第14話 1本の木と奇妙な夜 【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
これは、僕が「聖なる真実」で見たビジョンだ。
聖なる真実…??
意味がよく分からなかった。
だけれど、彼のその口調や様子がとても大切な話のように感じた。
ルカは床に座って黙ってこちらを見ている。
そして木の横に3つ、三角に並んだ星が輝いていたんだ。
一体何を意味しているか分からなかったんだ。
英語の分からない私は、
なぜかその時は彼の言葉がよく理解できた。
彼は静かに、そして真剣に聞いた。
でも、一辺でも長さが違うと、バランスは崩れるんだ。
私の言葉は、まったく文法にはなっていなかったと思う。
それはただ単語と単語をつなげた説明だった。
そして手やジェスチャーでなんとか伝えようとした。
だけど、彼は私の話を理解しているのが分かった。
それは言葉ではないコミュニケーションだった。
彼が理解したのも、私が理解したのも、お互い分かっていた。
彼の目がまっすぐこちらをむいている。
はぁ…。よく分かったよ。
彼はゆっくりため息を着くようにそう言うと、コップに入ったラムを飲み干した。
僕はもう寝るよ。
そう言うと、彼は自分の荷物をまとめはじめた。
アイリーンの目はトロンとしていてだいぶ眠そうだった。
少しよたついている。ラムが相当効いたようだ。
Gracias(ありがとう)。
最後はペルーのスペイン語の挨拶だった。
みんなにハグをすると、彼は部屋から出て行った。
バタン。扉の閉まる音と静けさが同時にやってくる。
オレンジの照明は、みんなが出て行くと案外普通に感じた。
ルカももう床の地図をたたみ終わっていた。
急に普通の現実に戻ったような感覚だった。
そう言うと、ルカは何事もなかったようにさっさと自分のベットに入ってしまった。
何だかやけにそっけない態度だ。
ーマイクは何だったんだろう。不思議な夜だった。
英語も分からない私は、今となっては全部なにかの勘違いにも思えてくる。
ーまぁ、なにか彼の中で偶然があったのだろう。
私の絵を見て驚いていたマイクの真剣な表情が浮かんだ。
さっきの出来事を現実的な頭でテキトウに整理して、
私もベッドへと潜り込んだ。
ー聖なる真実
マイクが口にした言葉には、印象的な響きだった。
部屋の電気が消える。ルカが消してくれたようだ。
彼の寝息が聞こえ始め、私も気が付くと眠っていた。
私にも高地でのラムが効いたようだった。
今日の夜のことはそのままマチュピチュの深い夜へ
吸い込まれていくようだった。
ーそして明日はついに、マチュピチュだった。
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ここまで読んでくださってありがとうございます。
ネットで書くのはここで終りとなります。
このストーリーは2013年までの
私となほに起こった実話を書いています。
2年たち、私たちのストーリーはさらに深くへと進んでいます^^
この話を描こうと思ったのは、これは私たちだけの物語ではなく、
すべての人が「自分に戻る」その過程ではないか、と思ったからです。
グアテマラから始り、メキシコ、セドナ、ペルーを旅しながら
1年かけて書きあげました。
ラストは少し衝撃的で、書くのをためらいましたが
是非読んでみてください。
私たちのこの物語が
自分に戻る扉となりますように。
あーす・じぷしー maho naho
私たちの人生には二通りの生き方がある。人生に奇跡など全くないと思う生き方と、まるですべてが、奇跡だと思う生き方。―アルベルト・アインシュタイン
ーこれはあなたの人生がもう一度軌跡で溢れる本。
2019年に3万部を超えるベストセラーとなりました。
長く愛される物語となっています。
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