高木教育センターのありふれた日々(15)

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  I had many opportunities toteach very good students.  Some of thempassed the entrance exam to the medical department of University of Kyoto,Osaka and Nagoya.  They were fromYokkaiti high school or Akatsuki high school.

  友人から「変わった子」と言われていた。バランスなどとれていなかった。それは、勉強優先が行きすぎていると思われたのかもしれない。クラブを自主退部して顰蹙をかった子もいた。授業を無視して問題集ばかりやって注意を受ける子もいた。

  Their friends called them strange students.  Their life style was different from otherstudents, who just followed their teachers’ orders.  Some quit their club activitiesspontaneously.  Some were solving mathproblems in history class.

  他人の評価など気にしないマイペースの子が多かった。効率良く勉強しようとしたら、自然にそうなってしまうのであって、意図的に周囲と摩擦を起こしているのではない。

  For them, what others think about them was notimportant.  Efficiency wasimportant.  They didn’t intend to causefriction.  At the same time, they werenot afraid of friction.

  そんな伊藤先生に我が子を救われても、家に帰ると、救ってもらった娘さんに

「宿題をきちんとやるのよ」

  と、学校の教師の指示どおりにやるように強要する。先生に逆らったり、目立ったことをしないように求める。

  Even if such a person Dr. Ito saves herdaughter’s life, the mother will tell her daughter

“Do your homework. Follow what your teacher said.

「なぜなんだろう?」

“Why?

 アメリカでは、こうではなかった。伊藤先生のように、自主的にやる子が高く評価された。目立つ子が称賛された。アメリカは加点法で評価するけれど、日本は減点法で評価する。

  When I was teaching in Utah, teachers addedpoints.  On the other hand, Japaneseteachers deduct points.

  そこに、全員同じ“鋳型”にはめ込もうとする左翼教師が加わると最悪になる。アメリカでは“失敗”が奨励される。何にでもチャレンジして失敗すれば、ヒーローになれる。日本では、失敗は忌み嫌われる。

  If they have left-wing teachers there, thesituation is the worst because red teachers like to cast students into amold. 

  この世に存在しないという、円周率のπ。しかし、計算式には絶対に必要で便利な数字。虚数もそうだ。この世に存在しない記号。なのに、複素数平面では、回転させるのに絶対に必要で便利な記号。

  What is Π? We cannot writeit using numbers.  But without it, it isimpossible to calculate many volumes. 

  受験指導をしていて気づくのだが、勉強のできる子たちは私とこういう話をするのが大好きだ。彼らもまた、この不可解な世界に魅了されている。数学や物理や生物を習うと感受性の鋭い子は、必ずこの驚異の世界の扉を開ける。

  Teaching students, I noticed that my students liked thistype of talk.  They are interesting thismysterious world.  Sensitive studentsbelieve math, physics and biology will open the door to this wonderful world.

  ほんの少しでも数学をかじると、そんな光景が広がる。数式は謎を解明する道具として有効だと分かる。この魅力にとりつかれたら、徹底的に極めたくなるのが普通だ。その強烈な動機づけは、受験勉強の枠を超える。

  Math is wonderful enough for us to knowthe mystery.  Numbers are good tools tounderstand this world.  Once we know thistool is effective, we cannot stop studying it. It is not just for the preparation for the entrance exam.

 「どの問題集がいいですか?」「どの塾がいいですか?」「朝方と夜型とどちらがいいですか?」「何を食べたらいいですか?」

 などといった問題は、瑣末な問題でしかない。そんなことは、

「この世の謎を究明しい!」

  という思いがあったら、自ずと分かるもの。本気なら

「こんな問題やりたくない」

 とか

「今日はクラブがあるから」

 なんて言葉が出るはずがない。

  “Which problem books are good?” “Which cramming school is good?

  Such questions areridiculous.  Trifle matters should beignored.  If you have much enthusiasm,you must be able to know it naturally.

  You cannot say

“I have club activities today. It is more important than studying”

 

第百四十八章

「星に願いを。ER 緊急救命室」(2)

 

アメリカ人なら、やりたいことを一直線。日本人は、

「人は適当に勉強して、適当にサッカーをするのが正しい」

 と言ったら、

「はい。そうします」

というタイプが多い。私の指導させてもらってきた優秀な子たちは、そんな子たちではなかった。納得のいかない指示に従うはずがない。

「私はピアノのレッスンがあるから」

と言って、学年主任にクラブ免除を認めさせ、学校の課題は役立たないので提出しないと宣言し、授業は勝手に自分の問題集をやって、教師に口出しさせなかった。強烈な思いがあったら、そうなる。教師は認めたし、口出ししなかった。

  本気なら、教師だって受け入れる。人のひいたレールをなぞるのが人生なんていうのは、本気でやってない。マンガでも、声優でも、考古学でも、料理でも何でもいい。全人生を賭けて悔いのない対象があったら、

「どうすれば成績を上げられますか」

 なんて、質問をするわけがない。必死でやれば、次の課題は自ずと明らかになる。 

「あいつはエラッそう」

 とか、下らぬ誹謗中傷を気にするヒマがない。人生は短いのだから、価値のあるものに使いたい。

  志望校に合格するのも、そのために成績を上げるのも、しょせん道具を手にするだけのこと。

「あいつは、オレより3点上だった」

 なんて、全く無意味な会話だ。私が指導させてもらってきた成績優秀な子たちは、ちっちゃい子は少なかった。視線がずっと先に向かっていて、目先の1点や2点にこだわらなかった。

 そういう余裕が点数を上げる秘訣なんです。

 ところが、日本では少しでも変わったこと、目立つことをすると

「やめろ!」

圧力がハンパない。大規模塾に勤務したら

「あなたが英語も数学も指導できると他の講師が迷惑なんだよね」

 だし、英検1級をとろうとしたら

「中学生や高校生にそんなレベルの英語なんか必要ない」

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