偽り

著者: 中原 志浦
僕は自分を偽って生きていた。
自分の評価を上げるため、嫌なことも我慢し、ニコニコと笑っていたり、誰にでも優しく接したりと、本当の自分を隠していた。
だが、ある日のこと。同じクラスのAという女子にバレたのだ。
僕は公園に誰もいないことをいい事に、愚痴や疑問などを言って、1人泣いていた。
そこを見られたのだ。
次の日の昼休み、Aに話しかけられ立ち入り禁止の屋上へ行った。
どうせ、弱味を握った事をいいことに、取引などをするつもりだろう。そう思っていた。
が、Aは取引などは一向にしなかった。
僕が口を開こうとした時、ふわりとAに頭を撫でられた。
「無理しないで。泣いていいんだよ。」
その言葉で僕の中の何かがプツリと切れた。
涙が溢れて止まらない。
言葉も溢れて止まらない。
Aはそっと頭を優しく撫でるだけで、ずっと相槌をうちながら聞いていてくれた。
やがて涙も止まり、ありがとうと伝えその日は早退した。
次の日からは心が軽くなり、身が軽くなった。
Aには本当に感謝しているし、今でも親友だ。

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