暮らし自体を仕事にしてしまう4人家族の父ちゃんの挑戦

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努力と言えば、仕事を覚える努力だけではなく、
自己啓発書、ビジネス書もよく読みました。

どうやったら現場責任者に好かれるだろう、
どうやったら苦手な仕事を楽しいと思えるようになれるだろう、

などと考え、たびたび本屋さんに行っては、
その時の自分の悩みに合う本を探して読んでいました。

しかし同時に、ある友達Aが別の友達Bに言っていたこの言葉も引っかかっていました。

「こんな本読んで年収が10倍になれば苦労しねーよ。
自己啓発書読むなんて、宗教にはまってるのと同じだろ。」

この言葉を聞いたとき、なんとなくその場の雰囲気で友達Aの言葉に同調し、
自己啓発書を読んでいた友達Bを笑ってしまったのです。

それ以来、自分も自己啓発書を読むことに、なんとなく後ろめたい気持ちがあり、

本を読むときは必ずブックカバーをつけて、
隠れて自己啓発書を読むという努力をしていました。
そのかいあってか、辛く厳しかった6年間の支社勤務を経て、
念願だった、本社の研究所勤務への異動が決まりました。

就職活動当時、面接でしゃべっていたような、
自分が理想としていた研究の仕事ができるようになったのです。

これで理想の生活だ、と思ったのもつかの間、
現実はそうは甘くありませんでした。
仕事の量が支社勤務時代と比べると半端じゃありません。

ちょうど1人目の子どもが生まれたタイミングでの異動であったこともあり、
新生児の世話や家事のすべてを妻に任せて、
自分は深夜も休日も、仕事ばかりの日々が続きました。

当時はそうやって仕事に集中することが、家庭を守ることにつながると思って
がんばっていたのですが、
妻からすると大事なのは日々、一日一日のこと。
育児や家事のすべてを放棄して会社へ行き続けるぼくに対する不満は、
日々つのっていき、
二人の間には「離婚」の二文字がちらつくようになったのです。

離婚は踏みとどまりましたが、
忙しすぎて家庭がうまくいかないパターンはその後も続きました。

そんな日々に思い浮かんでいたのは大学時代の先生たちのことです。

先生は、一人ひとり個室を与えられて、自分の好きな仕事を、自分の裁量で、
自分のペースで、余裕をもって仕事をしていました。
(少なくとも学生の頃のぼくから見ると、そんな風に見えました)

ちょうど異動のタイミングで研究所勤務も終了になりかけていたこと、
人に教えることが昔から好きだったこと、
自分のペースで研究や仕事ができそうだったこと、

これらの理由から、その時の仕事を辞めて、
大学の教員を目指すことにしました。

仕事を辞めて、教員になるために再度、大学に入学し、
1年間の学びの期間を経て、
高等専門学校(高専)の教員となり、
念願通りに個室をもらって、研究・教育を仕事にできるようになりました。

これで自分の裁量で仕事をし、家庭のことも両立してやっていくんだ、
当時の自分は希望に満ちていました。

しかし、その考えが間違いであることに気が付くのに、
たいして時間はかかりませんでした。
実力のない自分は、実は膨大にあった高専の仕事量をこなすことができず、
自分の裁量を使って長時間労働・休日出勤をして、その仕事を何とかこなす日々になっていたのです。

自分と違って実力のあるベテランの先生方は、
裁量を使ってどんどんと仕事をこなしていき、
ワークとライフのバランスをとっています。

自分は「裁量」により、ひたすら長時間勤務と休日出勤を繰り返す日々。
ちょうどこの時期、二人目の子が生まれて妻の子育ての負担が大きくなり、
再び家庭がギクシャクし始めました。

個室と裁量権を使って仕事も家庭もうまくやる、
といった理想は、まったく非現実的なものであったことに気が付きました。

そしてついに、我が家最大の事件が訪れます。

ちょうど海外で学会発表のため4泊の出張に出かけた頃、
妻から毎日、その日1日の様子が送られてきます。
その内容は、まさに育児に疲れ切っている母親そのものでした。

そして出張最終日に妻から受け取った「もう疲れた」というメールは、
今までの結婚生活の中で、最大級の衝撃でした。

そのメールから、
「もうこれ以上、この働き方は限界だ」
と思い、海外出張から帰国してすぐに、上司に辞職の意を伝えました。

さて、仕事を辞めることにしたものの、
次の仕事のあてはありません。
いくつか仕事も探しました。

でも、

「勤めてしまうと、また多忙で家庭がぎくしゃくすることの繰り返しではないか。。」

この思いがあって、なかなか就職活動に身が入りません。

ちょうどその頃、大学に再入学して比較的時間があった頃に家族旅行で訪れた、
タイのパーマカルチャー村を思い出しました。

そこでは、自然から得られるエネルギーだけを有効に利用し、
ライフラインの通っていない山奥のジャングルで、
楽しく快適な暮らしを、ゆったりと実現していたのです。

ここを訪問した時、長年の自分の研究テーマであった
「エネルギー問題」に対する解決策の、
大きなヒントを得られました。

忙しすぎる暮らし
「エネルギー問題は、単にエネルギーの問題じゃないんだ、
エネルギー問題は、暮らし方、ライフスタイルの問題なんだ!」

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