第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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あなたのコップの水はどのくらい入っている?





作家さん
これは、まほちゃんのコップだよ。

まほちゃん自身の、うーんそうだな、
人間のコップ、という感じかな?



作家さん
今のマホちゃんは、今の自分は、
どれくらい水が入っていると思う?



私は、机に置かれたそのコップを見つめた。




   ー私のコップの水.....?




今私は、仕事もしてないし何も頑張っていない。

社会的には何も役に立ってない、下の下の方にいるのは十分分かっている。




そんな中、自分の水がいまどれくらいかなんて....。

言うのが恥ずかしくなった。0%に近いんじゃないか。




この質問に答えるのがすごく嫌な気持ちがした。



まほ
えっと、....このくらい、だと思う..。



そう言って、コップを指差す。

コップの底から少し上がったところ、大体30%くらいのところだった。




作家さんはそれをみて微笑んでいる。




作家さん
そうかそうか。そのくらいか〜。




胸がザワザワした。少し多く見積もったのに気づかれてしまったのだろうか?

でも、私でも30%くらいはいいところがあるはずだ。




彼に全てを見透かされているようだった。




作家さん
あのね、まほちゃんのコップの水は、




そう言いながら、作家さんはコップを見やすいように自分の前に持ってきた。

そしてコップの口に手をかぶせる。




作家さん
ここだよ。きみの水はここまで入ってるんだ。




まほ
えっ....?えっと、どうゆうことですか?




その動作が、何を意味しているか分からなかった。空っぽってこと...?




コップのてっぺんに手を置いたままの、彼を見つめる。




作家さんの茶色のやさしい目も、まっすぐ私を見て言った。





作家さん
あのね、もうFULLなんだよ。

満タンなんだよ。

まほちゃんの水は、もう100%入ってるんだ。




作家さん
まほちゃんがね、自分で70%位ダメだって思ってるだけなんだよ。

ただ、そう自分で思ってるだけなんだ。




作家さん
だからその70%を埋めようとして、

仕事をしたり、何かを頑張ったりして誰かに認められることで、100%になろうと苦しむんだ。

でも、いつ、そのゴールは来るの?




息が詰まりそうになる。




まんたん、100ぱーせんと。?




頭ではよく理解できなかった。




じゃあもう頑張らなくていいってこと?

そんなの、こんなにダメなのにもっとダメになってしまう。

でも、そうだ。ゴールは来ない。それは分かっていた。




考えると、はてなだらけだった。


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