パプアの森の勇者 デメギョ 千恵子の章2(5)

著者: Ookubo Aklra

次の日の朝、「おはようございま〜す。」マンションを出ると、白のスカイラインジャパンの窓を開け、拓也が声をかけて来た。

「珍しく時間通りだねぇ拓也君は。」朝イチから、嫌味なこと言いたく無いけど、いつも時間にルーズなくせに、こういう時はノリノリでやって来る。

後部座席に乗り込むと、助手席からチエが顔を出し「千恵子姉さん、今日も綺麗ですよ。」と、メモ帳を見ながら。

「え〜と、11時のフェリーですから、昼には島原につきます、 楽しみ〜、姉さんの彼氏、アキラくんどんな子かなぁ〜。」と、自分が食べてたポッキーを2本くれた。

実は昨日、二人のしつこい追求に、少年の名前と、島原に住んでいることを、喋らされていた、フェリーの時間まで調べている、なんだ、コイツラ、本気か。

「姉さん、ちゃんとアキラくんに、電話したんですかぁ〜。」

また、チエがグイグイ来だした。

「まだ、電話して無いけど、本当に行くの、島原。」

私はまだ考えていた、突然行って、少年にとっては迷惑だろうし。

「実は私も拓っくんも、島原に行ったこと無いんです、お城行ったり、具雑煮食べたり、鯉の泳ぐ町も行って見たいですぅ。」と言うと、バックからタウン誌を出して見て回るところをチェックしだした。

なんだ、お前ら二人のハネムーンか、やっぱり島原行きは決定事項らしい。

「フェリーに乗ったら電話してみるよ。」

時間通りにフェリーは出港した。

客室に入ると3人で並んで座った、バックをゴソゴソやっていたチエが、テレカを出して。

「早く電話しないと、アキラくんにも予定があるから。」

仕方なく、私は、公衆電話で待ち合わせの約束を取り付けた。

熊本で会った時と違って元気がなかった。

フェリーを降りて島原市役所へ、しばらく待ってると、破れたジーンズと、白シャツで少年はやって来た。


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