もうすっかり初秋の気配

著者: 杉澤 三穂

立秋が過ぎ、お盆の墓参りも終わり、終戦記念日を迎え、オリンピックも終わり、高校野球も終わった。夏の花火大会もこの宇佐美の海で打ち上げられ、砂浜で孫たちとゆっくり眺めた。かわいい子供たちのゆかた姿の盆踊りもあったりと、この小さな街でもお盆で閉ざされていた商店街がにぎわっていた。やがてそれらが終わってしまうと、また、静かな人気のいない海辺の街へと変わっていく。

 

朝晩はすこし肌寒いくらい涼しい。すっかり秋の気配である。山肌を這いずっている烏瓜の白い花から、橙色に色づき始めた烏瓜があちこちにぶら下がっている。ヤマブドウの紫色の実が色づき、萩の花も咲きだして一変に季節が入れ替わろうとしているこの頃である。

私の畑も夏の収穫も終わり、新しく土を耕し、次は何の種まきをしようかと頭を痛めている。

この地で8か月、冬、春、夏を過ごし、やがて秋を迎える。周りの山々はどのような秋色に染まるのだろうか。楽しみでもある。

そんな中、一枚の暑中はがきをいただいた。今年90歳を迎えられた、学習院大学の元国際経済学部の教授のW氏。

≪「草枕」の一文の心境での転居とその生き方に感深いです。それから半年。東京オリンピックのときにこの世にいるかどうかの心境で暑い夏を生きています。今のアベノミクスに支持が高い日本の人々の、その将来はどうなるのかな、などと思ったり。。。一人のエコノミストとして。」≫私のことを気遣ってくれて、この暑中はがきはうれしかった。

 

晴耕雨読にはまだほど遠い。こころ静かに川の流れの音に耳を澄ます。

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