道の先にあるもの

著者: 宮田 直人
とある外国を旅していた時のことだ。


あてもなく旅をしていた僕は何処までも続くような一本道をひたすら歩いていた。



周りは荒野。


そんな中、一台の車を見つける。車にはサングラスをかけたおばあさんがしかめっ面でラジオで何かを聞いていた。


僕はこれ幸いにと彼女に道を尋ねることにした。


すると……



「ヘイ! 欲しいのはこの札束かい? それとも鉛玉かい?」


いきなり拳銃を突き付けられ、とんでもない二択を迫られる。


僕は欲しいものはこの道の先に何があるのかという情報だけだ。


僕は突き付けられた拳銃に戸惑いながらもそう伝えると彼女は鼻をふんっ、と鳴らし悪態を吐くようにこう言った。


「道を知りたい? そんなもん人に聞くもんじゃあないよ若僧」



どうやら人生の道を尋ねたと勘違いされたようだ。


彼女は続ける。



「この道を見な、真っ直ぐに見えるだろう? けど実際は少しずつ左に逸れて行くのさ。真っ直ぐ進んでいるようで進めてない……それが道ってものだ」


彼女は遠い目で道の先を見て静かに語る。その言葉一つ一つに彼女が辿って来た〝道〟の道のりの長さを感じさせる。

人生の先輩としての言葉の重み。

そして最後に僕に向けてこう告げる。


「大事なのは道の上を歩くことでも真っ直ぐ進むことじゃあない。今日から明日に向かう、それだけだよ」



彼女の車が走り出す。

きっと彼女の明日に向かって。僕は僕の明日に向かって歩き出す。



この道の先に何があるのか?
それはきっと未来が待っているのだろう。


明日という未来。
今日という日のゴールの先にある新たな出発点。


誰かに聞いてわかるものではなく、自分で確かめるしかないもの


僕はまた歩き出す。
自分だけの道を。

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