続「死ぬまでに会いたい奴リスト」に載ってる奴らに会ってきた話 〜ローマ編〜
昼にローマに着いてから度々Facebookのメッセージをチェックしていたけど、ファブリッツィオからの返信は来ない…ってか未読だし。
さてと、そろそろ日本から来る同僚達をホテルに迎えに行って明日のプレゼンの事前打ち合わせをしなくちゃな。
僅か20分くらいの滞在だったが充分思い出に浸れたし最後にタバコ一本だけ吸って一旦ホテルに戻ろう。
階段を降りて麓の右側の灰皿が置いてある場所でタバコに火を点けて、名残惜しくもう一度スペイン階段を見上げる。
相も変わらず人・人・人・人・人だらけ、世界中の観光客で階段が埋め尽くされて文字通り足の踏み場もないぐらいだ。そしてやたらカップルが多い。今も目の前を一組のカップルが通過して、いい歳こいたおっさんがイタリア語訛りの英語で自慢げに金髪ねえちゃんにスペイン広場について説明している。そこらでナンパしたんだろうが、イタリアではよくある風景だ。
あれー?このナンパオヤジ…サングラスでよく顔が見えないけどなんか雰囲気が…??
向こうもこっちを見てる。
ナンパオヤジはサングラスを取って近付いてきて元気か?って叫びながらお互い抱き合った。それは間違いなく昔の悪仲間の一人、パスクアーレだった。
急に叫びながらガッチリ抱き合う私達を、祝福してるのかからかっているのか、スペイン階段に座ってた世界中から来てる観光客達から拍手された。
普通この広いローマの中、僅か20分の滞在で、塵ほど大勢居るスペイン広場の中で、ピンポイントで俺が喫煙するタイミングで喫煙所の傍を横切るかー?タバコ吸いに行くタイミングが30秒ずれてたら会えなかった訳で。もっというなら18年という歳月はお互いの風貌を変えるのに充分過ぎたのによく気付けたもんやなと。
● 偶然バッタリ運
実はこういうことが私は昔からかなり多くあるって事をここで触れておこう。
例えば小学校4年で名古屋から東京に転校して行った親友と、自分が中学で東京に引越したら転校先の学校が偶然同じでまた同じクラスになったり、札幌や福岡に出張行ったら取引先でバッタリ中学時代の同級生に会ったり、ミラノの街角では高校時代のツレ、北京やジュネーブやニースなどの街角でも知人と、ロンドンヒースロー空港にいたってはかなり確率がよく、過去4回行って全4回6人も知り合いと偶然に会ってる。
こんな事もあった。ある日トレビの泉でイタリア人のおっさんに話し掛けられた。なんとそのおっさんはその一年前にノルウェーで出会い一緒に登山した夫婦の旦那だった。向こうは相当驚いてたけど、こっちはまたか…みたいに案外冷静だったんだけど、なんとその15分後に小学生から「お兄ちゃん1ヶ月前にマルタ島に居た日本人だよね?」って話し掛けられた。
確かにその1ヶ月前にマルタ共和国を旅して、ローマに戻る時にマルタの空港でイタリア人のガキの集団が居て何人かと話したわ。そのうちの一人かい!
さすがにノルウェーとマルタでそれぞれ会った人とローマで偶然バッタリ、しかも15分の間に2回というのは驚いた。
こういう特殊な能力というか性質に気付いたのは18歳くらいの時かな。で、この様な性質の事を”偶然バッタリ運”と当時高校生の私は命名していた。
何故こういう事が起きるのかも、当時自分なりに考えて結論付けている。
1. 知り合いの絶対数が多い (遭遇確率が高い)
2. 目立つ風貌 (相手が自分を見つけ易い)
3. 観察力 (自分が相手を見つけ易い)
4. 星 (科学では説明つかない何か)
4はそういう星の下に生まれた的な、またはその会う相手との赤い糸的な運命?
そう言えば、今の奥さんもミラノの街中でバッタリ会ったのが付き合うきっかけだったわ。まあ、それはどうでもいいか。
そういうのひっくるめて、とにかく私は”偶然バッタリ運”が強い。
● 悪友パスクアーレ
話しが相当脱線したけど、こうして昔の悪仲間パスクアーレと偶然再会したのであった。
パスクアーレは夜な夜な踊りに行ってたコアな面子ではなく、私より4つ年上だからか少し落ち着いてて南イタリア訛りの超日本フリークなイタリア人だ。当時は昼間仕事の合間によく一緒にバールに行ったり、ムネの家に居てなんか気付いたらカルティーナを巻いてる人…みたいな、いつの間にかジョイント作ってる人…みたいな。特殊なポジションだった。
そんな彼はいまB&B、と言っても民宿的なホテル業を営んでいて、彼が連れていた女性はナンパじゃなくオーストラリアから観光に来た彼のお客さんで、たまたま時間が空いたからスペイン広場に一緒に来て案内してたらしい。
取り敢えず3人でバールに行きお茶を飲んだ後に、彼女は我々に気を使ってか単独行動とるからと街に消えて行った。彼女にはちょっと悪い事したな。。
パスクアーレから今夜予定無いなら飯でもどう?と訊かれたが、実は日本から同僚が来て仕事の打ち合わせをしなくてはならないんだ…と説明した所でFacebookメッセージが届いた。
まさかこのタイミングでファブリッツィオか!?
否、残念ながらファブリッツィオは相変わらず未読だった。
しかーし、またもや天は我に味方する。
メッセージ差出人はあと数時間後に合流する予定の同僚達(同僚っていうか上司と部下)だった。内容は日本が台風直撃を受けたせいで飛行機が出発が遅れ、当日中にローマに来るはずがヘルシンキで1泊して明朝ローマに来るという連絡だった。
なんと!同僚には本当に悪いがナイス台風!ツイてる時は重なるもんや。
結局晩飯を作ってくれるとの事でそのままホテルに寄らずに、スーパーで食材を買いパスクアーレの家に直行した。
前菜は生ハムとブッラータ(水牛モッツァレラより数倍美味い南イタリアのチーズ→食べたことない人居たらぜひ食べてみてください)。プリモはフンギポルチーニのタリオリーニと、パスクアーレ特製イタリア料理を堪能しながら昔話しに盛り上がった。
(実際の写真)
● 卵星人 (たまごせいじん)
次の日、起きてからホテル下にあるバールに行ってカフェ飲みながら仕事メールとメッセージをチェックしたら、なんと、あのファブリッツィオから返信が届いていた。
と、バールの住所を送った。すると30秒も経たずに
って、返信がきた。ただ、今から来るって有り難いがこれから仕事あるし、だいたいファブリッツィオは今どこよ??・・・・って書いてる途中で
って声がした。
嘘やろ?バールの住所を送って1分しか経ってない。
振り向くと通りの向こうから卵星からやってきた宇宙人みたいなのが走ってくる。もうこの距離からでもアイツだと分かる。
ファブリッツィオって当時から、何というか頭の形が卵型で1mm坊主で眉毛が極太っていう超特徴ある顔つきだったから、当時日本人からは卵星人(たまごせいじん)って愛称で呼ばれてた。ちょうどガッツ星人とメトロン星人のあいのこみたいなイメージ?
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