『ペ●スノート』:Page 9「怒気」
死神とヌークを除いた全員は嬉しそうに肉を頬張った。明るげな皆の表情は、皮肉にも僕の心情をかえって負の深淵へと突き落としていくものだった。楽しくない。僕は黙ってその場を離れようとした。
「んェ、ちょっとちょっとナイトくん!せっかくなら食べてきなYO!」
「……食べる気になれないんだ。」
僕のSad Sad Sanctuaryを感じ取ったのか、虹空も少しばかり心が曇ったような表情になった。一瞬だけ申し訳ないなとは思ったものの、もとはといえばコイツが勝手にパーティーなんかを開くからいけないのだ。そのまま部屋に戻ろうとしたものの、虹空は相変わらず僕を説得し続けた。
「まぁ……わかるよ。」
多分わかっていないだろう。
「でもさ、ちょっとは元気にならないと。……きっと娘撫(んこぶ)ちゃんも、暗い顔してるお兄ちゃんを見てたら哀しい気持ちになっちゃうよ?」
そもそも俺がどんな顔してようが、娘撫はお構いNothingなヤツだった。もし仮に俺の今の姿をヤツが見ていたとして、どんな思いを抱えていようが、俺は知らない。興味がない。
そのあと、虹空の説得をしばらく拒み続け、そのあとに神谷先輩がやってきて先輩風を吹かしてきたので、僕はとうとうブチ切れて部屋に籠っていたのだが、死神の説得で僕はしぶしぶ食卓に戻ったのだった。僕が戻ってきてからの食卓はどこか重苦しい雰囲気に包まれていた。
「……とりあえず、ホットドッグ、食べてみてよ。」
虹空が気まずそうに話かけてきた。本当は断りたいところだったが、さすがにヮィもお腹空きスキskickingでねェ。仕方なく、頬張ってみチん。
……何の気もなしに、ホットドッグを頬張ったんだ。
するとどうだ。ソーセージをかみ砕いた瞬間、その溢れ出るジュ~スぃ~な食感、
程良く塩味の効いててエエ味、
ともかく、剣の頭の中ではどう表現したらよいのかわからない、
最高の、至高の、ホットドッグだった。
剣はそれまでの仄暗く湿きった心情を195°ひっくり返し、あまりのホットドッグの美味さに、本当に感動した。
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