【第二話】『最初の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
健ちゃんはいつも気持ちに正直だった。
楽しい時は、心から楽しみ、
納得のいかない時は、直接ぶつかり、
感動した時は、すぐに泣く、
それが、自分のこと、人のこと、関係なく。
どんなに親しくても、礼儀を大切にし、
友達を大切にする。
そんな健ちゃんから、人との関わり方を多く学んだ。
自分の気持ちに正直な健ちゃんに感化されたのか、
僕も、健ちゃんには、ハッキリものを言えるようになった。
そしていつしか、何でも言い合える仲になっていた。
現在、はじさんは32歳、健ちゃんは28歳、
2人とも結婚し、一児の父となっている。
一度だけの付き合いだと思っていたのに、
10年以上経った今、僕にとってかけがえのない存在になっている。
きっとこれからも続いていくだろう。
人生とは不思議なものだ。
大切な人に、いつ、どこで出逢うか分からない。
そしてそこに、年齢なんてものは関係ない。
そんなことを教えてくれたのが、この2人だった。
■最初の宝物…
この2人には、プロポーズのタイミング、婚約指輪や結婚指輪、結婚式場、
住む家、家具や家電、生活費や人生設計など、
人生の先輩の彼らから、数え切れないことを教えてもらった。
律儀にも、同棲を開始したら、新居祝いをくれ、僕の結婚を祝福してくれていた。
僕は結婚をして、やっとこの2人の仲間入りが出来ると嬉しくて仕方がなかった。
しかし、僕の結婚は消えてなくなった。
僕は、自分の親よりも最初に彼らに連絡をした。
「結婚ダメになったわ…」
2人とも、ソッコーで連絡をくれた。
「えっ、なんで?」
「えっ、なんで?」
ひとまず、事情を説明した。
「ありえない…」
「辛いときこそ支えてあげるのが夫婦じゃないの?」
僕は、
「自分が病気になったのが悪いんだ…」
と言った。
すると2人は揃ってこう言った。
「納得出来ない!」
仙台に住む、健ちゃんから電話が来た。
健ちゃんは怒っていた。
「みーたんもありえないって言ってるよ!」
みーたんとは、健ちゃんの奥さんで、
僕が適応障害と診断されてから、ずっと心配してくれていた。
「別れるのに、あんなに楽しそうにしてたの?」
僕もその点は不思議で仕方なかったが、
きっとどこかで、ずっと不満に思っていたのが、
休職をしたことが引き金になり、
制御していたものがプツンと切れてしまったのだろうと思った。
「本当納得いかないわ!!!」
僕は、これ以上彼女を苦しめたくなかった。
このままでは、彼女が病気になってしまうと思っていた。
だから、
「連絡しないで…。」
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