インディゴ航空

著者: 鎌田 隆寛

インドの格安航空会社「インディゴ航空」。

弁護士出身と異色の経歴ながら、ゴーシュ社長は6年間で国内線シェア首位を獲得したとか。

ゴーシュ社長が武器にしたのはなんと「航空業界の経験の無さ」。

なまじ「しきたり」や「しがらみ」に縁遠いからこそ、一般常識と徹底的な議論で、遅延が当たり前のインド航空業界の常識を打ち破り、「定時発着」を実現したそうな。

いやーすっげえ。

何がすっげえって、インドで「定時」を実現したのがすっげえ。

いや実は不詳この私、学生時代に友人2人と初の海外旅行に行きましてね。その行き先がインドでした。

「ヨーロッパとか南の国は年取ってからも行ける。やっぱインド行くなら今でしょ。」

いやー甘かった。不二家のペコちゃんが糖尿になるくらい甘かった。

もうね。レベル5でゾーマ場に迷い込んじゃった感じ。あるいは、ヤムチャのナメック星単独潜入みたいな感じ。

要は「お前もっと経験値積んでレベル上げてから出直してきやがれ」ってこと。

いやまあ海外ド素人に取っては手荒い洗礼をあれやこれやと受けたんですが、その中の一つが「電車の遅延」なんです。

確か「ブッダが悟りを開いたっつーブッダガヤ」から、日本に帰る飛行機に乗るべく「ニューデリー」に移動する時でしたかね。

長距離電車に乗ろうとしたんですわ。

乗り過ごすと怖いから、結構早めに駅着いたんですが、うちらが乗るべき電車が「30minutes,deray」とかアナウンスされた訳ですよ。

電車30分遅延って、日本では結構大ごとですよ?

人気ラーメン店?開店前のパチンコ?みたいに「遅延証明書」の列ができて、血相を変えたおっさんが、日頃の鬱憤とばかりに駅員に噛み付いてもおかしくない。

まあインドだし、しゃあないかと「神聖な牛さん」がパタパタ尻尾振ってる傍でベンチで待つことにしたんですが、30分遅延が、「1 hour deray」「3 hour deray」とあれよあれよと遅れていって、最終的にたしか8時間くらいになったのかな。

8時間遅れって。

引いたわー。

ゾーマが普通にベホマ唱えよった時くらい引いたわー。

朝会社に「30分遅れます」って言ってた奴が、最終的に就業時間内に間に合わないみたいなもんだもんね。

いやもう日本では切腹モンなんですが、周りのインド人は涼しい顔でチャイなんか飲んでくつろいじゃってるんです。

長いわー堪忍袋の尾めちゃ長いわー。長いってかもはや無いんじゃないか。

でまあ色々あって、結局8時間待った電車乗り過ごして7時間後の別の電車に飛び乗り、なんとか帰国して恥をさらしながら命を今日まで繋ぐことができた訳です。

ってなインドでの「悠久の時間」を経験した手前、「定時発着」を実現したゴーシュ社長には尊敬の念を抱かざるを得ないんです。

しかもゴーシュ社長、まだ40そこそこ。

ゾーマをレベル5の勇者が説得して改心させちゃったくらいの偉業だと思ってます。

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