【第六話】『旅支度』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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生きるヒントを探して…




彼女が出て行ってから、1ヶ月程の間、


僕は、様々なことを考えた。


様々なことを思い出した。


過去を思い出せば思い出すほど、


今の自分が、ちっぽけに思えて仕方なかった。




少し前までは当たり前に出来ていたことが、今は出来ない。


仕事も、人と会うことも、外へ出ることも、怖くて出来なかった。


少し前まで持っていたモノは、ほとんど失ってしまった。


お金も、大切な人も、友達も、家族も、みんな失ってしまったと思っていた。



お金は本当に無くなったが、友達だって、家族だって、本当は何も失っていない。


でも、こんなになった僕を、


「みんな厄介者だと思ってるんだ!」


「家族だって、うつ病になった僕を、恥ずかしいと思ってるんだ!」


と、自分で勝手に失ったと思い込んでいた。



みんなが敵に思えた…。



本当は、認めてもらいたくて仕方ないのに、

裏切られるのが怖くて、


「どうせ誰も認めてくれない…。」


と、自分から壁を作っていた。


そう思っていれば、もっと傷付かないで済むから…。


でもやっぱり認められたかった。


前のように輝いていた自分に戻りたかった。





僕は、うつ病のことを勉強した。


どんな病気なのか、どうやったら治るのかを調べまくった。


それから、自己啓発の本、サクセスストーリー、

癒しの本、心理学、スピリチュアル、小説、詩集、漫画…


ブックオフに行き、タイトルや表紙でピンと来たものを、

1度に5冊、買っては読み、買っては読んでいた。


おそらくこの1ヶ月ほどの期間で、今までに読んできた本数を超えたと思う。



何かの「答え」が欲しかった。


生きるヒントが欲しかった。



映画もたくさん観た。


TSUTAYAに行き、ブックオフと同様に、

5本借りては見て、借りては見てを繰り返した。



今でもそうだが、僕は何かに迷ったら、本や映画を観る。


一つの物語の中には、必ず終わりがある。


必ず何かの答えがある。


クライマックスに向かう途中でたくさんのヒントがある。


僕は、物語を楽しむと言うより、


「自分に通じるものは無いか?」

「自分に吸収出来るものは無いか?」


と必死で答えを、ヒントを、探した。



多くの作品に触れていく中で、

自分の好きなジャンルや、面白いと思うテーマに気付き始めた。


僕は、「ドキュメンタリー」「旅モノ」が好きだった。


思い返せば、旅番組や、ドキュメンタリー番組も以前からよく観ていた。


中でも一番好きなのは、

「アナザースカイ」


この頃から録画し始め、今でも毎週欠かさず観ている。



行ったことのない美しい景色を見るのが好きだった。


人生のドラマを観るのが好きだった。



そして、旅に出る…



僕は、昔から旅に出ることに憧れていた。


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