何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第七回【最終話】

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前話: 何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第六回

社長の器


社長になり、社員の幸せを願い

福利厚生を良くしたい

給料を上げてあげたい

休みを多くしてあげたい

社員旅行連れて行ってあげたい

ボーナスをだしたい


想うだけなら自由だ。


想うだけならタダだ。


ではどうやって?

誰が?

いつ?


意識高い系の知識でいうなれば

PDCAサイクルを5W2Hに落とし込んで回していく

ということだ。

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学生の頃、夏休みの計画を立てただけで、それだけで満足しても

毎日の継続がなければ

行動がなければ

8月31日が地獄になるだけだ。


想うだけで

願うだけなら

ファンタジー

夢見る夢子ちゃん

『願望の世界』の話だ


行動こそ真実


社長になった事で、私はどこか変な達成感があったのかもしれない。

現場の問題

集客、スタッフ技術向上

社員とのコミュニケーションのずれによる苦悩

モチベーションアップ、モラル育成

そして、資金繰り


問題を解決する事に終始しながらも、行動の継続性がない

場当たり的で、本で読んだ知識をすぐに実践し

失敗して、フラフラする毎日。

社員の気持ちが離れていく。


日々の生活に明るい未来を自分自身がもてなくなった。

社員に幸せになってもらいたいのに

『俺はこんなにやってるんだ!なんでわかってくれない』

そういったエゴで会社を経営していた。


お店を守る

家族を守る

社員の生活を守る


そんなことばかり考え

社長として、お客様よりも

売上を作り出す社員が最優先になり

社員の顔色をうかがう社長になっていた。

お客様は置き去りな社長になっていた。

完全に疑心暗鬼に陥る

社員が辞めるのが怖くなり

人とのかかわりが怖くなり

裏切られるのが怖くなり

壁を作るようになり


人は離れていく。


人が離れればお金も離れていく。


お金は会社の血液である。


足りなくなると倒れてしまう。

そうならないために輸血をする方法もあるが、


意図が不明確になると輸血もこわくなる。

『何のために社長をやってるんだろう?』

辞めていくスタッフの捨て台詞、表情

明らかに不幸な雰囲気である。


『俺が不幸にした』

心の自分
人を不幸にするために社長をやってるの?
わたし
そんなことない!みんな幸せにしたい。
心の自分
でも、みんな不幸な顔してるけど??
わたし
それは・・・
心の自分
じゃあさ、お前はその分幸せになってんの?
わたし
え?そんな誰かの不幸を奪ってるわけじゃないし全然幸せじゃないよ。
心の自分
じゃあなんでやってんのよ。
わたし
それは・・・

人を幸せにしたいのに

周りを不幸にしていると感じたとき

自分の中の意図が明確に崩れ始めた。


家庭を省みると

妻も子供の疲れ果てていた。


すべての人が不幸を背負っていた。

わたし
何とかお店を立て直してビジョンを叶えたいんだ!
・・・うん、気持ちは分かる。
分かるけど、怖いの。
わたし
確かに多くの失敗はしたけど、諦めなければいつかは成功する!
そうだね。
・・・でも諦めない為にはお金が必要なのよ?
それはどうするの?
わたし
もちろん借りる段取りはつけるけど・・・
つけてどうするの?
その先は?もしまた失敗したら?
そして、その時貴方の周りに何人のスタッフが居るの?
わたし
そんなの失敗を恐れてたら何もできないじゃないか?!
私がいいたいのは何の為に?って事
何のためにそれをするの?
わたし
もちろん社員を幸せにするため!そしてビジョンを達成し、家族も含めた皆が幸せになることだよ。
私は母親でもあるの。
だから、貴方とは優先順位が違うの。
娘の
そして家族の幸せが一番なの。
大きなビジョンも素敵だし、叶えられればいいとは思うけど、今どれだけの人がそれに賛同してるの?
その犠牲に私たち家族がなるのは、もう精神が持たないよ。
わたし
別に家族を蔑ろにしてるわけじゃない!
家族を幸せにする為に、ビジョンを達成させたいって話だろ?!
その方法は?具体性は?
そして誰が共感してお金を貸してくれるの?
仮に借りれたとしても?
貴方の周りにどれだけの協力者がいるの?
理想だけではお店はやっていけない。
独りではやっていけないのよ。
わたし
だからこうやって悩んでるんじゃないか?!
やり直しってできると思うの

一つの事に拘らずに
もっと大きく視野を広くすれば
私たち家族や親せきも含めて
貴方のこれからの人生のやり直しを応援したいの
でも、今ここに拘ってる貴方は応援できないの。

地元に帰ってやり直そう。それが私達家族の総意。

でも、

どうしてもというなら、貴方1人でやって。

母親として、これ以上の借金を重ねて
未来の見通しの不安の中で家族は
娘は
犠牲にできないの。
わたし
・・・・・

何も反論できなかった。


今まで散々、見下していた妻の正論に

母親役をやってきた妻の言葉に


父親として何も寄り添ってなかった自分が

とても矮小で頑固になっていた自分が

心底はずかしくなった。





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私は会社をたたむ決意をした。

立ち直る可能性がないわけではなかった。

でも、今の自分では足りない何かがあった。

そしてこれ以上の不幸をみたくないと想った。

やり続ける、資金繰りを続ける、教育し続ける

意図がわからなくなった。

そこには1000万を超える多くの借金だけが残った。


そして、死ぬことも考え

逃げ出す事を考え

楽になりたいと思った。

でも、多くの借金も抱えながらも、

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