受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート2(完)
受験に失敗した引きこもりが、ひょんなことからイギリス留学を思い立ち、一念蜂起してケンブリッジ大学合格を目指すに至ります。
18歳の高校卒業まで、海外経験は全くのゼロ、英語は一言として喋ったことはありません。
そんな僕は、現地に行ってからもちろん悪戦苦闘の毎日。しかしながら、自分の可能性をどこまでも信じ続け、死に物狂いの努力を続け、1か月後には日常会話がペラペラできるレベルにまで達します。
ここまでが、前回のパート1での内容です。
今回は本格的に受験勉強を開始してから、ケンブリッジ大学合格に至るまでの2年間の話をお送り致します。
このストーリーを通して、あきらめない事の大切さ、夢を大きく持ち続けることの大切さ、自分を信じ切ることの大切さが、少しでも多くの方々に伝わればと願っています。
1年で大学入学を目指す
9月になり、いよいよ受験のための外国人学校に入学。
場所はケンブリッジ大学がある、ケンブリッジ市。
そして、目指すはもちろんケンブリッジ大学への合格。
やる気満々です。そして僕は、当然の事のように1年で大学入学を目指します。
しかし当時、僕はどうしたらケンブリッジに合格できるか、よく分かっていませんでした。
今考えれば、本当に無知なればこそ、ただの阿呆の極みです。
そしてついには、学校の校長先生に「1年でケンブリッジに行きたい」と直談判しに行きます。すると、
「Your English is not enough for Cambridge! 」
(そんな英語で、ケンブリッジに行けるわけないだろう!)
と、一刀両断されてしまいました。
この日ばかりはショックで、悔しくて一人で泣きまくります。
ケンブリッジ大学に合格するためには・・・
ここで、イギリスの大学入試システムについて、少し説明を加えたいと思います。
ケンブリッジ大学を受験するには、必ずA-level試験(日本のセンター試験に該当する試験)を受験する必要があり、ネイティブと全く同じ条件での受験を強いられます。
さらにケンブリッジ大学・オックスフォード大学へは、
- 学校でトップ1~2%の成績を取っていること
- A-levelの3~4教科全てで、"A"(80%以上の得点率)を取っていること
- 優れた内容の自己推薦状(Personal Statement)と学校からの推薦状の提出
- IELTS(イギリスの英語検定試験)で7.0 (TOEIC990点相当)以上の取得
(*上記、2007年入学時点での基準です)
これらを「最低条件」として満たした上で、最終的に「面接」で候補者の振り落としがなされます。
上記の最低条件を全て満たすのは、ケンブリッジ・オックスフォードを目指す人には当たり前。むしろ満たしていないと、面接の前に門前払いを喰らってしまいます。
A-level 試験について
A-level試験は、基本的に日本のセンター試験を全部論述にしたものとイメージすれば、差支えないと思います。1時間試験があるとしたら、A4の用紙3~4枚分に、ひたすら論述答案を書いていくことが要求されます。
ちなみに、A-levelの試験の問題はこんな感じです(2009年の「政治学」の問題から抜粋)。
・What divisions exist within the current Conservative Party over
ideas and policies? (昨今のイギリス保守党の中で、思想や政策でどのような分裂が起きているか?)
・Evaluate the effectiveness of the various ways in which
participation and democracy could be strengthened in the UK. (イギリスで政治参加と民主主義が強化されるための、種々の方法の有効性を論じよ)
当たり前ですが、全部英語で試験が行われます。日本語は一切使いません。
必要な科目数は3~4科目のみ。科目数が少ない分、各科目で大学一般教養レベルの内容まで深く掘り下げて学んでいきます。
そして基本的に、A-levelの試験は1年目・2年目の2回に分けて受験することになっています。少し複雑ですが、受験のタイムフローをまとめるとこんな感じです。
・(1年目の5~6月) A-level 1年目の受験
・(2年目の9~11月) 自己推薦状(Personal Statement)の作成、大学への出願
・(2年目の12月) 面接
・(2年目の1月) "Conditional Offer" (条件付き合格)の通知
・(2年目の5~6月) A-level 2年目の受験
⇒ "Conditional Offer"の条件を満たし、最終的に合格が確定
ここでポイントなのが、A-levelの受験は2年目よりも1年目が重要となってくることです。なぜなら、1年目で全て"A"を取っておかないと、学校から出願すらさせてもらえないからです。
面接について
(面接のイメージです。大学の先生を相手に、1対1で勝負します)
面接では思考力・分析力・議論する力が問われ、「これからケンブリッジで学問をするのにふさわしいか」が周到に吟味されます。
世界中の受験者の中から、最終的に面接で合格者が絞り込まれますが、面接での倍率は普通に5~10倍以上になることもあり、やはり面接が最難関のハードルとなってきます。
ちなみに受験の時に面接が実施されるのは、ケンブリッジかオックスフォードを受験する場合のみ。イギリスの他大学へは、A-levelの成績だけで実質合格が決まります。
面接では、あえて相手を考えさせるような、難問・奇問が出題されます。
例としては、
・Why don't we just have one ear in the middle of our face?
(我々はなぜ顔の真ん中に一つの耳を持っていないのか?)
・Are you cool?
(あなたは、カッコイイですか?)
他にも、「世界には砂粒がいくつありますか?」「歴史は次の戦争を止めうると思いますか?」と言うように、基本的に簡単には答えられない問題しか出ません。
試されているのは、答えそのものではなく答えに至る思考過程・難問に臨む姿勢であると言えます。
まとめると、ケンブリッジ大学に合格するには、
①A-level一年目の受験で、全科目"A"を取る
②書類を整えて、ちゃんと出願する(地味にこれが大事です)
③面接を突破
以上をクリアすることが必要です。
当初僕は、A-levelの2年分を1年でやってやろうとか訳の分からないことを考えていましたが、はっきり言えば制度上物理的にできない仕組みになっていました。
悔しいながらも、2年後には絶対ケンブリッジに合格すると心に誓い、1年での合格を断念します。
とはいえ、生き延びるだけで精一杯
(ケンブリッジ大学には、生徒が衣食住を共にする30種以上もの”カレッジ”(学寮)が存在します。写真は最も有名なカレッジの一つ、セント・ジョンズ・カレッジ)
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