【その4】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。
【その1】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。
【その2】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。
【その3】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。
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朝になると、崩れていた天気も持ち直し、傘も必要なくなった。出発して2日ほど。観光という観光をまだ堪能しておらず、ベタな観光地をひたすらまわることにした。
名古屋に滞在しているのにも関わらず、沖縄料理屋に入って沖縄そばを食べるという、なんともその場不相応なひとときを過ごした。しかしその沖縄そばが疲弊した心と体に沁みわたり、じんわりと目にこみ上げるものが。。なにかしら僕のチューニングがずれている。ベタに矢場とんとか行けばよかった。
心機一転、サンダルも新調したかったので、宿に戻ったのち、ぞうりを買うことにした。「島ぞうり」。奇しくも沖縄グッズである。いったい俺は名古屋でなにをしているんだ。
そんなこんなで自分なりに名古屋を満喫した後に宿に戻る。
旅人が多く滞在する場所、ゲストハウス。
そこには日々様々な人が行き交う。ショートステイからロングステイ、様々である。
ちょうど僕が宿に戻る頃に、3人組の男女がチェックインした。
もともとの僕の性格的に、積極的に人に話しかけるような度胸は持ち合わせていなかったので、フリースペースでひとりぼっちで次の宿情報を調べていたのである。
しかし、チェックインする客は必ずフリースペースを通らねばならない。
僕はその3人組に挨拶をした。
なんともオープンな方々なんだろう。
ひとしきり旅の経緯を話したのち、僕はまたフリースペースでゴロゴロしていた。
たまたま、四国からスーパーカブで服などの雑貨を売りながら旅をしている、年が一つ上のJくんという人と知り合った。上階のフリースペースでどうやら、他の旅行者と談笑していたらしい。
しばらくすると、先ほどの3人組が階段から降りてきて、飲みに出かけるとのことだった。
即答。総勢5名で名古屋名物の手羽先が味わえる居酒屋チェーンへ向かう事となった。今回が初めての一人旅だった僕は、他の4名の旅人トークを聞きながら終始、圧倒されていた。世間一般にいう「常識」からはみ出まくっている人たちばかりだ。
義務教育 → 就職 → 結婚 → 定年 → 老後
これまで一般的な流れとされてきたレールには乗っからない人たち。
終始、目からウロコの世界。なんだかテンプレ通りの人生を生きて来た僕を見透かすように、「もっとはじけていいんじゃない?もっといけるよ。自分を出していこう!」そういった後押しをしてくれたのだった。
We are the worldや、Change the worldをみんなで歌ったり、合唱したりしながら、楽しい夜は過ぎていった。今でもフェイスブックで繋がれている事が、何よりありがたい。
適度にほろ酔い、各々宿に戻った。翌日の朝食を全員で囲み、長野、東京、それぞれの旅路に分かれた。
雨も止んだ。
そして、僕はまたひたすら、西へ。
旅は後半に差し掛かった。天気は快晴だ。
理由はなかったが、気になる宿があったため奈良へと向かった。
、、、迷った。
数時間走り、ようやく奈良公園に到着。
人慣れしているせいか、実に穏やかな鹿たちだった。(写真は拝借)
僕が1日に走れる距離はスクーターで150kmほどだったので、早めに宿にチェックインし、休息をとった。昔ながらの古民家を改装したゲストハウスだ。穏やかで優しい声のオーナーさんに説明を受けながら、しばし休息をとった。
休憩が終わり、フリースペースで旅情報が載った雑誌を読もうと向かうと、続々とゲストたちが帰ってきた。どうやらフリースペースでパーティーが始まるらしい。邪魔にならないように隅によっていると、声かけられた。どうやらマッコリの飲み方がわからないらしい。ビールで割っても美味しいよ。と伝えると、ありがとう!よかったら一緒にどう?と言われ、僕も混ぜてもらえることになった。
4日連続、初対面の人たちと飲んでいる。なんて楽しいんだ。
日本という国にいるのに、なぜか日本人のゲストは自分だけ、というなんともグローバルな雰囲気を楽しみながら楽しいひと時を過ごした。香港、オーストラリア、韓国とバックグラウンドは様々であった。
飲み足りなかったメンバーで、街に繰り出す事になった。
韓国人の女性2人と自分。なんとも不思議なメンバー。
どうやら京都と奈良(あと、日本のアーティスト)が大好きらしく、神社やお寺をまわっているそうだった。
一通り、談笑し終わり会計をする事になった時に、僕が
と言われたのだった。毎日知らない土地をめがけて、毎日知らない人に会って、自分では気づかなかったけれど、心身ともに疲弊していたのだろう。その言葉が嬉しくてじんわりきたのだった。
3人で、かすかに見える夜空の星を眺めながらゲストハウスへと帰る。
大学卒業後、就職したみんなは今も、頑張りながら働いているのだろうか?とかつての仲間たちが今どう過ごしているのだろうか、そしてレールを外れてしまった僕のこれから先の人生は一体どうなっていくのだろうか?と思索を巡らせながら、就寝した。
しかし、その思考のベースにあったのは、ほぼ、希望だけだった。
先のことなんてわからない。だけど人生は一度きり。好きなように生きてやる。
奈良の夜は深まる。旅の終わりは徐々に近づいていた。(次でおわります。笑)
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