【第二話】『最初の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
僕が失ったモノ…
2013年8月26日。
最愛の彼女と別れることになった。
悪い夢を見ているようだった。
彼女のために、
就職をし、
会社でトップの成績を残し、
プロポーズをし、
同棲をした。
その結果が、
適応障害になり、
会社を休職し、
彼女に別れを告げられ、
そして、うつ病になった。
今まで自分が良かれと思って一生懸命やってきたことが、最悪の結果になった。
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
この時彼女は、30歳になっていた。
ものすごく結婚したがってたのを知っている。
僕は、そんな彼女の夢を自分が叶えられることが嬉しかった。
しかし僕は、夢を叶えるどころか、
奪い取り、深く深く傷付けてしまった。
僕は、20代というのは、とても大切なかけがえのない時間だと思っている。
25歳から30歳は特に、人生を左右する最も大切な時間だ。
彼女は、やっと幸せになれると思っていただろう。
結婚をし、夢を叶え、親孝行をし、幸せを掴めると思っていただろう。
そんな思いを、僕は踏みにじってしまった。
3年という長い年月をかけて、踏みにじってしまったのだ。
そんな彼女に僕が、最後に言えた言葉は、
「幸せになって下さい。」
だった。
何とも無責任な言葉だろう。
でも、今の僕が彼女を幸せに出来る最後の言葉だった。
僕という苦しみから、彼女を解放させてあげるのが、
僕が彼女に出来る最後の愛情表現だった。
僕は、自分自身を恨んだ。
今の自分。
今までの自分。
自分の選択。
自分の行動。
自分の非力さ。
自分の無責任さ。
自分の存在を恨んだ。
本当は、誰よりも幸せにしてあげたいのに、
実際は、誰よりも傷付けてしまった。
僕は、人を不幸にする。
僕が、選択をすること、決断をすること、行動をすることは、人を不幸にする。
「僕には、誰も幸せにすることが出来ないんだ…。」
僕は、彼女と向き合うことから逃げ出したんだ。
自分自身から逃げ出したんだ。
仕事を休職した時も、僕は逃げたしたんだ。
仕事から、お客さんから、上司から、先輩から、後輩から。
言いたいことだけ言って、実際は何も解決させずに、逃げ出したんだ。
思い返せば、今までずっとそうだった。
子どもの頃の習い事も、部活も、趣味も、勉強も、仕事も、
嫌になったら辞め、何も長続きしない。
そのおかげでたくさんの経験が出来たのは事実だが、
僕には、何一つやり遂げたことがなかった。
新しい選択肢を見付けては逃げ、
また逃げ、逃げて、逃げて、
逃げ続けてきた人生だった。
「僕は、これまでの26年間、何をしてきたんだ?」
「一体、何を得たんだ?」
「今、何が出来るんだ?」
僕には思い付かなかった。
いや、答えは出ていた。
「僕には、何も出来ない…」
最愛の人を失い、
仕事の出来ない身体になり、
収入は無くなり、
夢や希望、気力、
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