【第六話】『旅支度』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

3 / 5 ページ

前話: 【第五話】『限界を探しに…』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
次話: 【第七話】『そして、旅に出る』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜


「道は繋がってるんだな!」



そう思ったのを覚えている。




この時の僕は本当にアホだった…。


確かに道は繋がっている。


でも、真っ直ぐな訳がない。

ずっと遠くから見れば、どんな曲がり角だって、ほとんど真っ直ぐに見える。


全くの無知だった…。



しかし僕は、自分の歩くルートを見て、少し感動していた。


山梨、長野を越えて、新潟、そして日本海まで、自分の足で見る景色が楽しみだった。



ネット調べによると、


人は、25㎞くらいが一日で歩ける限界らしい。


僕は定規を使って、何となく距離を測ってみた。


5㎝が7個。


「7日間で日本海に行ける!」


やはり僕はアホだった…。



Googlemapで調べれば、簡単に距離を出せるのに、定規を使って距離を測った。


前述したように、僕には道が真っ直ぐに見えている。


直線距離しか測っていない。


実際の距離は遥かに長いことに気付いていなかった…。




決行は、一週間後の10月14日。


自分の限界に挑戦する、相模湖駅から、日本海までの一人歩き旅。


不思議なもので、何も出来ない状態だったのに、

一つ目標が決まると、物凄い力が湧いてくる。

自分でも驚くほどの行動力を発揮した。


出発まで一週間、色んなお店に行き、必要だと思うものを揃え、

本や雑誌、ネットで、情報を集め、全力で準備をした。





「ちゃんとした地図を買おう!」


本屋に行って地図を見るが、種類があり過ぎて、どれを選んでいいのか分からない。


そしてアウトドアショップで、店員さんに聞いてみた。


「日本海まで歩き旅するんですけど、どんな地図がいいですか?」


店員さんは明らかに戸惑っていた…。



僕は、


アウトドア=旅


だと思っていた。


確かに、そういった部分はある。


しかし、普通の人は、キャンプをするなら車や電車でキャンプ場に行くし、

登山をするなら、車や電車で登山口まで行く。


その場所へ行くまでの道は、アウトドアでも何でもなく、ただの道なのだ。


店員さんも、キャンプのやり方や登山のやり方は詳しいが、

そこに辿り着くまでの道を歩くやり方は、知らなかった。



「歩いて日本海まで行くんですか…?」



驚いた感じではなく、呆れたような、見下したような感じで、



「こいつ、絶対にアホだ…」



という雰囲気MAXで聞いてきた。



「そうです!歩いて行きます!」

「道は繋がってますから!」



店員さんは、諦めたようにこう言った。



「歩き旅はよく分からないけど、

地図だったらツーリング用のものがいいんじゃないかな?」

「道の駅とかも載ってるし。」



「ありがとうございます!」



アウトドアショップの店員さんが言うなら間違いない。


僕はツーリング用の地図を買った。


しかしこの選択が、更なる自分のバカさ加減を思い知ることになるとは、まだ想像もしていない…。

著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む

著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。