口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ① 決意編

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著者: 健二 井出


えっ?

WHY?

どういう事ですか?


「三人いるって事は、優先順位決めとかないと・・・。」


私はハッとした。

ははぁ~ん、車中のピリッとしたムードはこれだったんですね。


ヘルスに行った事がある方ならおわかりになるだろうが、入店してから女の子の写真が貼ってあるアルバムを見せられる。

そして、そのアルバムを見て女の子を選ぶのだ。


今、議題にあがっている問題はアルバムの女の子を選ぶ順番である。

当然、最後の方がブサイクの確率は高いと思われる・・・。


「……ジャンケンするか。公平に。」


異議はでなかった。


誰が考えたかわからないがジャンケン…

とてもフェアだ…。


このジャンケンというシステムにより人々の争いは、全世界で2割は減少したであろう。


緊張が3人を包む・・・・・


「最初はグー!!

ジャン・ケン・ホイ!!!」


ジッ・・ジッ・・・ジーザス!!!


こんな一世一代の大勝負にあろうことか、あいこにもならずに私は敗退した。


順番は、M→I→私 である。


順番も決定した所で、いざ出陣!


「いらっしゃいませ。こちらに座ってお待ち下さい。」


せっ、せっ、せまい!

待合室がとてもせまい!

5畳程度の広さで少し使い込んだ感じのL字型ソファーが一つ、

小さいテーブルが中心に置いてあり、

所狭しと雑誌が並んでいた。


(こんな所にかわいい子が働いているのか?)


そして見渡すまでもなく先客が2名いるのに気付いた。

2人とも欲望のままにヘルスにきているとは思えないぐらいクールな態度である。


「本日はご来店ありがとうございます。ご指名ございますか?」

「いえ・・ないです。(平静ぶった低い声)」

「それでは、こちらのアルバムから女の子をお選び下さい。」


もちろん先ほどのジャンケンの順番が厳格に守られた。


私(おっ、この子かわいいな…)


M「この子お願いします。」


私(次だったら金髪のこの娘だな……)


I「この子で。」


ジーザス!!ガッデム!!


当然であるが、かわいいと思われる娘を両方ともM・Iに選ばれてしまった。

力なくアルバムをめくる私・・・。

アルバムをめくっていると・・・


「この娘、当店でNO1ですよ。」


とショートカットで、私にとってはイマイチパッとしない娘を勧められた。


「じゃあ・・この娘で・・」


初体験のヘルスで粘るほどの根性はなかった・・・。


(はぁ~、50分で16000円も払うのに…なんかパッとしねぇな……。)


もちろんその頃のボーイズには

16000円はとてつもない大金だった。


当時ベストセラーになっていた

「NOと言えない日本人」

という書籍の題名に共感をもった瞬間だった。


待つ事5分


「どうぞ。」

「・・・・・・。」


無言でMが、

まるで戦地へ赴く様な表情で静かにソファーから腰を上げ、

カーテンの奥へと消えていった。


それからまた5分程して


「どうぞ。」

「・・・・・・。」


次はIがクールぶっていたが、

明らかに緊張した様子でカーテンの奥へ消えていった。


そしてそれから10分程度経った頃だろうか、


「どうぞ。」

「・・・・・。」


これだったのか!?

ハイテンションで返事をするわけにもいかず、かと言ってもちろんキレるわけにはいかない・・・。

返事をせずに静かに立ち上がるという理由を、その時私は理解した。


そして自分もカーテンの奥へと進み、

せまい通路のちょうど中間ぐらいに差し掛かったときだった、


風俗嬢「いらっしゃいませ!」


うぉ・・・なぜ君みたいなかわいい子がこんな大人の社交場で働いているんだい?

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