【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

3 / 7 ページ

前話: 【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
次話: 【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜



「全身で受け止めてやるぜ!」


丁重に「ごちそうさまでした。」を言い、

食べ終わった後のアルミホイルを握り潰し、僕はまた歩き出した。




ずっと前から知っていた…



僕が歩く時に欠かせないものといえば、


「音楽」だ。



今日もお気に入りのプレイリストを聴きながら歩いている。


音楽は不思議だ。


聴く度にカタチを変える。


状況や、時間が経つに連れて、捉える意味が変わる。



イヤホンから19が流れた。


「西暦前進2000年→」


僕がギターを始めたのは、小学校6年生の時。


19とゆずが好きだった。


ストリートミュージシャンになりたくて、

御茶ノ水まで行き、父親にギターを買ってもらった。


初めて買ったCDも19だった。

中古だったけど。


その中でもこの「西暦前進2000年→」という曲が好きだった。


小学校6年生の僕は、歌詞の意味なんてよく分からないけど、

5個上の姉ちゃんが、「すごく良い曲」だと言っていたから好きだった。


数年の間聴いていなかったけど、ただ好きだという理由でプレイリストに入れていた。


そして、ただ好きだったこの曲が、

この日、このタイミングで聴いたことで、特別な曲へと変わる。


僕の人生で、欠かすことのない特別な曲へとカタチを変わる。



「ずっと外を生きてきたけど、答えなんて何もなかった。」


「人目なんてどうでもいいよ。ずっと僕は大切だから。」


「外へ外へ逃げてきたけど、今を生きる繰り返すこと。」


「前へ前へ生きていくこと、そしてそれを繰り返すこと。」




僕は、ずっと逃げてきた。


仕事から、家族から、友達から、環境から、何より自分自身から。


何もかも分からなくなった。


自分の気持ちさえも。


そして、旅に出た。


僕のことなんて誰一人知らない、外の世界を歩き続けてきた。


ただひたすら前へ前へ、歩き続けてきた。


それでも、答えは見付からない。


ただ、僕は今、生きている。




僕は、この時もまだ、罰を受けようとしていたのかもしれない。


自分が過去にしてきたことへの罰を。



自分が傷付いたこと < 相手を傷付けたこと



だと思っていた。



だから、誰よりも傷付けば、借りを返せる。


相手を傷付けた以上に僕が傷付けば、僕は悪者にならない。


そう思っていた。



ただ今日も生きていることに罪悪感を感じていた。



でも、


「ただ生きる」


それだけでも価値のあることなんじゃないかと思えた。


「それを繰り返す」


特別何かの答えが無くても、


「ただ生きることを繰り返す」


これが答えなんじゃないかと思った。


「答えの無いことが、答え」


著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む

著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。