もてる君~ひでお物語~

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著者: なかむら ひでお

高校時代のひでお少年はきっといままで生きてきた中で一番もてていた。


人は人生の中で3回くらいもてるときがあるらしい。


その1回目がやってきてた。


かといって、性格的にいつもプラトニックなひでお少年だった。


ちなみに大人になった今、もうすでに3回おわった気がする。





高校時代は陸上に明け暮れていた。


部活を中心に生活がまわっていた。


朝は、6時半に家を出て、7時半から朝練だった。


ほぼ、毎日だ。帰りは、8時すぎ。一応進学校だったので、試験前とかは1週間休みになって


結構うれしかったけど、その試験も終わるとすぐに練習だった。


試験の間でなまっていた体にむちをうたれて、ときどきトイレで吐いた。


そんな厳しい練習をしてたわりに、陸上の成績は中ほどであった。






地区大会があって、県大会があり、その次に中国大会があり、全国大会となる。


それぞれ成績上位の数名が次の大会へと進むのだけど、


地区大会を突破してやっと県大会に進んだのは2年生の秋の大会だった。


そのときはとてもうれしかった。




そして、そのうれしさのかけらの中に、みゆきがいる。





当時短距離種目をともにがんばっていた仲だった。


ただのチームメイトだったけど、自分の中のほのかな恋心はくすぶっているままだった。



レース後きわどい結果でチームのテントで自分の順位に耳をすませていた。


その結果次第で県大会の出場がきまる。




やがて、発表がはじまり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




わずかのタイム差で予選を突破し、初の県大会出場が決まった!



周りのみんなが一緒に喜んでくれていた。


もちろんひでお少年も喜んでいた。


そして、ほっとしてシートに寝そべった・・・・。


するとその真上にみゆきの顔があった。


はっとして見つめていた。




―――みゆきの口元が「おめでとう」と言っていた。





声がきこえなかったのではなく、出していなかった。


そんな秘め事のようなしぐさがひでお少年の心にぐさりと刺さった。



淡い青春の思い出。





エアーサロンパスの匂いをかぐといつもこの光景がフラッシュバックする。


競技場ではたいていこの匂いがしていた。




ひでお少年にもっと勇気があれば、人生かわってたかなぁ~。




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後悔だらけの高校時代~ひでお物語~