【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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僕は、借りを作るのは嫌いだ。


でも僕は思う。


もらった価値より、ほんの少しだけでも

多くの価値を与えることが出来たら、それは連鎖する。


同じだけの価値を与え合うならば、その場で終わってしまうことも、

片方がほんの少しだけ多く与えれば、相手はそれを返そうとする。

そしてまた、相手にほんの少し多くを与える。

ほんの少しが連鎖して、最終的には物凄い大きさの価値になる。



僕は、おばちゃんから多くの価値をもらった。


だから、さらに多くの価値を返すために戻って来るよ。


胸張って、


「おばちゃん、あの時は本当にありがとう!」


って伝えるために。



そのためにも、何としても僕は変わらなければならない。


弱い自分に勝たなければならない。


ゴールに辿り着かなければならない。



さあ、今日もスタートだ!





「頑張って来なさい。」



「行ってきます!」



そう言って、おばちゃんとお別れをした。








今日の天気は雨。


10月下旬の長野、冷たい雨が降りしきる。


出発して30分を過ぎた頃には、靴の中はもうグチョグチョになっていた。


今日は、長野自動車道の高架下の住宅街を歩き、

千国街道という、日本海まで続く一本道へ出る。



僕のゴールは確実に近付いていた。


と同時に、僕の旅は確実に終わりに近付いていた。



雨の降り続く中、代わり映えのしない景色をひたすら歩く。


荒れた道路に溜まった水溜まりに車が通り、

何度も何度も水を被りながら、独りただひたすら歩き続ける。


雨の日は、画面に水滴が付いて、スマホが使えない。

どこを歩いてるのかも分からぬまま、ただ目の前に続く道を進んだ。



雨の日は、何ともブルーな気分になる。

人なんて誰一人歩いていない。

車が通る度に、浴びせられる雨水を受け、惨めな気持ちになった。



「僕は変わったか?」


「強くなったか?」


「この旅で何を得た?」



こんなことを考えた。



返ってくる答えは、



「分からない…」



だった。



長野自動車道の高架下のトンネルで、

おばちゃんからもらったおにぎりを食べた。


感謝の気持ち、独りで寂しい気持ち、

答えが見付からない焦り、様々な感情が入り混じり、

涙が溢れ出てきそうになった。



「おばちゃん、本当にありがとう。」



僕はこんなところで負けてはいられない。


雨だろうが、それは地球上の全ての生命が生きるために必要なことなんだ。


僕にだって、必ずエネルギーになるはずだ。



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