天と地の間を生きて*現実とスピリチュアルというふたつの世界を生きていく苦しみと喜び【4】
中学3年生になってから、みんなどの高校を目指すかという話しをしていたけれど、私は、そのことには、全く興味がなかった。
むしろ、高校にいくことに不安や恐怖を感じていた。
それは、思春期になって、ものすごい勢いで変化していく、女の子の友だちが恐かったということもあった。
女の子の友だちの、体中から棘がでているように感じて、近づくことができなかった。
そして、どの高校へも行きたくなかった・・・。
中3になってすぐのことだったろうか、私は、母と一緒に、ピアノのリサイタルに行った。
そして、私は、自分自身の内にある、苦しくなったり、悲しくなったりした時に行く、心の中の大好きな花園があったのだけれど、まるで、その花園にいったこきのような気持ちで、ピアノの演奏を聴いた。今までに、体験したことがない時間と空間だった。
私は、とても感動した。本当に、素晴らしいと思ったし、私は、喜びや、安堵感を感じていた。
その時から、自分も、ピアノをずっと弾いていたいと思った。
本当に、来る日も来る日もピアノを弾いた。そして、音楽高校に行きたいと、心から思った。
両親に話すと、大変な子だから、普通の高校にいってもやっていけるかどうか心配していたそうで、頑張れるだけ頑張んなさいとのことで、私は、音楽高校を受験することになった。
私は、ピアノの練習に明け暮れた。
その頃の自分、レッスンで言われたこと、耳に聴こえてきた音、耳を澄まして聴いた音のことは、とてもよく覚えている。
何も、覚えられない私が、本当に、くっきりと、鮮明に、詳細に覚えていた。
私は、たったひとりの友人である音楽と出会ったことで、この世界でも、なんとか生きて行けるようになった。
音楽高校を受験し、合格して、親元を離れ寮に入って、音楽学生生活がはじまった。
私は、このころ、はじめて喜びや楽しさを味わった。
音楽の世界は、私に生きる喜びを与えてくれた。
絶好調の毎日だった。
それでも、その喜びの日々は、長く続かなかった。。。
もともと、人間付き合いが苦手な私だっただけに、学校での友人関係や、とくに寮での人間関係は大変だった。
そして、いつしか、無視という行為で、いじめられるようになった。
それでも、いじめは人のすること。
私には、その人が何を考えているのかは、だいたいわかったので、人が怖いということはなかった。大変だな~と思っていた。
それでも、そんなことがあると、私でも、傷ついたり、悲しかったり、苦しかったりしたようだった。
まず、身体に変化がおきた。
夜眠れなかった。心臓がバクバク鳴る時もあった。目がよく見えなかった。
ふらふらして、うまく歩けなかった。
この状態がつづくと、あぶないなあと、真剣に思った。
その身体の不調に加えて、私は、耳元で、頭の中で聞こえている恐ろしい声に悩まされ続けていた。それが、いじめより、何より恐かった。
その声は、「お前は、価値の無い人間だ。」とか「生きている意味も価値も無い。」と
言い続けた。そして、その内容は、エスカレートしていった。
私は、もはや生きていることができなくなった。
自分の中が、恐怖の声でいっぱいになった。
そして、身体も動かなくなった。眠れない夜が、何日も何にちも続いた。
もう、これ以上生きていることは、無理だった。
そして、私は、自分で命を断った。。。
でも、自分の願いは、かなわず、病院のベットの上で、目が覚めた。
ものすごい、落胆だった。私は泣いた。息を殺して泣いた。
この時間が、止まってなくなればいいのにと何度も思った。
私が断ち切りたかった、私の中に鳴り響く、恐怖の声は、息を潜めていた。
でも、かすかに聴こえる低音のように、深いところで、しずかに響いていた。
もう、どうしたらいいのかわからなかった。
心も身体も、すべての力がぬけていて、何もできない状態だった。
私は、とりあえず家に帰り、信じられない時間、眠った。
両親は、私に、何も言わなかった。攻めることもしなかった。
起きている時間が、少しずつ増えたけど、何も食べれなかった。
私は、水だけを飲んで生きていた。
私は、夏休みをはさんで、2ヶ月くらい学校にいっていない。
これから、どうしたらいいのか途方にくれた。
それでも、音楽は、やめることができないと思った。
命があるなら、音楽をやっていたいと思った。
というか、それしかできないということも、わかっていた。
心配する両親に、学校に戻りたいことを話した。
本当に心配だったと思うけれど、食事がちゃんとできるようになったら
戻っていいこと。そして、ちゃんと病院にかようことを約束して
私は、学校に戻ることになった。
戻ってみると、みんなの視線が怖かったし、痛かった。
もどって何ができるだろうと思ったけれど、私を支えるものは音楽しかなかった。
学校に行く前の日に、高校の先生が紹介してくれた病院にいくことになった。
気持ちは、まったくすすまなかったけど、私にとっては
運命の出会いが、待っていた。
私の中で囁くこえは、以前のように、大きくひびくことはなかったけど
小さな声で、ささやいて、恐怖を煽った。
病院の待合室で、私は今にも狂いそうだった。
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