母が亡くなって、アイドルになった時のハナシ。

2 / 2 ページ

次話: 母が亡くなって、アイドルになった時のハナシ。2



昨日も、Aマネージャーから「あれ、読んでるよ。文章おもしろいね。元々書いてたの?」と言っていただきました。
 

実際は、その時の気分で書き殴っているだけだからセオリーは無視だし、別に上手くはないと思うけど、もし思い当たるところがあるとしたら、その理由はちょうど今回お話ししようとしていた、”ツール”にあるんじゃないかと思います。


そのツールとは「本」でした。



わたしの父は編集者、母は本の虫だったので、幼い頃から自宅の本棚には小説や漫画がぎゅうぎゅうに詰まっていた。

毎晩寝かしつけに絵本の読み聞かせをしてもらっていたおかげもあり、わりと早いうちから一人でも本を読む習慣が身についた。
毎週のように日曜になると家族で図書館に出かけるのが習慣になり、学校でも友達のいない私はひたすら本を読んでいた。


特にファンタジー作品が大好きだった。児童文学の「ナルニア国物語」や「クレヨン王国」シリーズ、「果てしない物語」など。
この3作品の共通点は、いずれも現実から異世界に飛ばされるというストーリーで、現実に馴染まないわたしは、いずれ今の嫌な現実から離れて異世界に行くことで今の生活から救われる、と思いこむようになっていた。



学校では孤独を常に感じていた。
一人で行動することが辛くて、私は妄想の世界に友達を作り、授業中は当時母がハマっていたドラゴンクエスト5やファイナルファンタジー5の世界に入り込むという妄想ばかりしていた。

窓から外を眺めながら、今とつぜん暗雲が立ち込めて、魔王が現れて異世界に飛ばされる。目がさめると森の中にいて、あたりを探し回ったわたしは当時片思いをしていた男子生徒(話すと長くなるのでまたの機会に)と、適当なクラスメイト2.3人と旅をすることになる、というような内容だ。


そういった異世界妄想以外にも、色々なシリーズの妄想があった。
動物や子供はクラスメイトのようにわたしを気持ち悪がったりしないから好きだった。飼いたくて仕方がなかったけど、親から反対されていたので、毎日の帰宅路では、家に帰ると子犬が待っていて!といったものや、いつかクラスメイトを見返したい、という意味でテレビの中の華やかな世界への憧れなどもこの頃すでにあった

とにかく、完全に厨二病を小二から発症していた。

現実と妄想の区別もあまりついていなかったように思う。下手したら妄想の中のキャラクターとお話したり、ふわふわしていた。そして余計に気持ち悪がられた。

でも、こういった妄想のお陰で、どんな辛い状況も耐えることができたし、思わぬ副産物も生まれた。


例えば、小学校3年生の時の夏休みの自由研究は「消えた夏休み」という小説だったし、5年生の頃には小説コンクールに作品を応募して、特選をもらっていた。

この頃から、文章を書くことは好きだった。
先日、実家で見つけた卒業アルバムの「将来の夢」欄には「犬のトレーナーになる」と書いてあった。

小説家じゃないんかい。







この頃、学校で奇行に走って気持ち悪がられていた私のヤバめなエピソードは沢山あって、全部書いていくとキリがない。
とにかく9割の人間からは気持ち悪がられていた(と思っている)し、男子から菌扱いされたり(実際近づくと避けられていた)、ブスって言われたり、何か良くないことが起きると私のせいにされていたり、卒業旅行のディズニーランドでは一人で5時間彷徨ったり、そんな小学生だった。

そんな状況下で良く不登校にならずに頑張ったと褒めてあげたい。

私はなぜか希望を忘れなかった。明日になれば友達ができるかもしれない、犬が我が家に来て友達になってくれるかもしれない、芸能界に入って人気者になれるかもしれない。

結局中学校を卒業するまで、希望が叶うことはあまりなかったけれど。
(ただ、一応ちゃんと話しておくと、少しは友達もいた。当時の私と仲良くしてくれた貴重な友人達には感謝しかない。)




モノゴトの始まりというのはニワトリと卵のようにわからない。
学校が先か家庭が先かわからないけど、家でも少しずつ家族との関係性がおかしくなっていった。




続きます。



喜屋武ちあき




続きのストーリーはこちら!

母が亡くなって、アイドルになった時のハナシ。2

著者の喜屋武 ちあきさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。