落ちこぼれボク、グランプリ受賞までのキセキ!〜異星人ボクと宇宙人母さん〜 苦悩編

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親も悩んでいるのか、でも、その声には力があったように思う。

そして、この出来事を境に、親の態度がどんどんエスカレートしていった。

 

 

★★「突然ですが、東洋医学へ移らせてください!」

「先生、次回から、東洋医学へ移らせてもらいたいのですが、紹介状を書いていただけますか?」

  

この時期を待っていたかのように、西洋医学との別れを告げる親——。

 

「えー、まじ? そんな話、ちっとも、してなかったじゃん!」

 

ボク、そんな所、行きたくないよ。鍼とかお灸とか、おばあちゃんとか、おじいちゃんがやるもんでしょ? なんで、ボクがやんなきゃならないんだよ・・・どんどん周りの患者が、年寄りばっかのところになるじゃん。もう、イヤだよ・・・。

 

なんだかこのままでいくとうちの親、突然、「われわれは宇宙人である。『地球の常識、宇宙の非常識』とかなんとか言い出して、だから問題ない」なんて言い出すんじゃないか・・・


 おれは、やっぱりモルモットなのか?

 

医師から名前を呼ばれて、診療室に入って、びっくり!

 

えっ? おじいちゃん先生じゃないの? なんで、こんな若い女の医師がこんなとこにいるの?

 

医師はボクの期待を裏切って、人体図をみながら、治療の方法やアプローチの仕方、実際に使う器具などを示しながら、一つ一つ丁寧に教えてくれる。

しかも、ボクの1番の不安要素である、痛さ、熱さ、治療によって起こりうる症状など、ボクの気持ちを察してくれたかのように、丁寧に説明をしてくれた。

 

スゲー、この医師も親切、しかも説明もわかりやすい! この医師に任せておけば、治るかも!

 

だが、そんな気持ちは、ロビーの高年齢の患者集団を前に、もろくも崩れる。

あーあ。。。おじいちゃんばっか・・・しばらく、ここに通うのかぁ。この頃のボクは、すぐに気持ちが萎えるようにもなっていった。

 

2週間ほどの通院を続けたある夜。またしても、親の爆弾が投下された。

 

「あのさ。せっかく東洋医学でお世話になっているんだから、薬飲むのやめたほうがいいと思うんだけど? ちょっとの間、やめてみない?」

 

食後に薬を飲んでいるボクは、思わずむせこんでしまった。

 

そんなムチャでしょ? じゃぁ、痛くなったらどーするの? 母さんは、この激痛とか、だるさとか知らないから、そんなこと言えるんじゃない? どんなに大変か体験してみたらいいよ」

 

いいけどさ。薬やめたら、ボクの体の痛みとか、違和感とかよくなるの?」

 

「必ず良くなるよ。もう少し時間がかかるかもしれないけどね」と、いともあっさり答える親。

 

整形外科の先生に、相談したの?」

 

「してないよ」。

 

じゃぁ、東洋医学の先生には?」

 

「してないよ」。

 

じゃぁ、『誰が、薬飲むのやめる』って決めたの?」。

 

「わたし」

 

えーーーー! うそでしょ? なんで?」

 

「だから、今、説明したじゃん。体も軽くなるよ。まぁ、ここまできたら、自分の細胞の力を信じてみない?」

 

それってさ、わが子だからするの? 無責任な言い方にしか聞こえないんだけど」

 

「ケイタだからするんだよ。他の人にはできないからね。ただ、東洋のほうが、やっぱり調子がよさそうだからさ。いっそのこと、東洋一本にするほうが良いかなって思ったんだもん。自分の体の中に眠っている元気な細胞を活性化させる。ついでにね、体に負担をかけている化学物質食品を食べるのもやめとこね」

 

そして、目の前に差し出された料理の本「体においしい『和粗食』のすすめ」と「味秘伝」。

いかにも使い古されたこの2冊は、実は、ボクが生まれた時に「アトピーになる可能性が高い」と医師から言われて、根治療法のために買い揃えた本だと説明を受ける。



「この本に書かれてある食事を積極的にとっていくことにしようね。だから、しばらくは洋食お預けだね。まずは、細胞を元気にしてあげようね」

 

と、親の爆弾宣言に衝撃を受けながら、ボクは迷った。

親の宣言に従うべきか、このまま医者に頼るか。

 

  

★★不思議なことにどんどん体が軽くなっていく

ただ、あの日以来、親の態度が一変している。

明らかに“何か”が、ちがう。

 

親は、親なりにいろんなことを調べ、そしてボクのことを本気で考えてくれていることもわかった。

呼吸法やストレッチ、そして食事の見直しなど、

 

親の熱意と眼力の強さに圧倒されながらも、「やっぱり、数日間、自分なりに考えたい」と、

絞り出すのが精いっぱいだった。

 

ボクは、これまでの日々をゆっくりと思い返すことにした。

 

けがをした日のこと。

 

時々襲ってくる「死」の恐怖。

 

いったい、どれだけの日々をボクは、何もせずに過ごしてきたのだろう。

 

親から勧められた本を読み、勉強をしていても、何一つ頭に入いらない。

ただ、書かれてある文字を追うだけ——。

 

この間にも、友人たちは、どんどんと学力も体力もつき、楽しい時間も過ごしている。

——それなのに、ボクは、何をしているんだ?

 

——本当にこのままで良いのだろうか?

 

——どうなってしまうんだろう・・・

 

季節は、着実に流れる。

真夏だったあの日から、

風景も変わった。

着る服も変わった。

食卓にあがる食材も変わった。

 

だけど、ボクの症状だけは変わらない。むしろ、悪くなっているのかもしれない。

 

いつまで海底のどん底生活が続くんだろう。

ただただ、毎日、見えない場所を右往左往にうろうろしているだけ。

 

『明日こそは、よくなっていてほしい。悪夢を見ていたかのように、晴れやかな気持ちで目覚めさせてください。軽々と動かせるような体に戻っていてください』

 

何度、この呪文を唱えながら、眠りについたことだろう。

ボクだって、こんな生活、これ以上1日だって続けたくないよ。

 

「病は気からー」 

あの日、親が小さな、小さな声でつぶやいた言葉が浮かんだ。

 

そして、ボクは、自分の持っている力を元気にするアプローチにチャレンジをすることを決めた。

 

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