振られることが怖くて あなたの恋から逃げました

著者: 石黒 雄太

私はきっと、あなたに想われていたのでしょう。

確かめた訳ではありません。

そんな雰囲気がしただけです。あなたとその周りから。

だから単なる思い込みかもしれません。でも間違っていないと思っています。


あなたに応える素振りが全くなく、やきもきしたかもしれません。

興味が無いのかと落胆したかもしれません。

さぞ鈍い男と思われたことでしょう。

白状します。

気付いていなかったのではありません。気付かないフリをしていたのです。

ご存知かどうかは分かりませんが、私は会話が苦手です。

口下手で会話が続かない。気まずい沈黙。そんな場面が幾度もありました。

何かで読んだ、「喫茶店で2時間持たないダメ男」。

それに自分を当てはめていました。

ですので。こんな私は。

仮にあなたと付き合ったとして、あなたを満足させられない。

そう決めつけていました。

あなたと付き合えたとしても、すぐに愛想を尽かされてしまう。

そんな恐怖に怯えていました。

結果私はあなたの気持ちに目を背け、あなたの恋から逃げました。

好きになった人は別にいる、そう自分に言い聞かせながら。


今、私はあなたに謝りたい。

身勝手な恐怖であなたから逃げていたことを。あなたを無自覚に傷つけていたことを。

赦してほしいとは言いません。

ただ願わくば、あなたが幸せに生きていかれますように。


————

高校時代に出会ったあの人へ。

失う恐怖で何もしない、その選択が自分を責めたという話。

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