貯金残高192円『さぁ、結婚してみよう!』其の三
そして、このたーさん式中にツイッターで「結婚式なう。最後の挨拶どうしよー」と投稿。
最後までマイペースな人だった。
そして、本番に向かうわけだが、結果として 私達の場合 は
1番お金が動く映像や写真にお金をかけずに済んだ事、
過度なオプションをつけなかったこと、
来賓者が多かったこと、
また、たーさんの仕事関係の方々が思った以上に包んでくれたことも重なって 結局 かなりの黒字で式を終える事が出来た。
結婚式の支払いは、私達のように元手があまりない夫婦にも式が可能なように式 翌日に現金払いもしくはクレジットカード払いというのもある。
場所によっては1週間待ってくれたり、共済プランなどの破格の式場泣かせのプランもある。
つまり、人数を増やす、来賓の方の割合を少し考えるだけで結婚式は誰でも可能だといえる。
もちろん、クレジットカードなら、いきなり数百万単位で決済するので、ポイントも貯るし マイルを貯めて新婚旅行とまではいかないが、小旅行などにあてても良いかもしれない。
私達は後者を狙って、翌日にクレジットカードで支払いを済ませた。
まさかのたーさんの確認ミスで夢のポイントをめでたく失効させるわけだが これらを聞いて 結婚式を身近なものと感じてもらえたら嬉しい。
あれほど億劫だった挙式披露宴だったが、浅草の街中を人力車で走るところから始まった1日はまるで夢のような時間だった。
雷門の前で観光客の方々におめでとう〜‼︎とたくさんのお祝いの言葉と拍手をもらい1日だけのスターになった気分だった。
こんなグダグダな私達だったが、式を挙げると決めた事は、やはり間違ってなかったと思った。
あんなに楽しかった日は、今までなかったかもしれないと思うほど。
大好きな人達が 私たちのために集まってくれる。
心から祝福してくれる。
なんてステキな事なんだろう。
女性がこの日のために、最高の自分になりたいと思う気持ちが少しわかった。
その分 あのメガネさんには申し訳ない気持ちでいっぱいだけれど(笑)
たーさんはというと、友人達に日本酒、ワイン、焼酎のスペシャルちゃんぽんボトルを高砂の席に置かれ、挨拶に来てくれる人みんながそれでお酌をしてくれた結果、どうやら式の途中から記憶がないらしい。
危ぶんでいた式の締めの挨拶では、新婦の両親への手紙の印象が薄れるほどの大号泣だった。
母親が早くに亡くなった彼にとって義父はとても大きな存在だったのだと思う。
たーさんが、式をあげたかった理由のひとつは、やはりそんな義父に自分の晴れ姿を見せたかったんだと思う。
その思いが胸にこみ上げてきたのか、言葉は涙となって溢れ落ちた。
あの時の親戚一同、友人一同からの「頑張れ!」コールは今でも頭から離れない。
あそこまで新郎が泣き崩れて、みんなにエールをもらう式なんてなかなか無いと思う(笑)
そして、たーさん記憶の無いまま3次会まで突っ走った訳だが、
たーさんはあろう事か、その3次会で私の友人を本気で口説き、結婚式当日のその夜に新婦の私にグーパンチをもらい前歯を消失させた。
部屋に険悪なムードのまま戻り、私はそのままシャワーを浴びにバスルームへ。
遠くの方で、ドアの閉まる音が聞こえた。
シャワーから出ると、手付かずのルームキーと何故かタキシードのズボンとパンツだけが残されていた。
新婚初夜はと、スイートルームの部屋を取っていたのだが、実はスイートまではルームキーをエレベーター内の鍵穴に差し込まないとその階に止まらない仕組になっている。
その事を忘れたのか、その数十分後に下半身をバスタオルで巻かれた情けない新郎が部屋へ戻ってきた。
後から聞いた話では、下半身のみ裸のたーさんがフロント周りでウロウロしていたところをボーイさんが慌てて保護してくれたとの事。
何度か部屋へ戻ろうと彷徨っていたらしいが、そもそもエレベーターが止まらないので お手上げになったたーさんは新婚初夜にフルチンでフロントへ助けを求めたらしい。
さすがとしか言いようがない。
ここまで話題の尽きない男を見た事が無い。
ここまで来ると怒りを超えて、この人の生態にさらに興味が湧いてきた。
不思議だが、この7年間 こんなたーさん相手なので、いろんな荒波はあった。
(これもたーさん曰く、私が怒っているだけで そんな事は無かったというけれど)
が、しかし。
離婚をしたいと思った事は1度ない。
うーん。たぶん無かったと思う。
ケンカをしても、


あのォ〜…言葉のキャッチボールってしってます?((((;゚Д゚)))))))
だけど、それが意外と居心地が良かったのも事実。
下手に売言葉に買言葉みたいなケンカはそのおかげで無かったし、何より基本的にポジティブでクヨクヨ悩んだりもしない人なので、ケンカをしても驚くほどアッサリと終わった。
その分、私もたーさんという 超マイペースな人種への飽く無き探究心が尽きなかった。
少女漫画のような、キラキラした世界にはきっと永遠に辿り着く事は出来ない2人だと思うが、時にコメディ・時にアクション映画のように、
この人とこれからも仲良く暮らしていきたいと思います。
ご声援ありがとうございました^_^
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