初めて心が折れた日〜もう野球辞めます〜

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前話: 生まれた自信、そして現実。


自信が大きかったからこそ

目標への思い入れが大きかったからこそ

折れた心。

薄れる野球への意欲。


「どーでもええわ。」


「もう野球辞めよかな・・・」


二言目には頭をよぎり、口に出しそうになっては必死にとどめる。


そんな最中、静かに中学3年の春を終えた。


残酷なくらい時間は誰にでも平等に進む。




一方その頃、これは学校生活の話である。



野球ができなくなっても困らないよう最低限の勉強はするように。


これが親との約束。


勉強は意外にも人並み以上にできた方だった。


各年度、初めて僕の担任を持った先生は僕の事を日常生活のテキトーさから

「こいつはただの野球バカ」だと思い込んでたらしく


テストの点を見るなり

「いや、なんかごめんやで」

と謎の謝罪を受けた事もあった笑


当時流行りだした「文武両道」を体現した野球少年でもあった。


そんな「ただのバカ→文武両道」と良い意味で裏切る期待がほんの少しだけ心地よかった。


それもあってか

「野球バカ→勉強もできる」

このコントラストが非常に受けが良くて

異常なくらい優等生扱いされた時期もあった。


それからというもの、悪さをしても、僕だけはなぜか許される。


何をやっても「ホンマはわかってるやろ?特に怒らへんから次からやめときや」


犯罪以外は何をやっても許された。笑



その頃の野球はというと

長期骨折のケガが癒えても


ブランクと落ちたテンションのせいなのか


以前のようなボールも投げられず

骨折の恐怖心からバッティングも思い切り振る事すら出来なかった。


野球を初めて嫌いにもなった。


「もう野球ええわ。」



そんな状態。



当初は野球推薦で強豪校からスカウトを受け

スポーツ推薦で高校進学が当然だと考えていたけど


「このままやと、勉強で進学せなあかんなぁ・・・」


いざという時の為にしていた勉強も

いざとなるとなんか寂しいものがあった。


勉強しててよかったなんか本心からは全く思えなかった。


「あー、早よ引退したいわ」


それが当時の気持ちだった。


短い春を終え、下がる気持ちとは裏腹に

少しずつ気温も上がり迎える初夏、ほんの少しづつ気持ちに変化が訪れた。



このまま終われるか!


以前まで切磋琢磨していた他チームの友人達から


「森田、高校どうすんの?」

「俺◯◯行くねん!」

「あいつ◯◯高校らしいで」


そんな話に、「俺まだわからんねん」と、なんとなくはぐらかす事しか出来ない自分に腹が立った。



「このまま終われるか!!!」



その頃のチームのエースは一つ歳下の後輩だった。


後輩にすらマウンドを譲り

不甲斐ない気持ち。

と同時に申し訳ない気持ち。



「最後の悪あがき、したろうやないか!」


そんな気持ちで最後の夏を迎えた。



するとバッティングは変わらず不調だったけど

なんとかピッチングは良くなってきた。


そんな中久々の好感触。


強豪相手に完封勝利をした。



これは、のちに知る事になるのだが

実はその試合をたまたま見ていたのが履正社高校の監督。

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