島とカップルがウェディングで紡ぐ──新しい離島振興のかたち
コンテストで受賞した大学生の離島振興を目的としたウェディングプラン。プランの舞台は“おもてなしの島”と呼ばれる小値賀島です。長崎県庁、小値賀町はプランの事業化に乗り出し、それをリゾートウェディングのパイオニアであるワタベウェディングがバックアップ。そんな、かつてない異色のプロジェクトをご紹介します。
[プレスリリース]
リゾートウェディングと離島振興
▲小値賀島DIY Weddingのモニター挙式の様子
2019年10月26日に、長崎県・五島列島の北部にある小値賀島にて滞在型観光促進を目的として、島で行うウェディングの事業化検証のためのモニターウェディングが実施されました。
その名は、『小値賀島DIY Wedding』。
挙式やパーティの舞台は小値賀島のさまざまなロケーションを選ぶことができ、さらには島のあらゆるものを使用してカップル好みにプロデュースすることができるという、新しいウェディングスタイルです。
DIYとはDo it your selfの略で、一般的に知られていますが、小値賀島DIY Wedding の“DIY”には、カップルが、自分好みのウェディングをプロデュースができるという意味が込められています。
小値賀島DIY Weddingは、大学生のアイデアが生まれ変わったものです。2018年に開催された「大学生観光まちづくりコンテスト」にて、長崎県の離島を対象とした部門で最優秀賞を受賞したのが、長崎県活水女子大学が提案をしたウェディングプラン。小値賀島で感じた、ぬくもりや温かさを大切にした内容です。
そんな、すてきなプランを実用化すべく、アドバイザーとして選ばれたのがリゾートウェディングのパイオニアであるワタベウェディングでした。
ワタベウェディングは、約60万組の海外・国内でリゾートウェディングのプロデュースをしてきました。対象のエリアは、海外はハワイ・グアム、国内は沖縄や北海道、軽井沢など多岐にわたります。さらに挙式やパーティ、衣裳だけでなく、旅行やハネムーンまでトータルにプランニングをしてきました。
日本の離島は、自然環境の保全や海洋資源の利用、海領・排他的経済水域の保全など重要な役割を担っています。その一方で人口の減少や高齢化などの問題が多く存在。
今回、“リゾートウェディング”がそのような問題解決の一助となれるのかどうか、そして、昨今における結婚式への価値観の多様化が進む中、新たな価値創造の可能性を感じ、ワタベウェディングはバックアップをすることになりました。
本当に“なんにもない”?おもてなしの島「小値賀島」
▲小値賀島の放牧地「長崎鼻」(ロケーションフォトの撮影場所)
2019年2月、ワタベウェディングの代表メンバーは、小値賀島へと足を運び、現地の視察。そして、長崎県活水女子大学の学生からウェディングプランのプレゼンテーションを受け、島から帰ってすぐに、ワタベウェディングのメンバーは学生のウェディングプランをベースとして商品構成に取り掛かりました。
小値賀島は、長崎・佐世保港から高速船で約1.5時間、フェリーで約3時間。コンビニはなく、夜遅くに物は買えません。日曜日は多くのお店が閉まっています。そして、島の皆さんに小値賀島のいいところを聞くと、「“なんにもない”ところ」と口を合わせて言います。
そもそも、小値賀島はリゾートではありません。しかし、小値賀島は観光的な魅力にあふれているのです。
ありのままの豊かな自然と文化、ミシュランを取得するようなレストランやスタイリッシュな古民家ステイ、新鮮な海の幸や島の野菜、非日常的なスローライフを味わうことができます。
そして「おもてなしの島」と呼ばれるほど、島に住んでいる皆さんは温かい人たちばかり。だからこそ、小値賀島ならではの強みにフォーカスし、人気リゾート地ではまねできないことを訴求した商品造成が必要なのです。
そんな小値賀の魅力を生かすにはどうしたらいいのか。小値賀島DIY Weddingの責任者であるエリア事業統括グループ グループマネージャー 渡部 智博は振り返ります。
渡部 「小値賀島を舞台とした結婚式をつくる上で考えなければいけないポイントが 3つありました。 1つ目はお客様が求めていることは何か、 2つ目はなぜ小値賀島なのか、そして 3つ目は事業モデルをどう考えるかです。複合的に考え、民間企業ではできない事業モデルかつ、お客様が求めているものを組み合わせ “小値賀島 DIY Wedding ”を提案させていただきました。
とくに、小値賀島に在住していない方をターゲットとするため、小値賀島に行く理由、小値賀島で結婚式を行う理由をどうつくるかが重要でしたね。観光資源という点ではハワイや沖縄のリゾート地と比べると劣ってしまい、ウェディングという点では専門式場やホテルが持っている施設力に劣ってしまいます。そのため今回は “比較する ”ことから、“ 他ではやれないことは何か ”という視点に切り替えました」
小値賀でできないことはない!メンバーが一丸となりチーム力でプランニング
▲準備や打ち合わせの様子
ウェディングプラン「小値賀島DIY Wedding」の構想が固まり、実際にこのプランに事業性があるのかどうかを検証するために、プロジェクトとして走り始めました。2019年6月、モニターとなってくれるカップルを募集し、いよいよウェディングをプランニングしていきます。
今回のプロジェクトでウェディングのプランニング・ディレクションを行ったのは、ワタベウェディング ウェディングプランナーの横田 里菜です。
横田 「小値賀の皆様は『小値賀でやれないことはない!』とおっしゃってくれ、心強く頼りになる方々です。会場となる『柿の浜海水浴場』まで何度も足を運んでくれ、こちらのイメージをくみ取って尊重し、アドバイスをしてくれるようなすてきなチームです」
このプロジェクトを進める中、小値賀島のスタッフの皆さんとは強い信頼関係ができたと、横田は話します。
そして、今回のモニターウェディングで新郎新婦がとくに楽しみだったと話すのは、小値賀島の風習を取り入れた演出「餅巻きパレード」。
新郎新婦が島のメインストリートである「笛吹商店街」を紅白のお福分けとしてお餅を撒きながらパレードをします。「小値賀島民皆さんからの祝福をカップルおふたりに感じてもらいたい」という想いから、小値賀島のメンバーが提案しました。
また、ブーケ・ヘッドピース等のフラワーアイテムやヘアメイク、活版印刷の席札、小値賀島の食材をふんだんに使ったパーティ料理など、ウェディングに必要なもののほとんどを島民の皆さんが準備します。また、会場の清掃やセッティング、当日の運営も小値賀島のボランティアの皆さんによって行われます。これも小値賀島の皆さんの理解と協力があったからこそ実現できました。
そして、2019年10月26日、いよいよモニター挙式の本番を迎えます。
島とカップルがひとつとなった「小値賀島DIY Wedding」
▲新郎新婦・ゲスト・運営メンバーでの集合写真
前日から、綿密に準備・段取りを進めてきた小値賀町メンバーとワタベウェディング。挙式会場となるのは、小値賀島で一番透明度の高い海と言われる「柿の浜海水浴場」。パーティは、潮が引いたときだけ現れる、まるでプライベートビーチのような場所で行われます。
当日のスケジュールは、新郎新婦の宿泊場所である古民家「鮑集」でお仕度をし、日本の名松百選に選ばれた「姫の松原」と牛の放牧地でもある青い海と芝生の景色が圧巻の「長崎鼻」でのロケーションフォト撮影。そして、商店街での餅撒きパレードをし、挙式会場となる「柿の浜海水浴場」へ。会場へ到着後、美しい海を背景に挙式・パーティを実施。どの項目をとっても小値賀島の魅力や観光資源が生かされています。
無事に挙式を終えた新郎新婦が、「このような結婚式は都会では体験できない。島の人々と触れ合うことができ、皆さんの温かさを、結婚式を通じて感じることができた」と嬉しそうに話してくれました。
また、ゲストの皆様からも、「最初は小値賀島ってどんなとこなんだろう?という不安もあったが、自然が豊富で美しく、滞在もとても楽しかった。また、訪れたい」と、温かい感想をいただきました。
そして何より、新郎新婦とゲストの皆様の笑顔が小値賀島DIY Weddingの大成功を物語っています。
このモニターウェディングを通じて、島の価値を最大限に生かすことができ、さらには地域活性化につなげることで好循環が生まれる可能性を実証することができました。島の皆さんの温かい想いによって、民間企業だけではかなわない、特別なウェディングとなったのです。
しかし、小値賀島DIY Weddingはまだこれからです。今回のモニターウェディングで、島の皆さんからの理解も深まり、次のステップは商品化と進みます。
今回はワタベウェディングのバックアップがありましたが、事業化された暁には小値賀島主体で運営をしていかなくてはなりません。しかし、そのための課題はたくさん存在しています。
渡部 「 WEDDINGの単体採算という考えではなく、島全体に与える影響を試算した事業モデルをつくることで他では実現できない “価格 ”をもうひとつの強みとして加えられないかと考えております。この価格は島の価値を落とすものではなく、この島に価値があるということを示すものだと思っていますね。最終的には集客から当日の運営まですべて島の方々だけで行う自走モデルを目指したいです」
新しい価値を見つけ出し、自給自足のウェディングモデルをつくる。熱い想いを胸に抱くワタベウェディングの飽くなき挑戦はこれからも続きます。
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