【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
「全身で受け止めてやるぜ!」
丁重に「ごちそうさまでした。」を言い、
食べ終わった後のアルミホイルを握り潰し、僕はまた歩き出した。
ずっと前から知っていた…
僕が歩く時に欠かせないものといえば、
「音楽」だ。
今日もお気に入りのプレイリストを聴きながら歩いている。
音楽は不思議だ。
聴く度にカタチを変える。
状況や、時間が経つに連れて、捉える意味が変わる。
イヤホンから19が流れた。
「西暦前進2000年→」
僕がギターを始めたのは、小学校6年生の時。
19とゆずが好きだった。
ストリートミュージシャンになりたくて、
御茶ノ水まで行き、父親にギターを買ってもらった。
初めて買ったCDも19だった。
中古だったけど。
その中でもこの「西暦前進2000年→」という曲が好きだった。
小学校6年生の僕は、歌詞の意味なんてよく分からないけど、
5個上の姉ちゃんが、「すごく良い曲」だと言っていたから好きだった。
数年の間聴いていなかったけど、ただ好きだという理由でプレイリストに入れていた。
そして、ただ好きだったこの曲が、
この日、このタイミングで聴いたことで、特別な曲へと変わる。
僕の人生で、欠かすことのない特別な曲へとカタチを変わる。
「ずっと外を生きてきたけど、答えなんて何もなかった。」
「人目なんてどうでもいいよ。ずっと僕は大切だから。」
「外へ外へ逃げてきたけど、今を生きる繰り返すこと。」
「前へ前へ生きていくこと、そしてそれを繰り返すこと。」
僕は、ずっと逃げてきた。
仕事から、家族から、友達から、環境から、何より自分自身から。
何もかも分からなくなった。
自分の気持ちさえも。
そして、旅に出た。
僕のことなんて誰一人知らない、外の世界を歩き続けてきた。
ただひたすら前へ前へ、歩き続けてきた。
それでも、答えは見付からない。
ただ、僕は今、生きている。
僕は、この時もまだ、罰を受けようとしていたのかもしれない。
自分が過去にしてきたことへの罰を。
自分が傷付いたこと < 相手を傷付けたこと
だと思っていた。
だから、誰よりも傷付けば、借りを返せる。
相手を傷付けた以上に僕が傷付けば、僕は悪者にならない。
そう思っていた。
ただ今日も生きていることに罪悪感を感じていた。
でも、
「ただ生きる」
それだけでも価値のあることなんじゃないかと思えた。
「それを繰り返す」
特別何かの答えが無くても、
「ただ生きることを繰り返す」
これが答えなんじゃないかと思った。
「答えの無いことが、答え」
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