLookMLでの開発がスムーズに行える状態が既に整っておりました。
そして導入から半年経たずして3人が認定資格を取得しています。それだけでなく、マネタイズもしっかり行えており、Lookerで作ったダッシュボードによる収益が着実に増えつつあります。
ちなみに、メルカリやSmartHR、ZOZOなどの有名企業がこぞって採用していますが、日本にはまだ認定技術者が10人もいないんですよ。
それはすごい!認定技術者の10人中、3人がスマートドライブの社員なのですね。ちなみに、Lookerはどのようなシーンで活用するツールでしょうか?
西澤:データ系人材って、自分の書いたSQLをすごく信じているので、他者が書いたSQLを使うのに抵抗があったりします。本来なら流用すれば短時間でアウトプットを出せるところを、自分自身の手で「車輪の再発明」をしてしまう。私も経験があるのでその気持ちは痛いほどわかるのですが、それだと開発スピードに遅れが生じ、時間を無駄にしてしまう。そういった観点で言うと、Lookerはアナリストが属人化したくなる気持ちに抗い、組織としての生産性を強く意識していくためのツールと言えるのではないでしょうか。
属人化していると、スケールする際にテンプレート化ができず、提供するサービスの品質を一定に保つことが難しくなります。スケールを視野に入れるなら、属人化を排除すべきですし、すべてのお客様に同じクオリティでサービスを提供するためにもLookerはベストなツールです。
根っこの部分で大事なのは、スケールやチーム力を向上させるために、アナリストが他のアナリストの資産を尊重することです。互いが作ったものを理解した上でさらなる改良を加えたり、修正したりできる環境がある。それがLookerを活用するうえでは重要な考え方です。私自身も自分で作りたいと思う時がありますが、すでに同じようなものがあればその資産を流用したり、少し手を加えたりして活用させてもらいます。中には、作った人の資産を批判することになるのでは、という見方をする人もいるでしょう。しかしサービスのスケールや事業の成長を第一に考えるなら、互いに信頼しあい、一つの資産を共有し、修正できるようなチームを構築していくべきだと思います。
石川:属人化する作業の一部を仕組み化できれば、開発スピードも格段と上がり、アウトプットの量も倍増します。私たちデータサイエンティストは3人とも広範な業務を担当していますが、スピード感やクオリティは維持したい。だからこそLookerを活用しているのです。
山本:Lookerを導入したのが2020年の3月で、西澤がジョインしたのが4月。チームとしては、アウトプットが0の状態からスタートしましたが、今ではアウトプットを定期的に出せるようになりました。ただ、スピード感はあるものの、どうしても散らばったり拙い部分が発生したりしますので、今は基盤を構築しながら並行して修正しています。
Lookerの導入から約半年、具体的にどのような変化がありました?
石川:私が入社した頃と比べると、アウトプットの量が3倍どころか、40倍くらいに増えた気がします。人員が3倍に増えてもアウトプット量は2倍程度にしかならないのが労働集約型の働き方では一般的なので、大幅なスケールを実現できている実感があります。入社後すぐにエンジニアチームから技術的なデータの仕様などをヒヤリングし、Lookerを導入した瞬間に基礎モデリングを実行しました。一つのデータモデルをからの拡張開発、時には一度壊して再構築していく過程をLookerのモデリング技術を用いてチームでスムーズに行うことができたゆえだと思います。
データサイエンティスト3人に聞く、データとの向き合い方
スマートドライブはモビリティデータを軸に事業を展開していますが、みなさんは普段からどのようにデータと向き合っていますか?
石川:留意していることは二つあります。
1つ目は、データ起点で物事を考えないこと。もう1つは、すでにあるデータから発想力とインスピレーションを最大限に発揮して、「このデータを活かしてこんなことができるんじゃないか?」と発想を膨らませること。相反するようですが、この2つの考え方を常に意識しています。
スマートドライブは膨大な量のデータを有していますので、そこからあらゆるインサイトが大量に生まれるのですが、ユーザーの課題解決に結びつかなければそこに“価値”は生まれません。ですから、お客様と1対1で慎重に会話を重ね、課題を解決へと導くためにデータを利活用するよう努めています。
西澤:まず、イシュードリブンなのか、データドリブンなのかという観点があるかと思います。私自身は基本的に、イシュードリブンであるべきだと思っていて、その上で何のためにデータの利活用をするのかを自分へ問うようにしています。
向き合い方としては、1件1件のデータの構造を見ながら、これらがどのような背景で入ってきたのか、想像することを大事にしています。じっくり眺めていると、レコード、カラムなどから、ぼんやりと1つのストーリーが紡ぎ出されてくるような気がするんです。お客様から頂戴したデータも、すでに蓄積されているデータも「このデータはどういう時にどういう条件でレコードとして挿入されるのか」がイメージできなければ、どのデータと、どのデータを結合するのか、どんなインサイトが得られるのか、想像できなくなってしまいます。ですから一つひとつ、丁寧に対面することが重要なのです。
とは言え、スタートアップはスピードが正義。じっくりデータを眺めつつも、アウトプットを早く出していかなくてはなりません。一週間単位でアウトプットを出して、お客様とレビューして、次のフェーズで改修していくというように、スピード感を維持しています。
山本:私も基本スタンスは二人と同じですが、そのほかにも2点、気をつけていることがあります。
スマートドライブの強みは、IoTデバイスで取得するデータが美しく非常に細かいところです。これはつまり、データが整然とした状態でまとまっているということ。そうした「美しいデータ」を扱っているので、どんな課題が浮上しても、できないことはないと思って取り組んでいます。その時、その瞬間に思いつかなくても、別角度からデータを見れば他に方法があるかもしれませんから。これが1つ目。
お客様との商談時も、私たちは常にデータのことを考えています。「この状況ならば、あのデータをこのように活用すれば課題が解決できそうだ」と会話の内容を変換して、それをご担当者さまや、データに詳しくない方、誰に対してもわかりやすいように専門用語を使わずに伝えること。これが2つ目です。
石川:アウトプットの量より、データからどのような課題解決ができるかを考える方が難しいのです。データを価値に変えるには、課題解決のためにデータを使うという順番を最低限、遵守すべきだと考えています。
日々、データを価値に変えるには?と問いかけ、新たな未来を描く
スマートドライブで扱うデータはどのような特徴がありますか?
山本:競合とバッティングする商談の中でデータの話題が上ったとき、「データの細かさや粒度についてはスマートドライブが1番だ」と言われることが多々あります。データは粒度が細かければ細かいほど活用範囲が広がりますから、開発チームには本当に感謝しています。
あと、事業開発にも営業にも優秀なメンバーが多く、さまざまな案件を取ってきてくれるので、幅広い業界のデータに触れることができる。データサイエンティストにとっては刺激的というか、本当に素晴らしい環境があると思います。最近では電子決済サービスで、購買データと移動データを掛け合わせて分析するケースがありましたが、他社のデータと連携することで、より深く、密度の濃いデータになっていきます。業務とはいえ、ワクワクしてしまいますね。
西澤:スマートドライブのデータは、ビックデータに関わる3V(データ量:Volume、鮮度・速度:Velocity、多様性:Variety)がすべて揃っています。そのうえ、事業開発担当者の提案力や協業先の発掘力が凄く、プロダクトチームの開発力も強い。それゆえ、物流やMaaS、スマートシティなど、様々な領域から次々と新たなデータが収集できる。強靭な事業開発力と進化し続けるプロダクトがあるから、非常にチャレンジングというか、データを扱う者からするとありがたいというか。知的好奇心が常にくすぐられています。
石川:私たちが扱うデータは、ローデータとしてはシンプルですが、活用用途をまだ誰も見つけることができていません。個人的にはそれが面白いです。Googleはブラウザを作り始めた当初、異端児扱いをされていましたが、その時と同じ感覚があります。私たちが取得している移動データも2〜3年ほど経てば今よりも簡単に取得できるようになり、それを解析してデータを価値に変える技術をスマートドライブが担うことになる...と勝手に想像しています。移動データを価値に変える方法は、まだ誰もわかっていませんから、そういう未知のものを土台から作り上げていく旅の途中にいる感じです。
スマートドライブには、データサイエンティストとしてどのような環境が整っていますか?
石川:データと真正面から向き合いたい人には、学びが多くエキサイティングな環境だと思います。プロジェクトの立ち上げて、必要であれば経営陣と会話して提案ができる、お客様と対話しながらソリューションを模索する。そうして、自分が活動しながらデータの価値を世の中へ広げていくことができる。他社ではできない多くの経験を積めるのが魅力です。
西澤:スマートドライブが凄いのは、データをビジネス価値に変えた上で対価をきちんと頂けていること。データを価値に変える仕組みや体制、文化が整っていますし、提供する価値がお客様にもしっかり届いている。つまり、データをビジネス価値に変えることができる。それがスマートドライブの魅力ですし、データコンサルタントとしてやりがいを感じるところです。
山本:よく、まわりの人から「何の仕事をしているの?」「面白い仕事なの?」と聞かれますが、データを使った業務が価値になってお金をいただける、面白い仕事だと伝えています。本当、その一言に尽きますね。
なるほど。楽しみながら、データと向き合っていることがよくわかりました。本日はありがとうございました!
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