歩けない猫「どん」との出逢いから別れまで-1-

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著者: くり てん

「いえいえ、他の子(てん)と同じく愛情を持って接するつもりですし、できる限りのことはやってあげようと思っています。どうかお願いします!」

こちらの「本気」がわかると、先生は・・・

「そうですか・・・。わかりました・・・」

とひとことだけ言って、引取日を決めてくれた。


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そして当日・・・。

きれいにシャンプーしてもらって、正装?されたドンが待っていた。

先生は無言で、それまでドンが入っていたカーゴルームと彼の茶碗・・・
まだ開けていないペットシーツと、キャットフードをいくつか手渡して下さった・・・。

「そんなの受け取れないですよ!」

と強い口調で断ろうとしたけど・・・。

いつものごとく、頑なな先生は・・・

「くりてんさん、お願いですから私にもそれくらいはさせて下さい。
少なくとも、今までの間はうちの家族みたいな子・・・
だったんですから・・・」と

思わず泣きそうになるのを ぐっとこらえて、
それらを素直に先生から譲り受け・・・。

「どん」をうちに連れて帰った・・・。

先生には、何とお礼を言っても、言い尽くせないほどだ。
 
 



新しい家族として 当初の心配事は、それまで一人っ娘として、育てられた「てん」。

あらかじめ「てん」に
「こういう猫が今度家族になるから、仲良くしてやってね」
と言い聞かせてはいたんだけど・・・
(わかってくれるわけがないか(笑)

やはり、はじめは・・・・

「アンタ?ニャニもの!?」

というような目で見て、ドンになかなか近づこうとしなかった。「猫」だけど、檻の中に入ったまま出てこない「どん」は
きっと「てん」の目には奇妙な物体?にしか見えなかったんだろう。

当の「どん」も初めは落ち着かない様子で、
TVから出る音や、ちょっとした物音にも過敏に反応して
周りをキョロキョロと見ていた。

でも数日過ぎると、ここが「おうち」だと認識したのか
多少の事には動じなくなり、少しずつ慣れていってくれた。

はじめ、実家の両親や兄弟達など・・・
来客があるたび「どん」は威嚇したりして・・・

「おっかないねぇ・・・」なんて言われていた(苦笑)

けど、うちでの生活が慣れるに従って、
「まるで顔つきが変わった」とみんなが驚くまでに
穏やかな「かわいい猫」になっていった。


名前を呼ぶとお返事をする。

何か要求するときは、顔を見て鳴く。

かわいいドン♪

「歩けない事」を除いては、本当に普通の猫だった。



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