平凡に生きてきたつもりが、一億分の一を引き当てていた話。~あと血液のがんになった話~

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と言ったことを覚えています。


 

 

結局その日のうちに大病院に行き、さんざん血液検査をして、CT検査とエコー検査、レントゲン検査を受けました。

 

全て終わるころには、すっかり日が暮れていました。

 




明日には結果が出るので、必ず来てください。出来ればご家族も一緒に。




 

そう告げられ、解放されました。



 

近所の内科のおじいちゃん先生の紹介状、使わなかったなぁと思いながら、電話で会社に明日の休みを申請し、自転車に乗り、

 

そうして、良くわからないけど大変なことになった、ということだけは理解できて

 

ぼろぼろ泣きながら家に帰りました。

 

次の日の検査結果には、母が同席してくれることになりました。







 

「検査結果」

 

「さて、呼吸器外科のKです。よろしくね。で、これね、ちゃんとした診断はもう一つ大きな検査しないと出ないんだけどね」

 

「ざっくり言うとね、縦隔腫瘍。肺と肺の間に腫瘍が出来て、肺や心臓を圧迫してるのね。今凄い息苦しいでしょ。胸の中いっぱいに腫れ上がってるもの」

 

「これ、僕の経験から言わせてもらうと、位置的に可能性があるのは胸腺腫、あとは悪性リンパ腫。がんですね」

 

「あ、癌とがんはホントは別物なんですよ。形があって外科手術出来るのは癌で、うーん、でもまあこの説明はいいや」

 

「スパッと切除できたらいいんだけどね、コレほらここに心臓のおっきな血管あるからね、だめだよ危ないもん。」






 

やたらズバズバものを言う先生の、あまりの早口と聞きなれない言葉に頭が追い付いていきませんでした。

 





「あの、もしがんだったら、どうなるんですか。抗がん剤とか、放射線とか…」

 

「そりゃあやりますよ!でも今は昔ほど副作用もないですよ!吐き気止めもね、最近はねぇ、いいのが出てるんですよー!」

 

「髪もやっぱり抜けちゃいますよね…」

 

「あ、それも今結構いいウィッグあるでしょう、可愛いやつ。芸能人とかもねぇ、今どき皆つけてるし!」

 

「まつ毛も…」

 

「あ、最近まつ毛もいろいろあるでしょう、まつ毛エクステとか?うーん、僕あんまり詳しくないけど!」

 

「えぇ…」

 

「とにかく。がんと決まったわけじゃないですけど、覚悟しておくに越したことないですから。ね!がんだった場合は、血液内科の先生にいろいろ聞いてね!」





 

ひととおり話し終わると、一息ついてから私の右首筋を見て、

 




「胸は切開しないから。首筋のしこりを生検※にだして、診断しますからね。」




 

「傷跡が出来るだけ残らないように、綺麗に切りますからね。女性だもんね。」



 

「首筋切るの。コレ怖いよね。全身麻酔しましょう。寝てる間に、全部終わらせちゃうから。」

 



ホントは優しい先生なんだなぁと思いなおしました。

 


※組織の一部を最終して病変を確認すること。






 

「診断」


3日間の入院の間に生検をし、その後一時退院の際にがん診断のためのPET検査という

検査を行い、

 

だんだん、今回の私の病気は考えられる中でも一番悪いものなんだろうなあ

 

と、感づき始めました。

 

それでもどこか、何かの間違いであってくれと願いながら、

 

63日、呼ばれたのはやっぱり血液内科でした。

 

先の呼吸器外科の先生とは打って変わって、冷静な女医のW先生が、私の担当医でした。

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