22 min read

お寺で育った幼少期、異国での日々、3.11での被災、ライターで食いつないだ東京でのじり貧生活...こわがりだった私の半生の中で、唯一ゆずれなかったもの

Picture?width=400&height=400
著者:
Kurosawa Yuko
1 / 17ページ



黒澤優子。


子供のころの夢は、作家になること。

それは、自分のイメージとして、ずっとあったこと。

だけど、どうやって作品を書いていいのか、

どうやって作家になったらいいのか、

まるでわからなかった。





見ためもふつう、勉強もふつう、運動もふつう、

平凡を絵に描いたような子供だった私の、

唯一の特徴といえば“こわがり”だということだった。



そんな私が生まれそだった場所はお寺。

母の実家もお寺で、寺同士が結婚した純寺の子。

当然のように家の前は墓場というシチュエーション。

日が暮れてから、ずらりと並ぶ人気のない墓場

それはもうスリリングで、

子供のころは、いいえ、高校生のころも、

暗くなってからの帰宅はすべてダッシュだった。



怖いのは何も墓場だけの話ではなく、

お寺と住処が融合したような

家の中もまた、なかなかのスリルで。

寝室のある2Fに行く際には、

本堂につながる廊下を通らねばならず、

その本堂にむかって鏡が置いてあり、

鏡と本堂が向かい合うその通路は、

“あの世とこの世の通り道になっている”

と、今でも私は信じているのだが、

とにかくただならぬ雰囲気がただよっていて

家の者はみな、寝るのが早く

うっかりTVに夢中になって最後まで起きていてしまうと、

電気を消しながらそのコーナーを回らねばならなくなり、

その恐ろしさといったら、お化け屋敷どころの話ではなく、

2Fにあがるための決心をするために、

続きはこちら

永い準備期間を経て、とある孤高の作家と出会い、本当に好きなものが仕事となった話