世界一周後、世界でたった一つの「鏡のない美容室」を作ろうとする変わった美容師の話。【STORY1】「世界一周、それが僕の夢だった」
初めまして。宇高俊晃です。
世界一周、それは僕の夢でした。僕は【地球髪切屋】と名乗って、2年7ヶ月で47ヶ国の国を巡りながら出逢った沢山の人の髪を切らせてもらいました。
その夢の中で、好きなことをしながら旅ができたことは何事にも変えられない素敵な時間でした。髪を切る場所はいつも、鏡のないこの世界のどこかの風景でした。
日本には22万件もの美容室があり、そのどこにも当たり前のように鏡がある。たとえ鏡がなくても、その人の体の一部である『髪』に触れたとき、その人の『心』を知ることがでました。
そして気づきました。『鏡は心の壁』だったんだと。
「世界というフィールドでカットさせてもらって気付いたこと」「旅前に日本の美容室や社会で抱いていた矛盾や疑問」「これから僕たちが叶えたい未来や理想を実現するために」
その想いを形にするために、「世界でたった一つの鏡のない美容室」を作ろうと思いました。
そこに至るまでの、僕の<これまでのストーリー>を何回かに分けて綴ろうと思います。
少しでも注目していただけたらと願います。それではよろしくお願い致します。
STORY1「世界一周、それが僕の夢だった」
僕が小学5年生の時、社会の地理の授業で渡された資料集。そこにはこの世界が小さな写真に収められていた。なぜだかわからないけど僕はその写真たちに魅了された。たった11歳の僕を取り巻いていた世界はほんのわずかなものだった。その小さな世界を一瞬で大きな世界へと変えてくれた。人生が変わった、そして僕が初めて夢を持った瞬間だった。
いつか自分の目で、肌で地球を感じてやろうと。
その日、家に帰って「世界を見たい!」といった僕に両親が「大人になって自分のお金で行きなさい」と言ったので、働いて、お金を貯めて、そして20代で行ってやるんだ!と漠然と決意したことを覚えている。
青春時代も軽くぶっ飛ばし、歳も重ね、美容師にもなり、気がつけば28歳になっていた。僕が美容師になるまでになりたい職業はコロコロ変わった。考古学者、パイロット、スポーツトレーナー、神経外科医、薬剤師など、まだまだあったかもしれない。
それでも僕が小さい頃に描いた夢だけは、歳をとることはなく決して色あせることもなかった。
行くなら若いうちにと漠然と決めた20代でという目標ももうあと2年で終わりを迎えようとしていた時、僕の背中を押す様々な出来事が重なって起こり出した。
それはまた別の物語で詳しく書こうと思うが、そのおかげで僕は旅に出ることを決意した。
自分の夢を叶えるために。
2013年6月、世界一周を夢見てから18年。僕はでっかいバックパックを背負って日本を飛び出した。
美容師として8年、いろんなことを経験させてくれいろんなことを考えさせてくれ、沢山の繋がりをくれた鋏をそのバックパックに詰めて。
2年7ヶ月で47カ国を巡った世界一周。
世界は一言では語り尽くせないほど僕を魅了した。長いようで短く、短いようで長い2年7ヶ月という月日で僕は本当に人生をもう一度やり直したかのような経験した。
素晴らしい景色が原色の絵の具で塗ったような鮮やかさの日もあれば、黒と白だけを使ったような霞んだ日もある。人の優しさが自分の心を癒してくれる魔法のような時もあれば、ただイラつかせるだけの毒のような日もある。地球が生きている音を身体中の毛穴を開いて全身で感じられる日もあれば、それを塞いで聞こえなくしてしまう日もある。
日本にいた時に、こんなにも自分の感情に心に素直になったことはあっただろうか?
それはそれは本当に不思議な感覚だった。
「世界」とは?「人」とは?「自分」とは?「生きる」とは?「幸せ」とは?
そんなものに答えなんて必要ないんじゃないかと思っていた時期もあった。
けれど世界を知って日本を知り、人を知って自分とこの旅の中でゆっくりと向き合っていくうちに、僕は僕なりの答えを見つけることができた。決して一人では見つけることができなかったと思う。
31年生きてきて、今まで出逢ってくれた全ての人たちのおかげで今の僕がいる。
素直にそう思うようになることができた。
小さい頃に世界を夢見てから、世界中を旅し、その旅の中で沢山の人の髪を切らせてもらい、「鏡のない美容室」を作ろうと自分なりの答えを出すまでの、そんな31年間の僕の<これまでのストーリー>を綴っていこうと思う。
これから少しずつあなたの大切なお時間をいただくことになりますが、ぜひ一人の少年の成長過程を見守るような気持ちで見ていただけたら幸いです。
次のストーリーは「僕の中の『絶対』」。
進学や就職、僕らは早くから将来の人生に関わる大切な選択を迫られてきた。その時から今に至っても、僕が大切にしてることは変わっていない。その大切なことは何かということを綴っています。
次のストーリーは近日中に投稿できると思うので、ぜひ読んでみてください。
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