エストニアどうでしょう⑨ エストニアのサウナ文化 サウナハット? サウナの石にビールをかける?
前回は新しい家に備え付けられていたエストニア式サウナ体験について書いた。前回ご紹介したのはエストニアにおける基本的なサウナの入り方だが、今回は日本のサウナではあまり見かけないような北欧のサウナにまつわる文化をご紹介したい。
サウナ中に頭にかぶる「サウナハット」
僕が滞在していたイーヴォの家のサウナには三角形のとんがった形の帽子が置かれていた。
帽子を被ってみたところ。分厚いフェルト生地で出来たかわいい帽子だ。
家主 イーヴォに聞いてみた。
エストニアのサウナは温度が高い。そんなサウナに日々入っていたら髪がバサバサになってしまうのもうなずける。
実際に帽子をかぶらずに毎晩のようにサウナに入り続けていたら僕の髪もバサバサになってしまった。それ以来、サウナに入るときは欠かさず帽子を被ることにしている。
エストニアのサウナは「焼け石にビール」?
イーヴォがエストニアのサウナ文化について教えてくれたことは他にもある。エストニア人はサウナに入りながらビールを飲む。もちろんビールを飲むのはサウナ室から出てからの話だが。一番驚いたのはサウナの熱せられて焼けた石に彼がビールを掛けていたことだ。
なんということでしょう・・・彼が焼け石にビールを掛けた後、サウナ室内に広がったのはなんと「麦」の芳醇な香りだったのだ。
アツアツの焼け石にビールを掛けて蒸発させたことで麦の香りが復活した。
僕は酒は飲めない方では無いので、20歳を超えてからビールを飲むことは多々あったのだけど、ここまでビールから麦を感じた経験は無かった。ビールのCMではよく麦を前面に押し出していることがあるけど、ビールを飲んでいても「麦」を意識したことは一度も無かった。「ビール」は「ビール」という飲み物なのだと。
でもこれは凄い。原料の麦の香りが完全に復元されている。あんなに様々な工程を経て作られてもビールには麦の香りが残っているのだ。おそらくこんなに麦の香りを感じることは他にそうそう無い。広大な麦畑の前に立っていてもこんなに麦の香りはしないと思う。
製造過程で濃縮された麦の香りが暖められて気化することで一気に復元される。これこそがエストニアならではのサウナ体験の醍醐味だと感じた。
エストニアのアニメの中にも出てくるサウナ
Vanameesというエストニアのクレイアニメーションがある。Vanameesとはエストニア語で老人という意味で、このおじいさんを中心として繰り広げられるドタバタギャグコメディのアニメーションなのだが、週末なんかにはよくこの番組をイヴォや彼のエストニア人の友人が見て大笑いしていた。
この作中にもサウナに入るシーンが登場する。以下がそのワンシーンなのだが、子供たちがみんな頭を下げているのがわかると思う。これはエストニアやサウナの盛んな地域ではよく見られる光景で、水をかけた直後は熱せられた水蒸気が一気に頭の方に昇ってきてとても熱いので、頭を下げているのだ。特にサウナの上段に座っている時などは必ずとるポーズである。
北欧やロシアなどのサウナに入ったことがあるなら「あるある」と頷いてしまうシーンだ。
エストニアのコメディ・クレイアニメーション "Vanamees" のサウナシーン
こんな感じで、エストニア人とサウナは切っても切れない関係にあるのだ。
リンク:エストニア発のクレイアニメ Vanamees のサウナのエピソード(Youtube)
次回はエストニア国内で旅行に行った際の各地でのサウナ体験について書きたい。
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