中学1年生が600万円を集めて母校を廃校から救おうとしている話

<

2 / 2 ページ

著者: 松原 真倫

左鐙地区の借家は、すでに何組もの移住者世帯が入っていて、

満杯の状態でした。


残っているのは改修が必要な家ばかり。

改修のための費用を捻出する余裕は集落にはありませんでした。

町の補助も期待できません。


そのとき、Founding Baseが提案したのが、

クラウドファンディングで改修費用を調達をするという案でした。


改修に必要な費用は総額800万円。

自己資金で何とか集められる200万円を除いた、

600万円をクラウドファンディングで集める必要がありました。


「そんな大金を、人口300人の無名の集落が集められるのか」

「費用を集められたとしても、改修した家に小学生の親子連れが入ってくれるのか」


不確実なことばかりでした。


それでもやるしかない。

他に手段は残されていませんでした。


左鐙の取り組みを日本中にアピールしたい。

小規模校を抱える地域が直面する厳しい現状に目を向けてもらいたい。

そのなかで左鐙を応援してくれる人の輪を広げていきたい。

クラウドファンディングはそのきっかけになるかもしれない。


集落の意見が一致しました。

左鐙は、最後の賭けに出ることになりました。


「左鐙が自分を変えてくれた」中1が立ち上がる


クラウドファンディングの提案者には、12歳の鈴木智也君が名乗りを上げました。

今年3月に左鐙小学校を卒業した中学1年生です。

                        (近所の方と映る智也君)


智也君は2013年4月に首都圏から左鐙に引っ越してきました。

彼は「左鐙が自分を変えてくれた」と言います。

でもその教育は彼が卒業して1年後には無くなろうとしていました。


智也君は、左鐙小学校の統廃合をテーマとした、教育委員会と左鐙集落との意見交換会に出て、

自分がいかに左鐙で成長したのかを思いを込めて話しました。


「左鐙に来るまで風邪を引きやすい体質だったが、山、森、川で思いっきり遊ぶ中で身体がとても丈夫になった」


「引っ込み思案だった性格だったが、地域の子どもから大人まで色々な世代と濃密な関わりを持ち、

誰とでも仲良く、楽しく話ができるようになった」


「授業で自分の意見を言うのが苦手だったが、少人数授業で毎日何十回も先生から意見を求められ、

堂々と自分の意見を話せるようになった」


でも教育委員会にはその言葉は届かないようでした。


「左鐙のために何かをしたいけど、何をしたらいいかわからない」


智也君が無力感に苛まれているとき、

Founding Baseの林と松原がクラウドファンディングのアイディアを持っていることを知りました。


「左鐙の教育を受けた自分がクラウドファンディングの提案者になることで、子どもの目線から左鐙教育の魅力を訴えることができるかもしれない」


智也君は、直感的に「自分はクラウドファンディングに関わるべきだ」と思ったそうです。


智也君は提案者になることを決意してから、

部活、勉強の時間をやりくりながら、

何度も左鐙地区や支援者の人たちと打ち合わせを重ねました。


中学生がクラウドファンディングの提案者になることを聞きつけて、

テレビや新聞が何社も取材に来ました。

今月末には東京で”TEDxKids@Chiyoda”という大きなプレゼンテーションイベントに出演します。

           (TEDxKids@Chiyodaの智也君プロフィールページ)


集落の未来を背負い、社会の注目を集めながら600万円のファンドレイズに挑む智也君。

12歳の中学1年生にかかるプレッシャーは計り知れません。


しかし、智也君はこう話します。


「お世話になった集落を救い、さらに自分もたくさんの経験を詰める。こんなチャンス、一生のうちに一度しかないと思います。この機会に挑戦しないとか、もったいなさすぎます」


智也君がTEDの準備をする傍らで、

集落の人々は空き家改修の準備を進めたり、

移住希望者との面談を重ねています。


智也君にも、集落にも悲壮感はありません。

もともと明るい気質の人が集まっている集落なのです!


多くの方に左鐙の魅力を知って頂き、

このプロジェクトを応援頂ければ本当に嬉しく思います。


長文を読んで頂きありがとうございました!!!


                         

おわりに

このプロジェクトを支援する株式会社Founding Baseは、2014年11月29日(土)に智也君とともに東京でイベントを行います。


ぜひ多くの方に生の智也君の思いを聞いて頂ければと思っております。

当日ご来場が難しい方も、シェアやRTなどで応援頂けると力になります。


何卒宜しくお願い致します。

-----

READYFOR?クラウドファンディングプロジェクト「廃校寸前の島根県左鐙小学校を救う!移住者向け住宅を改修!」

https://readyfor.jp/projects/sabumies

-----



著者の松原 真倫さんに人生相談を申込む