「出会い系」を使ってた時の話しでもしようか。



私はグラフィックデザイナーであり、二児の父でもある。父になるには、当然のことながら、妻がいてこそ。「おいおい、散々、過去のストーリーで女性に恵まれないってことを駄弁っておきながら、しっかりと結婚してんじゃねぇか?」

……ふふ。なめるな。私の妻。どこで出会ったか教えようか? ストレートに、「出会い系」だ。

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「出会い系」との出会い。


独立前の前職。忙殺される毎日。唯一、あるかないかの週一休み。日曜。休みはありがたいが、彼女も、気軽に会える友だちもいなかった。さらには一人暮らし、というコンボ。


公園にいって、日なたぼっこをしながらの読書や、ワンマン映画やらしていたのだけど、じょじょに、じょじょに、たまっていく感情。「とにかく…とにかく……誰かと…話しがしたい……!!」

平日仕事のプレッシャーから全力逃避もあって、あふれんばかりの会話欲求は、とうに私のコップからじゃぶじゃぶと漏れだしていた。…会話…会話……たわいない会話…誰かと…いんや、女性と……。気づくと、僕は出会い系に登録をしてたんだ。



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サクラとの闘い。気づきの戦利品。


有名な話しだけど、「出会い系」には、「サクラ」がつきもの。「サクラ」は、魅力的な異性になりすまし、直接会っていない画面上で、会話をなが〜くつなげてくる。で、「サクラ」は、その出会い系サービスの運営会社が雇っていたり。なんでそんなことをするかってーと、「1会話」する度にポイントが必要で、ポイント購入にはお金が必要で、会話を“無駄に”つなげればつなげるほど、運営会社がジャンジャン儲かるのだ。


今は、「アプリ」を中心とした「出会い系」が多いようだが(無論、今は引退している)、当時は「アプリ」ではなく、「PC」or「携帯」のどちらかを軸とした「出会い系」が多かった。

ん? 多かった? なんで知ってるのって? はは、僕、デザイナーですよ? 最高の正解にたどり着くには、検証が必須って話し、しましたよね?

そう、無数にある「出会い系サービス」から、「サクラ」に出会わず、「直接会って、本当に会話できる女性」を探す方法。真剣、かつ、効率よく考えた時。複数のサービスに一気に登録して、色んな相手と同時に、まずはオンライン上で会話をつなげる必要があったのだ。

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どのサービスに「サクラ」が蔓延しているか。なにもわからず、手探りの状態だ。生真面目な会社の上司に、

「今、出会い系やってるんすけど、この子、サクラだと思います??」

なんてことを相談できるわけもなく、一人で夜な夜な、


「この子は……どっちだ? 愛想がよすぎる…あやしい……本当はおっさんじゃなかろうか? いや、考えすぎか。うーしかし、おっさんだった場合、メッセージを打ち込む時間もポイントももったいない……でもでも、カワイコちゃんだった場合、それこそ、もったいない!」


と、考えてはメールを送る、悩んでは会話をつなげる、ということを繰り返していた。早く寝りゃあいいのに。

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春でもないのに満開のサクラを避けつつ、舞い散る花びらを背に、経験値をコツコツと高めた末。直接、女性と会うことができた。様々な女性と会話をする内に、一つの法則に気づく。


「PCメインの出会い系」には、いい意味で普通で真面目な女性が多く、「携帯メインの出会い系」には、いい意味でノリが軽い女性が多い。(“いい意味で”って便利な言葉ですね。いい意味で!)また、「PCメイン」は、真面目な傾向ゆえ、会うまでに2〜3ヶ月、メールのみのやり取りを要する。「携帯メイン」は、会うまでの時間が、まぁ早い。極端な話し、当日のお昼に初めてやりとりして、夜にご飯いくことだって可能なんだ。

そして、ポイント購入システムではない、月額いくらとかの、定額制の出会い系にはサクラがほとんどいないことも判明した。会話を“無駄”に長くつなげたところで、運営会社の儲けにはならないから。メモっておきましょう。


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喜びの囲い込み。


私が使っていたPCメインのサービスには、「職業絞り」なる機能がついていて、例えば、「クリエイティブ系の女性を探す」って検索がかけちゃうんだ! おぉ、ワイもデザイナーだし、これは話しが合いそうだぁ、と「クリエイティブ系絞り」にして、会いました。


同じ“ものづくり”をやっている者同士、会話はそれなりに弾む。しかし、メンタルが癒やされない。クリエイティブトークになると、自分の中での「デザイナーモード」にスイッチがカチリと入る。気が張る。あ、モリモリ仕事している平日と変わらん!

なにより、クリエイティブ職の人間は、“面倒くさい”人が多い! ←これ、褒め言葉です。男女問わず、何かをつくる人はこだわり強く、「面倒くさくあるべき」だと思います。お互い様!

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CM制作会社に勤めている女性と食事に行ったのですが、予約した店に入るなり、

「私、この店、イヤ」

と言われた時は、もぉどうしようかと思いましたよ、奥さん。あ、あと、クリエイティブとか、まったく関係ない相手なんだけど、初見の日に、

「あたし、今日が誕生日なんだ。だから、なんか買って!」

と、告げられ、新宿の丸井一階に連れていかれたこともあったよ。

「これ、ほしー!」

と、そこまで高くもない、絶妙なアクセサリーに指をさす。女性店員さんに向かって、

「あたし、今日が誕生日なんですよー!」
「えー! おめでとうございます!」
「これ、とってもかわいいですねっ!」
「お似合いだと思いますよ!」


気づけば、2人が結託している。これは困ったな…。女性店員さんは、多分、私が“彼氏”だと勘違いしているのだろう。無言の圧が送られてきた。

「(おいおい、そんなに高くねぇーだろ、これ。彼氏だったら、迷わずバシッと買ってやれよ)」
「(い、いや、ちがうんです! さっき、初めて会ったばっかなんです! 出会い系で会った人なんですよー!)」


言いたいたくても、言えない。伝えたくても、伝えられない。がんじがらめ地雷。う、うわぁー!! ……まぁ、買ったけどね。


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そして、再び、旅立ちの時。



数々の経験を超えて、今の妻に巡り会ったわけです。こうゆう話しをすると、よく聞かれる。


「結婚式の時とか、『どこで出会った』って説明したんですか?」


おいおい。まるで、「出会い系サービスで、出会ったこと」が後ろめたいみたいじゃないか。失礼な話しだ。聞かれりゃあ、答えるよ。迷いなく、


「紹介です」


この一言だ。あとは何も言わない。ウイスキーみたいにクール。素の味。ピュアモルト。嘘はついてないだろう。「出会い系」からの「紹介」さ。後ろめたさなんかありゃしない。ちょっと説明不足なだけだ。ふふん。

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異性に限らず、「より良い出会い」は、自発的に動きまわってこそ、ブチあたる。ルーティーンで退屈な毎日になってないか? オモロイことが起きるのを、会社や学校、環境頼みにしてないか?


愛を探そう。走って、転んで。途中経過は指さされ、笑われたってかまわない。だって、探してる途中なんだもの。むしろ、笑いのない、話しのネタにもならないような、途中経過なんぞ、たいした経験値がたまってない、ということだ。

ありがとう、「出会い系」。恩返しに、書かせてもらったよ。というか、響きがアレなだけで、STORYS.JPも、その他SNSも、まるっと「出会い系」だと思うわけですよ。人と人。人間交差点。

有益な情報も、くだらない冗談も、すべてが「愛」。それに「出会う」。言ってしまえば、皆、オンラインの旅人だ。ここは道の駅。それでは、また。良い旅の続きを。いってらっしゃーい!


グラフィックデザイナー
アトオシ 永井弘人




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