フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第10話

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もう人を羨ましがったりしない。

そんな自分はヤダ。



ふと、由美の顔が浮かんだ。



入学したばかりの頃


すぐに私に近づいてきた由美。


都会的でお嬢様育ちの由美が

なぜ、地方出身の垢抜けない母子家庭の私を?


でも当時は彼女の隣を歩くことが誇らしかった。


「桃子は可愛いよ、メイクとファッションさえ変えれば、背も高いしさ」


皆から注目される由美にそう言われ嬉しかった。

由美は自分が専属モデルになれないのは身長が低いせいだと言った。

確かに由美は元が良いし、メイクもファッションも完璧だった。

私の持っていないものをなんでも持っていた。


プライドが高く、少しわがままなところはあるけれど

ずっと自慢の友達でいてくれると思っていた。



そんな矢先、私の中で彼女への気持ちが変わる出来事があった。


1年生の終わり頃のことだ。


仲良しグループ4人で旅行に行った時

1人の車で長野へ行った帰りだった。

私はお金が足りなくなってしまった。

カードも使えず困っていると

由美が、1万円札を出して

「これ使って」と言ってきた。


決して小さな金額じゃないので躊躇する私に

「いいって、友達でしょ!」

と屈託なく笑う由美に私は感謝した。


ところが旅行から戻り数日後

学校でお金を返そうとすると彼女は

なぜか受け取ってくれないのだった。


何度言っても答えは同じだ。

「私貸すって言ってないでしょ。私たち友達でしょ、だからいいの、ねっ!?」


私はなす術もなく差し出したお札を財布に戻すしかなかった。


そして彼女の友達としての優しさなのだと思うことにした。


お気楽なもんだ。




その直後だった、大学のカフェで由美を見かけ声をかけようとした時


聞こえてしまったのだ。


由美は携帯電話を耳に当て、片方の手でカップの中のココアをくるくるかき混ぜながら

ためらいもなく話していた。


「合コンの誘い?先輩も好きだよね〜。可愛い子?ハイハイ分かってますって。

え?桃子?でも…」


私はなぜか彼女の背後に立ち、次の言葉に聞き耳を立てていた。


「やめといたほーがいいかもよ。あの子スっごくビンボーだから。

着てる服も安もんでダサいし。あ、そうそうこの前の旅行の時なんかね

急にお金に貸してとか言ってきてさ、仕方ないから貸したの。

でもね未だに返してくれないんだよ〜ひどくない?もういいんだ。施しって思うことにした!」


私は硬直した。


そしてそのまま午後の授業にも出ず家に帰った。

由美の顔を見たくなかった。


施し…


この言葉が私の中でグルグル回っていた。


ひどい

なんで?なんであんなひどいこと言われなきゃならないの?


涙が次々頬を濡らした。


本当の友達だって思っていたのに。


私はその日を境に彼女と距離を置くようになった。


経済的に恵まれ友人が多い彼女を素直に羨ましいと思えなくなった。


施し…


この言葉が未だ私を苦しめる。



施しなんて受けない。


私は今朝届いた由美からのメールを開いた。


『この前の医大生飲み会すっごく盛り上がったよ〜。桃子も来ればよかったのに。

でね、私…なんと××大学の医学部の彼が出来ちゃった!彼ね将来、病院の跡取りなんだって。

ところで桃子は拓哉くんとうまくいってるの?拓哉くんこの前のバーベキュー寂しそうだったよ』

私は携帯電話を乱暴に閉じた。


もういい…



私はシャワーに入ってベッドに入った。


私は分岐点に立っていた。


私はもう普通の大学生には戻れない。

あそこに本当の自分の居場所なんてない。

私は私だけの居場所を探すのだ。

私が私になれる絶対的な居場所を



今夜も拓哉からの着信が5回もあった。


また、不機嫌な彼をなだめるのかと思うとウンザリしてくる。


私は彼女としてふさわしい人間じゃない。

これはもう随分前から分かっていたことだった。


もう彼への想いが私の中に残ってはいないことにも。


そうだ。はっきりさせなければならない。


私はもう一度携帯を開いた。

それから少し緊張した面持ちでそれを耳に当てた。






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フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第11話

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