職業としての地方公務員(4)お高いジェネラリスト

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著者: Shishido Nobuakitty

 公務員(会社員もそうだが)に異動はつきものである。特に事務系の地方公務員となれば、畑違いの場所に異動することは当たり前で、その度に一から学びなおさなければならない。言うならば異動のたびに転職を繰り返すようなものだ。

 これを「ジェネラリスト」として肯定的に捉えているある同期生がいた。スペシャリストのように職務が固定されない分、いろいろな経験ができるからという意味だろうが、数年ごとに畑違いのことを数々繰り返してみて「さて、自分の職能って何だろう?」と思うことがある。

 国税OBなら税理士、検察官(ヤメ検)なら弁護士、また地方公務員でも専門職ならそれぞれの専門を活かして民間で活躍することも可能だろう。ただ、事務系の地方公務員は幅広い経験はあるが、何も手に職がついていないというケースがよくある。だから、一度公務員になったら、死ぬまでこのサイクルから逃れられない。

 団塊世代の大量退職の穴を埋めるため、近年、わが社では再任用で定年後もまた職員で残り続ける人も少なくない。もともと、再任用とは、何かの職能に優れていて、一律60歳で辞めさせるのは惜しい人材を登用するための制度であったはずだ。しかし、今や「年金だけでは不安だから」と働く側の一方的な事情で定年後もシロアリのように寄生し続ける職員のための制度にもなりつつある。

 ジェネラリストの話に戻れば、幅広い経験が得られると肯定的に捉える者の頭の中には、どことなくスペシャリストを「視野が狭い専門バカ」として見下すような雰囲気がある(事実専門バカの場合もあるが)。その前に「幅広い経験が得られる」とは働く者の側の一方的な事情で、ただの自己満足ではないかという気すらしてくる。いわば「お高いジェネラリスト」だ。役所という狭い社会で、自分の市場価値(いわば民間で通用する価値)がどれぐらいかも知らず、生涯自己満足に浸り続ける・・・・・。そいつ自身にとっては幸せかもしれないが、周りや納税者はどう思うだろうか?

 


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