【最終話】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。

前話: 【その4】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。

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【その1】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。http://storys.jp/story/8107

【その2】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。http://storys.jp/story/8141

【その3】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。http://storys.jp/story/13602

【その4】大学卒業後、ろくに就職もせずにカケモチでしていたバイトを辞めて7日間だけの旅に出たら、人生が少しだけ明るくなった話。https://storys.jp/story/14117
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充実した夜を過ごした僕は、昨晩仲良くなった友人たちに別れを告げて、東大寺に向かった。社会科の教科書でみた像が目の前に佇み、圧倒され、なぜか近くの絵馬に言葉が描きたくなり、購入して即くくりつけた。

その後、大阪南港へ向かった。フェリーに乗る為だ。この旅で、どうしてもフェリーに乗りたかった。

なぜなら僕の旅の原体験は、中学2年生の時に行政が主催した「少年の船」という交流事業で初めて船に乗って、色々なバックグラウンドを持った人たちと出会い交流したことで、自分の住んでいる世界の外側には色々な人たちとその暮らしがある=世界は広い という事を肌で体感した出来事だった。

原付を地面に固定し、客室へ向かう。いわゆるたこ部屋という所で個別の仕切りはない。夕方に出航し、朝には鹿児島に到着する船だ。

船の中でも出会いはある。腹ごしらえをしようとカップ麺の自動販売機でチキンラーメンを買い、食べていると、鹿児島の親戚の結婚式へ出る為に船に乗っているという土建屋の親方さんと、関西での用事が済んだので宮崎へ帰る所だという飲食店勤務の方と出会った。

それぞれ身の上話をした後に、また明日、といって僕は部屋に戻った。
船内の風呂場の中にある湯船に入りながら、僕はこの先どんな人生をを歩もうかずっと頭を悩ませて居た。

新卒切符は捨て、アルバイトは辞め、当時の彼女とは別れ、散々だった。

答えは出ないので、ひたすら人に会うしかない、そのうち光が見えてくる、と思った。

翌朝、フェリーは鹿児島に到着した。志布志という街は、僕が育った串間からとても近い。久しぶりに、地元に戻ってきたのだった。スクーターと共に。

改めて時速30キロの目線で慣れ親しんだ街をスクーターで走っていると、自然の雄大さを改めて感じるのだった。

豊かな海と山、水平線の見える灯台、聞き慣れた方言。僕は地元に帰ってきた。

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会ってみたい人がいた。
静岡にいた時からインターネットを通じて知ってはいたのだが、僕の地元で或るNPOがソーシャルビジネスを始め、地域の課題解決に取り組んでいるらしい。

東京のIT企業のトップセールスマンがなぜか地元の山中に移住をして、地域を盛り上げる為に頑張っている。

そして昔ながらの製法で海水で塩を作っている人間がいる。

なぜ???

という事でアポイントを取って会いにいった。


アゴヒゲを極限まで伸ばし、縁のふとい黒縁メガネをし、帽子を被り、マックブックを片手に僕の手前まで歩いてきたその男が、挨拶もせぬまま、僕の目すらみずに私に発言した一言が

「それで君はなんでウチで働きたいの?」だった。

僕は状況が飲み込めず、

「えっ?ただお話を聞きにきただけなのですが、、?」

から始まり、僕がここの出身であること、どんな人生を送ってきたのか、インターネットで活躍をみて話を聞きたいと思ったこと、このNPOの活動に興味があること、これから予備自衛官になる為の訓練に行くこと、、その後の人生が未定であること、などを色々と話をした。

※予備自衛官になった話はこちら(https://storys.jp/story/15018

終始macbookから目を逸そうともしないその男が放った二言目がさらに衝撃的で、僕の次の人生が決まった瞬間だった。

「えーめっちゃ面白いじゃん。その訓練終わったらウチで働いちゃえばいいじゃん!」

・・・・・・・

「え!いいんすか!ぜひ!」

僕の就職活動が一瞬で終わった瞬間だった。

そうして自分は地元で働く事になった。

そこから、宮崎で約7年間働く事になる。その後、セブ島に留学し、30才になった今はインドで働いているが、その話はまた別の機会に書きたいと思う。



日頃自分の住む世界。

その日常から少し離れてみると、これまでに出会った事のない層の人たちと出会うことができる。いわゆるレールに沿わない人たち。いわゆる常識に従わない人たち。僕のステレオタイプをことごとくぶち壊してくれた、この旅で出会った全ての方々に感謝している。これに味をしめた私は、旅行や出張の際はほぼ、ゲストハウスにしか泊まらなくなった。色んな人と出会い、人生を語らう為だ。


大学を卒業後、ろくに就職もせずカケモチしていたバイトを辞め、7日間だけの旅に出たらなぜか就職も決まり、人生が少しだけ明るくなった。


人生はいちどきり。自分のペースで、あるがままに過ごそう。


おわり

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旅とその出会いは人生を豊かなものにしてくれます。

僕は、旅と、旅で出会った人々のおかげで人生が明るくなり、今があります。日々に疲れてしまったら、ぜひ旅に出てみてください。きっとなにか一筋の光が、あなたの目の前に射すはずです。

この旅で出会った人たち、そしてこれまでの人生で僕に関わった人たちに対する感謝の気持ちを込めて、自分の人生の振り返りとして2014年くらいから書き始めましたが、2020年、ようやく最後まで書くことができました。

なぜかまわりまわって今インドで生活していますが、その話も追い追い書いていきたいと思います。ありがとうございました。


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