【6話】高校を中退した女子が上智大学法学部に入学して卒業するまで①ある子の言葉がきっかけで、高校をやめるまでに追い詰められた

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私は本の中に出てくる子たちに比べると、

恵まれている気がする。

でも、近い部分もある…。


その頃は、まだネグレクトという言葉はなかったように思う。

身体的な虐待のことは言われていたが。

本の中にはネグレクトされた子どももいた。

そこに近い部分があるように思った。

あと、出てくる非行少年と、

なんとなく親を重ねてもいた。


その頃、両親のことをなんとなく気づいていた。

父の背中に刺青があったことがどういうことか、

母がホステスとして働いていたことがどういうことだったのか。

薄ぼんやりではあったけど。


なんとなく、とてもなんとなく自分や

家族を把握し始めた時でもあった。

この本を通じて、自分を知った。

ただ、この本に出てくる人たちは、あまりに辛い状況で、

完全に自分と重ねるほど、自分は頑張ってないし、

同じだなんて言ったら、

その子たちに悪い気持ちを持つくらい、

自分は恵まれてると思った。


そんな時に、友達に机にあった本のことを聞かれた。

こういう本で、同じ高校生なのに大変そうなんだ。
ふーん。
私もなんとなく共感したり、似たようなことがあるから、悲しいんだ。親が帰ってこないし。
いやー、他にもたくさん辛い思いをしてる人なんて、いっぱいいるよ。虐待とかって酷いらしいからね。

その言葉に、すごくびっくりした。

私はその頃には、一人暮らしをしていて、

そのことは話をしていた。(8話くらいでこの話をします。)

それ以外のことは、なかなか言えず、

この時期は思春期でもあるので、

人と自分が違うことが凄く怖かった。


そんな時に、思い切って言った一言。

自分ももしかすると、この本に出てくるような人と、

同じ部分があるかもしれないということ。


それを真っ向から否定され、

他の人の方が大変だと言われた。

今の自分よりも、

本に出てる人たちが大変なのはわかってるよ。

でも、私の大変さは私が感じてることだから、

それでいいのではないのか。

と怒りも感じた。


それから私はできるだけ人には、

自分のことを言わなくなった。

その友達とも、なんとなく表面上での付き合いをした。


今考えると、あの学校にいる人の多くが、

家庭が裕福な人だったと思う。

本とかを読んで、自分は知ってる

と言いたいタイプの人が多かったのかも。


なんとなく、なんとなく、自分と考えが違った。


あと、もう1つ違ったこと。


お昼ご飯に、母が一度だけお弁当を作ってくれた。

ご飯の上に、シャケが一匹乗ってるだけのものだった(笑)

母のお弁当は奇抜で、

幼稚園の時は納豆巻きが入っていたことがあった。


お弁当はいいよ、と言い、

それからは、お昼に購買やコンビニに行って買ってきていた。

買いに行くと、ギリギリだから、

いつも急いで食べていた。


毎日みんなお弁当を持ってきていた。


なんとなく、なんとなく、

お弁当を持ってる持ってないの違いが、当時は大きく感じられた。


あとあと、まだある。

毎日、満員の地下鉄に揺られて学校に行っていた。

その時住んでいたのは、なんとオフィス街のど真ん中(笑)

サラリーマンがオフィスに向かう中、

駅に向かう女子高生(笑)


なんとなく、なんとなく、周りの目線が怖くなった。


なんとなく、

学校に行くのが嫌になった。

でも、行かなきゃいけない。


高校の修学旅行は、

お金がないと嘘をいい、行かなかった。

でもあながち完全な嘘ではなかったんだとは思う。

母が修学旅行のお金のことを言ってたから

出てきた嘘だったように思い出す。

だって、母もごめんね、と言っていたし。


何かの行事が他にもあったけど、行かなかった。


3年生になり、いよいよ大学受験。

当たり前のように、大学に行くことを考えていた。


周りは、勉強に集中していた。

私は前述のことに加えて、

家の家事をしている自分。

この時間も勉強している人たちを、

ますます羨ましく違うように感じた。


国立を目指そうと思い、勉強に食らいつくが、

苦手な数学がなかなかわからない。

数2くらいまでしか付いていけない…。

どうしてもわからない。

勉強にまで付いていけなくなったんだ。

唯一、自分を認められた勉強にも。


なんとなく、プツンと切れた。


そして、学校になんとなくいけなくなった。


行こうと思うと、足が重くて、

行ったら、授業中に涙が出た。

なんで涙が出るかわからなくて、必死に隠した。

鏡を見るのが怖くなった。


足がどんどん重くなって、

学校に行かなくなった。

学校の友達からのメールはスルーした。

先生は、特に何も言わなかった。


3年生の5月に学校に行かなくなり、

8月に正式にやめる手続きをした。

この時もひとりで。

続きのストーリーはこちら!

【7話】高校を中退した女子が上智大学法学部に入学して卒業するまで②1科目の受験だけで、高校の卒業を認定してくれる制度を見つける

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