第8話 人生を変えた1つの質問【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
私と同じような歳の子から40代くらいの人まで、
年齢も職業も様々な人たちがビニールシートの上でお弁当を囲んでいた。
フレンドリーで声のかけやすそうな、とてもいい雰囲気だった。
こちらへ来たのですが、参加してもいいですか?
声をかけると快く笑顔で歓迎してくれた。私もその輪の中に入る。
その時、みんなは一人の男性に自分たちの手帳や本を出して、何かを書いてもらっていた。
よくみてみると、それは彼のサインだった。
彼は、さらさらと慣れた手つきでキャラクターつきのサインを書いていく。
もらった人たちはとても喜んでいた。
さわやかで中性的な、笑顔が素敵な人だった。
彼は目が合うと、すぐに自己紹介と握手をしてくれた。
会えてラッキーだね!
隣に座ってた子が、こっそり教えてくれる。有名な方のようだった。
でもそんな風に思えないほど、
その作家さんはとても気さくで自然にみんなと接していた。
ピクニックも彼が中心となって場を盛り上げてくれている。
おかげで初対面の人ばかりなのに、終わる頃にはみんなすっかり打ち解けていた。
悩んでいたことなんて忘れさせてくれる、とても楽しい時間だった。
日も落ちかけて肌寒くなって来た頃、
みんなと連絡先を交換し、そろそろお開きにしようということになった。
座っていた椅子やマットや食器など、手分けして片付けはじめる。
そのとき、たまたま近くにいたその作家さんが話しかけてくれたのだ。
話は特にたわいもない内容だったと思う。
出身地や、今何をしているのか、そんな当り障りのないことだ。
悩んでいることを言いたかったけれど、今日出会ったばかりだし、
有名な作家さんにそんな話をするのは申し訳なくて深い話はしないでおいた。
少し話していると、ふと、二人とも周囲の異変に気がつく。
話も一段落し、そろそろ帰ろうと周りを見渡すと、
さっきまでいたみんなはもう誰一人いなかったのだ!
作家さんは携帯電話を取り出して何度も電話してみる。だけど誰もでない。
どこ行っちゃったんだろう。僕せっかく呼ばれて来たのに。
さっきまでいたみんなが、本当にウソみたいに消えてしまっていた。
突然のことに、作家さんも困惑している。
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