「元素の勉強」に驚きと感動を!!熱狂と興奮を!!とある塾長の実録奮闘記

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次話: 驚きと感動の元素編 第2章


では問題!(ジャジャンという効果音)真空の瓶に入れられた時計は、この後どうなったでしょーか?グループで話し合ってみよー!


そう、子どもたちが問いかけられた謎は「時計はこの後どうなったか?」なのである。決して「ボイルはどんな事実を発見したか?」とか「ボイルは何を聞いたか?」ではない。「時計がどうなったか?」なのである。


このように問いかけられると、人間の心理はボイルには向かず、時計にのみ意識が集中し、時計そのものの変化について考察を始める。だから「逆回転」「停止」「爆発」という推測がなされるのである。もし問題の内容が「ボイルが・・・」と主語を時計でなくボイルにしたら、人間の心理は時計ではなくボイルに向かう。ボイルはどうしたんだろう?と。


しかし実は、この問題は答えに対して一直線だが、面白くない。つまり考えたくなる謎ではない。だから子どもたちの頭はフル回転にはならず、「わかんなーい」とか「こんな感じー?」とか結構冷めた感じで終わる。そして誰か知識のある子が正解を言って終了。要するに場が動かないのだ。


しかし答えに対してストレートではなく、カーブを投げたらどうであろう?あの騒ぎである。時計はどうなったか?なんと想像力を駆り立てられる質問だろうか。ああかもしれないこうかもしれないとアイデアが湧いてくる。しかも正解を伝えられた後の、知識を持った子どもの悔しそうだこと。そうやって悔しいと思った気持ちが、知識(この場合は音と空気の関係)をより意識の底へとすり込むのである。


学校の教師の世界には「発問」という言葉がある。これはつまり、授業のどのタイミングでどんな質問を発するか?という授業デザインのための専門用語だ。この視点は大変に重要で、質問の言葉使いやその順番が違うだけで、場が動いたり動かなかったりする。最近、企業研修の世界やワークショップの世界で何かと注目を集める「ファシリテーター」と呼ばれる人たちも、次にどの質問を投げかけるべきか、そこに一点集中することがよくある。それくらい、クリティカルな問いは人間の思考を左右し、支配するのだ。



さて第一問が終了したところで、次の質問。


時計の結果に驚いたボイルは、次は「空気がないところで生き物はどんな風に飛ぶのだろう?」と考えて、ミツバチを入れてみることにした。


さすがにこの問題には子どもも罠にはハマらない。「うわーかわいそう!」とか言いながら、ミツバチは空気が吸えなくて死ぬ!と一直線に答えを出す。確かに空気がないと呼吸ができなくて苦しくなる、という知識は日常的に体験できるので幼児でも知っていたりする。一方で、空気は音を伝える、これはなかなか体験できない。知識のレベルがひとつちがうのだ。


しかしボイルにとってはこれもまた驚くべき結果だった。そのくらい当時の科学的知識というのは貧相なものだったのだ。きっと変な風に飛ぶミツバチを想像していたら、突然死んで、裏切られた!!という気持ちだったのだろう。


しかしボイルは納得しない。小さい体だったからでしょ!?でかい生き物ならきっと死なずに変な飛び方を披露してくれるだろう!!そう思ったのか今度は小鳥を閉じ込める。



虫ならまだ許せるけど、これは許せない!!


うん、その線引きはどこでしてるんだろうね?生物学的にはどちらも命、ライフですが何か?まぁでもなんとなく気持ちは分かるよーー!


そしてボイルは色々と試していくうちに、ロウソクの実験によっても一つ知識を手に入れて、空気には3つの性質があることを突き止めたのだった。



さて、話の流れは四大元素という教義をどのように打ち倒すかだった。そこに難題に立ち向かったボイル。ではボイルの発見はどんな効果をもたらしたのか??


四大元素説をぶち壊す!という程度の衝撃は与えられなかったものの、この発見によって多くの科学者が「空気」について興味を示すようになる。「燃えることと空気にはどのような関係があるのか?」といった好奇心は、まさに酸素や二酸化炭素を発見する大いなる原動力となった。こうして科学者たちは、どうやら空気は単純に1つではなく、大きく分けて4つの種類がありそうだ!というところまでたどり着く。


さて、今では耳慣れない名前だが、それぞれいったいどんな空気(気体)の名前だろうか?



ここで!!!



ついに元素編初の実験ターーーイム♪やっぱり化学なんだから実験しなくちゃね!というわけで、子どもたちの眼の前で4つの空気をそれぞれ発生させるという実験を敢行!!そして眼の前で生成された4つの空気が、上記の偉人が発見したどの空気と対応するか推理せい!!というワークを実施した。


一生懸命、4つの空気を生成するワタシたち笑。



3番の空気は、謎の緑色の液体から発生しているぞ!いったいなんだこれ!?


10分ほどかけてようやく空気の生成に成功。この難問に正解者は出るのか!?




もちろん偉人たちの名前がワケワカメなので、4つの空気と完全に一致させることは難しい。それでも子ども達は楽しそうだ。重要なことは当てることではなく、4つの空気の正体に好奇心を注がせること。そうやって十分にひきつけた後で、それぞれの性質や正体を明かせば、子どもの心にはしっかりと印象付けられる。


いくつかのやり取りを経て実験終了!答えは以下の通り。



さて、こうして空気とは色々な種類があることが判明し、四大元素説にほころびが出始めた!!四大元素の一角、空気は「これ以上分解できないもの=元素」という定義に反することになったぞ!!


しかしこの一撃だけでは、長年信じ続けられた教義は打ち砕かれない。もっと大きな衝撃、痛恨の一撃を加えなければ、偉大なる四大元素説を打ち砕くことはできないのだ!!



では誰が??



その一撃を加えた人物こそがこの人。

化学という世界の扉を初めて開いた人物、そして科学会に燦然とその名を残した人物、アントワーヌ・ラボアジェである!!!


彼は誰もが納得せずにはいられない、四大元素は間違いである証拠を突きつけた!!




果たしてその証拠の中身とは??


それはどうやって手に入れたのか??





第2章へとつづく。


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驚きと感動の元素編 第2章

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