運の良い人、運の悪い人

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著者: 作田 勇次
むかしむかし、あるところに運が良いと公言している青年と運が悪いと嘆いている青年がいました。

その噂を聞きつけた街の教授は興味を惹かれ、その違いは一体なんだろう?と、街のあらゆるところで青年たちの観察を試みました。


その違いをはじめに発見したのは、青年たちがバスに乗っていた時の出来事にありました。

どうやら、乗客の1人が体調を崩してしまったようで、バスが10分ほど停車することになったのです。

その時、運の良い青年は小さな声で

「あの人、大丈夫かな?停車することで授業には遅刻してしまうけど、おかげでゆっくり考えことができる時間が増えたぞ!なんで運が良いのだ!」

と言いました。

運の悪い青年は小さな声で

「なんてこった!これじゃ授業に遅刻しちゃうじゃないか!なんでよりによってこのバスでトラブルが起きるんだよ!あぁ、なんて運が悪いんだ」

と言いました。


またある時、運の良い青年は困っている人を助け、お礼にお茶をご馳走してもらいました。

店を出て、1人になると

「あぁ、なんて運が良いんだ。人を助けることができた上にご馳走までしてもらえたぞ。こんなに嬉しいことはないなぁ。僕は運が良い!」

と、言い、足を弾ませ歩いて行きました。

その数日後、今度は運の悪い青年が別の困っている人を助け、お礼にお茶をご馳走してもらいました。

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