【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
僕の泊まる部屋は入り口に1番近く、多分普段は使わない部屋なんだと思う。
でも、びしょ濡れの僕を見て、緊急事態だと判断し、使わせてくれたのだと思う。
びしょ濡れの僕を見て、宿泊を拒否した向かいの宿と、
びしょ濡れの僕を見て、部屋を用意してくれたルートイン。
各地にシェアを広げた理由が分かるぜ。
しかも、このルートインは朝食付きだ!
和食と洋食が選べる。
僕は、和食をチョイス!
エネルギーを付けるなら、やっぱり米だよ!米!
部屋に入り、全身びしょ濡れになった服をハンガーに掛けた。
ザックの中の寝袋や着替えも濡れてしまっていた。
この部屋には空気清浄機も付いている。
「明日までに乾いていますように!」
荷物を全部広げて、僕は大浴場に行った。
大浴場までのほんの数メートルの距離でさえも、
まともに歩けないほど身体はボロボロだった。
脱衣場の洗濯機に洗い物をぶち込み、お風呂に入った。
「お風呂は心の洗濯よ!」
ミサトさんがそう言ってたように、
芯まで冷え切った身体は、お風呂で癒された。
「今日も、神様に助けてもらったな。」
そう思った。
おばちゃんのおにぎりに始まり、19、そしてルートイン。
全く予想も出来ない、奇跡とも思える出来事が実際に起きている。
僕は、
「目には見えない何かに確実に守られている。」
そう感じていた。
神様か、死んだじいちゃんか、死んだ友達か…
大げさに思われるかもしれないが、そう感じざるを得なかった。
いや、もしかしたら、
そう思っていないと怖くて前へ進めなかったのかもしれない。
でも、どっちにしろ、
僕に前へ進む勇気、
そして、生きる力を与えてくれていた。
人の望みか自分の意志か…
自販機にあるカップヌードルを買い、
出来る上がるまでの間、テレビの天気予報を見た。
また台風が近付いてるらしい。
また危険が迫っているらしい。
僕が危険な目に合うのは、自分自身全く問題の無いことだ。
むしろ、限界に行き着くためには危険は必要不可欠だ。
しかし、僕が危険な目に合うことで心配をさせてしまう人たちがいる。
「人が嫌がることをしていいのか?」
「人に心配をかけてまで、前に進むべきなのか?」
でも、僕は前に進みたい。
たとえそこで倒れたとしても、
僕が決めたことだから後悔はしない。
人の望みか、自分の意志か…
きっとどちらも正解なんだと思う。
でも、今までずっと人の望みに応えられるように生きてきた。
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