福岡から歩いて日本を一周する間に出会った人や出来事のお話 其の五

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「…………着いた。」


続く。





3:富士登頂から下山まで


続き

登頂して、とりあえずこの寒さをしのぐためバッグから防寒着をとりだし、着替えることに。

そのあとインスタントラーメンを食べようと思い、作ったのだがこれが寒さですぐ冷えてしまいあまり美味いものとは言えなかった。

この時間お店はどこも閉まって休憩する場所もなくずっとウロウロしてた。


体が冷えてきてしまい、ホントにマズイと思ったので、トイレに逃げることに。


中には、僕と同じように宿をとってなく逃げ込んだ人が三人。


「怒られるかもだけど、君も暖をとっていきなよー」


と言われちょっと申し訳ないながらも一晩過ごすことに。

ちなみにこの日の頂上の気温は

最高5゜

最低1゜

ということだった。


宿をとってないってホントにバカだなww


その方たちとポツポツ話していると、ドアを開いた。


入ってきてのはなんとアメリカ人!

しかも三人!


びしょ濡れだった彼らは


「オー、スミマセーン」


と言って入ってきた。

けして広いとは言い難いトイレに六人……


狭いな…


そうこうしてるとなんとまたアメリカ人が入ってきた!!


「イエー!!」


と言って迎えてた処を見ると団体で登ってきたのか?

かなりの数が入ってきた!



トイレのなかの数はざっと20人ww



もうみんな座ることは出来ずずっと立っていた。

今の時間は23時…


山小屋開くのって何時なんだろ……


頭痛は収まったものの疲労が半端なかった。


そして、0時を過ぎた頃一人の日本人が入ってきた。



この人様子がおかしい……

顔が真っ青で全身が異常なくらい痙攣してる……


高山病だ……


みんな急いでその人の座るスペースを作って毛布やらを被せてあげてた。

アメリカ人の団体のなかに日本人で通訳をしていた人がいてその人に


「君の持ってるのは寝袋?それ彼に貸してくれるかな?」


と言われ即行で手渡した。


なんでもっと早く渡さなかったんだろう………


しかしこの高山病の方、容態がよろしくない。

顔はどんどん真っ青になっていき、何度も嘔吐して異常なくらい震えてた。

最初にいた人が携帯で救護を求めたけど、いっこうに来る気配がない。


どうするんだ?


みんな不安で一杯だったと思う。

そんなこんなして3時を回った頃


山小屋が開いたぞ!


という知らせが入った。

後から聞いた話だけど、アメリカ人の何人かが、外に出て山小屋のドアを叩いて救護を求めていたらしい。

感動した。


「その銀マットも貸してくれるかな?」


と言われそれを使い、皆で運んだ。

山小屋の店員さんは冷静で慣れたもんだった。

そりゃそうか。


「大丈夫大丈夫!そんだけ吐いたら逆に気分よくなるから!心配いらんよ!」


やっと肩を撫で下ろすことができた。

疲れた……


「今日は一睡も出来なかったな……」


外が明るくなってきたものの暴風雨で御来光どころではなかった。

六時を回った頃、大分彼の体調も良くなって、介抱していたアメリカ人の何人かが立ち上がり


「それじゃそろそろ僕らは行くから」


と英語で言ってたんだろう。

僕も立ち上がり


「サンキューベリマッチ!」


と頭を下げた。




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