【第二話】『最初の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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聞けば、はじさんは高校生のバンドの大会で、

初代グランプリを受賞したバンドのボーカルだった。

カリスマ的な存在の人だった。


僕も名前を聞いたことのあるバンドだった。

はじさんのバンドのドラムのサポートをしていたのが、

僕の姉ちゃんの元彼氏だったのだ。

僕が中学でバンドを始めたキッカケは、

その姉ちゃんの彼氏のライブを見に行ったことだった。



「世の中どこで繋がっているか分からないな…。」



そう思った。



後々分かることだが、

はじさんの彼女、今の奥さんと僕は同じ中学で、

僕の姉ちゃんとは高校も同じだった。

しかも、素行が悪かったせいか、姉ちゃんの存在を知っていた。



そして不思議なことに、

はじさんは、学年が被っていないのに、なぜか健ちゃんのことを知っていた。

はじさんが、部活の機材を借りにきた時に、健ちゃんに出逢ったらしい。

はじさんも、健ちゃんのことを、

変な…、いや、面白い子だと思ったらしい。

そのとき2人は連絡先を交換していた。

今まで全く連絡を取っていなかったようだが…。



機材を借りに、たまたま行った部活で健ちゃんと出逢い、

なぜだか連絡先を交換した変な後輩の彼女が

今、車に乗っている女の子だと知り、車内の会話は盛り上がった。



はじさん
「今度遊びに行こうよ?」




はじさんが言った。



「是非!是非!」




先輩が言う。



はじさん
「今度、健ちゃんのケータイに連絡するわ!」



この時僕は、


「5個も歳上の先輩が、こんなガキを誘って遊びに行くはずがない。」


と、もちろん社交辞令だと思っていた。



しかし、そう思っていたのは僕だけだった…。




数日後…。



健ちゃん
「はじさんから連絡来たぞー!」

「バンナイも行くでしょ?」


と言われた。



「おお、まじか…」



歳上の人と遊んだことなんて一度もない僕にとって、

未知との遭遇並みに不安だった。


しかし、ノリだけは良かった僕は、


「健ちゃんもいるし、大丈夫っしょ!」


ってな感じで、


「行くーーーー!」


と返事をした。




それから、はじさんと、健ちゃんとの付き合いが始まった。



はじさんは、いつも色んなところに連れて行ってくれた。

色んな経験をさせてくれた。


車でのドライブ、夜景スポット、BBQ、スーパー銭湯、サーフィンにスノボ…

僕が車の免許を取って、女の子とドライブデートをしたところは、

はじさんに連れて行ってもらったところばかりだ。


彼女との記念日の過ごし方、プレゼント、彼女を大切にする気持ち、

本当にたくさんのことを教えてくれた。


僕の話もたくさん聞いてくれた。

少し大人の視点から、色々とアドバイスをしてくれた。


5個も年下なのに、ため口を利く、

クソ生意気な僕なんかと仲良くしてくれる器の大きさに、

いつまで経っても頭が上がらない。



健ちゃんは、いつも僕を引っ張っていってくれた。


はじさんとの遊びに始まり、自分の世界に留まっていた僕を、


「バンナイ、行こーよー!」

「バンナイ、やろーよー!」


と、いつも引っ張り上げてくれた。

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