自分らしくを大切にする人生 その6 ~人生初、突然やってきた挫折。救急車で搬送され、仕事ができなくなって気付いた、「自分を大切にする」こと。~
ということだったのです。
強いて言えば、何かヘルペスに関係する症状だと。
それで僕はまた大混乱でした。
「え?身体に異常がないって?」
と思い、
「どうしてこういう症状になっているんですか?」
と聞くと、そのお医者さんはただ、
「疲れや過労、ストレスだと思われます。」
「これ以上の処置は病院ではすることはできません。」
「落ち着かれたら、どなたか身内の方に来てもらって、今日はお家に帰られてください。」
と。
僕はこの言葉に、谷底に突き落とされたような、そんな気持ちになりました。
つまり、
脳梗塞や、血液の異常など、なにか肉体的な異常があるのであれば、それは嫌ではあるけれども、病院で処置してもらえる。でも、何も異常はないから、自分でどうにかしなさい、と。
「でもどうしたらいいの???」
ストレスと言われても、もちろん社会人で仕事をしていてストレスはあるけれども、特段強いストレスでもないと思っていたし、何が悪いのか、
さっぱり、本当にさっぱりわからなかったのです。
とりあえずもう病院ではどうしようもできないということで、家に帰った僕。
職場に事情は説明し、何日か家で休むことにしました。平衡感覚は戻ったのですが、左半身の痺れはなんとなく残っている状態。
休んではみたものの、確かに症状は悪くもならないのですが、よくもならず、どうしたらいいのか全く分からない。
その一方で、その時期は仕事の繁忙期。周りにこれ以上迷惑を掛けられないと思い、数日休んだら仕事場に復帰してみました。
職場のデスクに座る僕。パソコンのスイッチをいれて、いつもどおり仕事をしようとしたら、
真っ白。
頭が真っ白なんです。
いつもはすらすらとパソコンで作業が出来ていた僕なのに、
文章を書こうと思っても言葉が出てこないんです。
うそではなく、おおげさでもなく、
一言も頭に浮かんでこない。
フリーズしたような状態。
気付くと涙があふれてきて。
そして左手がどんどんしびれてきてしまいました。
上司になんて伝えたらいいんだろう、怪しいかなと思いながら、とにかく正直に伝えると、それは休んだほうが良いと言われ、家に帰って休むことになりました。
もう本当に、
どうしたらいいのか、自分に何がおこっているのか、さっぱりわかりませんでした。
そんな時に同僚のある1人が、ヒーラーのような方を紹介してくれました。
沖縄には「ユタ」と呼ばれる人や、スピリチュアルなことをする人、霊能者と呼ばれる人がたくさんいるのですが、その同僚はその中の一人を知っていて、その人は信頼できる人だということで僕に紹介してくれたのです。
「病院に行っても薬を出されて処方されて終わりかもしれない。竹内さんの今の状況はもっと根本的な対処が必要だと思う。この人は心の深いところを読み取ってアドバイスをしてくれるらしいから、ためしに行ってみたら?」
ということで、僕は早速その方に連絡をとり、セッションを受けることにしました。
とにかく、休んでいても全く改善されないし、仕事をしようとしても頭が真っ白、左半身の痺れは消えないので、まずは試してみようという気持ちでその人のところに行きました。
女性の方でとても優しそうな方。
その方は僕に横になるようにといい、おなかを触ってきました。するとこれまで体験したことのないような痛みがおなかに走りました。とにかく痛くて痛くてしょうがないんです。
下痢や腹痛があって痛いのではなく、ただ触られているだけで、冷や汗や涙や、痛い!って言う声がでる、そんな痛み。
そうしてその人が言いました。
「なぜ痛いか分かる?このおなかの痛みはあなたが自分の心にふたをしているからよ。自分の本当の気持ちを抑えているでしょ?」
と。
言われた瞬間はおなかが痛くて痛くて全く分からなかったのですが、
少し冷静に自分の事を振り返ると、たしかに思い当たることがいろいろ出てきたのです。
「言われて見れば、人から頼まれたことで嫌なことがあっても、笑顔で大丈夫ってふりをして、はいって言っているな。」
「全然大丈夫じゃないのに、大丈夫って気丈に装うことが多いな。」
「人に、嫌だとか、いいえが言えないな。」
人生のいろんなシチュエーションでの出来事がどんどん思い出され、確かに僕は本当の気持ちに蓋をしている、と気付けたのです。
そしてその方は、
「自分を大切にするようになれば、今起こっているあなたの症状全て、治りますよ!」
と笑顔でおっしゃったのです。
初めてこんなセッションを受けて、おなかが痛くて叫んで、泣いて、もだえて、
そして自分の心にふたをしていると言われて。
何がなんだか、普通ならすぐに納得できないことなのかもしれないのですが、
なぜか僕には、この人がおっしゃっていることが
「そうだ、その通りだ」
って思えたのでした。
自分を大切にすればいいんだ。
蓋をするのをやめればいいんだ。
そうしたら治るんだ。
そう思えると一気に希望がわいてきたのです。
その方とのセッションを終えて帰路に着きましたが、街を歩いていると、世間が一気に明るくなったように見えました。
視界が開け、平衡感覚がなくなったあの日の気持ちとは全く違う気持ちになれました。
「自分を大切にする。」
実はこの言葉、このヒーラーの方を紹介してくれた職場の同僚からよく言われていた言葉だったのです。
「ねえ、竹内さんって自分を大切にしているの?」
ってよくその人は声をかけてくれました。
でもその時は素直にその声掛けに耳を傾けることは出来ませんでした。
正直、「気持ち悪い」って思ったんです。
「何、その自分を大切にするって?なんか目に見えないスピリチュアルなこと?」
「そんなの余計なもの。目に見えるもので十分なのに、そんな目に見えないこととか言わないでほしい。」
「僕は、北海道大学大学院の修士もとって、難関のJICAに入って、いい給料ももらえて、友だちもいて、海外旅行もいけて、美味しいものも食べれて。なにが問題なのよ。十分幸せなのに。」
そんな風に思っていました。
でもどこかで、その言葉が心にひっかかってもいました。
理解が出来ない「自分を大切にする」という言葉。
でも何か上手く反論できない。何か気になる。そんな感じでした。
それが今回の出来事の答えだったわけです。
同僚に言われたときは分からなかったけど、体調を崩し、仕事が全くできなくなって、日常生活もまともに送れないくらいになって。
こんな大きな挫折は人生初めてでした。トータルで2週間、仕事を休み、療養をしなくてはいけなかった僕。
そのくらい痛い目にあってようやくわかったのが、「自分を大切にする」。
ストレスが昔からありましたが、
社会人なんだから、お金をもらって仕事をしているんだから、組織人なんだから、
と自分を奮い立たせ、そんなストレスには耳を傾けないようにしていました。
ストレスなんて誰にでもあること。ストレスは当然だと思っていました。
周りがやっているんだから、僕もやらなくちゃ。
社会人たるもの、自分の感情はおさえてでも仕事をするもの。そうするべき。
そう、とにかく、「べき」の塊だった僕です。
JICA職員なんだから、~すべき。
大人なんだから、~すべき。
男なんだかから、~すべき。
世の中の人はこうしているんだから、~すべき。
「べき」が僕の行動指針だったわけです。
しかしそれによって僕の「本音」や「自分」はずっと抑えこまれたままでした。
そのしんどそうな姿を、僕の同僚は見抜いていたんだと思います。
そういえば、たまに「竹内さんの笑顔って作り笑いだよね。」ってその人に言われてもいました。
根本的なところを見抜かれているということで、僕もとてもその人に対して居心地が悪かったのでしょう。「自分を大切にしている?」と聞かれるのが嫌で嫌でしょうがなかったんです。
自分を大切にする。
そうか、自分を大切にするってこういうことか。
よし、自分を大切にしよう!
セッションを受けて、心の深いところで決意をしました。
僕は自分を大切にして生きるんだ。
社会がこうする、こう思う、
世の中はこうだ、常識はこうだ、周りはこうだ、
じゃなくて、僕がどうしたいか。僕がどう思うのか。僕がどう感じるのか。
それに耳を傾けよう。
本気で耳を傾けてみよう。大切にしてみよう。
じゃないと、同じことの繰り返しだ、と思いました。
今回一時的によくなれたとしても、また救急車で運ばれて2週間も人生がストップしてしまうかもしれない。
そうならないように、
もう二度と同じ過ちを繰り返さないように、
僕は僕の本当の気持ちを大切にして生きるんだ!
そう思うと身体の芯から情熱がわいてくるような、そんな気持ちになりました。
暗闇のトンネルから抜けられた、答えが見つかった、これだ!という感覚。
その後どうなったかというと、「自分を大切にする」と決意してから一度も平衡感覚がなくなることも、半身麻痺も起きなくなりました。
本当に不思議です。
血液検査も、MRIでもわからないこと、本当にあるんだなって思いました。そして「自分を大切にする」ということの大切さを学びました。
この出来事をきっかけに僕は一つの決断をしたのです。
「JICAをやめよう。」
(この先はまた次回お話します。)
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